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ぼくの秘密の家庭教師⑩

それからというもの、毎週火曜日と木曜日は隼人と一緒に散歩マラソンをするようになり、毎日の宿題と家庭学習もしっかり続けることができた。たまに、クラスのほかの男子が加わることもあったし、隼人めあての女子が数人参加することもあったけれどね。
 一か月が過ぎたころには、散歩マラソンのメニューも楠公園四周から十周に増えていた。きつくないって言いたいところだけどぼくにとってはきつさは変わらない。でも、もうだめぶっ倒れるよ~という感じはしなくなったんだ。走り終わった後の爽快感を味わうことができるようになってきたほどだ。
「いよいよ来週の金曜日はマラソン大会だな。おれのライバルは野比になると思うな。」
「そんなことあるもんか。学年一のスポーツマン隼人が一位は決まっているけど、ぼくは十位以内に入れたらすごいと思うし、そこが目標なんだから。隼人は絶対一位になってよ。クイミもジッチもそしてジュナやウニヨンが応援しているんだからね。」
いつの間にか隼人は、ぼくのことをあだ名で呼ばなくなった。
「よ~し。おれが一位で野比が十位以内に入ったら二人でこの子たちにお礼のおやつをプレゼントしてあげないか?苦しいマラソンの練習がこんなに楽しくできたのは、みんなこの子たちのおかげだからさ。」
「いいね。そうしよう。」
隼人の素敵な提案ではあったけれど、ぼくは不安になってきていた。だって、ぼくの今までのマラソン大会の成績といったら、去年の五十七位が最高だよ。今まで散歩マラソンでぼくは変わったのだろうか?ぼくの心の中を、ちょっと前までの自信のないぼくが覗き込んでいた。

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