ぼくの秘密の家庭教師(12 )
学校はマラソン大会が終わると、音楽室からお別れの歌を練習しているのが聞こえ始める。もうすぐ三年生も終わりに向かってカウントダウンの季節だ。
三月に入るとテストが多くなる。国語に算数、どの教科もテストのオンパレードだ。前のぼくはいつも適当に書いて、余った時間は絵をかいたり居眠りをしたりしてテストの時間を過ごしていた。でも、今は違う。ジュナとの約束は《テスト時間は無駄にしてはいけない。確かめを何度もやる》っていうことだから、問題を何度も読んで大切だと思う文には線を引いて、乱暴な字はないかを時間ギリギリまで使ってチェックするんだ。そのおかげで今のところ全部のテストで百点を取れている。信じられないけど、これが今のぼくだ。
いつも勉強をみてくれるジュナは、四頭の中でもいつも控えめだ。いつも一歩下がって様子を観察している。そして、本当に優しい。もちろんみんな優しいけれど、ジュナはダントツに優しいんだ。なんて言えばいいんだろう。みんなを大切に思っているっていうか・・・そんな感じ。ちなみにクイミとジッチはペットショップ出身。血統書付きなんだって。そして、ジュナとウニヨンは保護犬なんだ。だからジュナとウニヨンは動物病院の先生が乳歯をみて、「大体○か月目だね」っていう所見から誕生日を決めたんだって。ウニヨンはコンビニ周辺で暮らしていた野良犬の赤ちゃんでお母さんとお父さん、そしてぼくが拾った。ジュナはぼくが生まれる前だから、海に捨てられていたらしいけど、詳しいことはわからない。どっちにしてもみんな大切な家族には変わりないからね。
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