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ぼくの秘密の家庭教師(14 )

春休みはあっという間に終わり、四年生スタートの日が来た。
今日は一年間で一番学校に行くのがワクワクするんだ。なんてたって、クラス発表という一大イベントがあるんだからぼくだけじゃなくて、学校中がそわそわする日なんだ。もちろん、クイミたちも朝からそわそわしていた。隼人と同じクラスがいいなあとぼくと同じ気持ちでいるから。理由はぼくの理由とちょっと違っておやつがめあてだ。
 校門では、校長先生がすごく大きな声で朝の挨拶をしてくれている。今日は、校長先生よりも先に挨拶しておどろかそうっと。
「校長先生。おはようございます。」
「新四年生の栄 野比さん!おはよーございます!頑張り屋さんって聞いてますよー。下級生のお手本になってくださいねー。」
校長先生のちょっとびっくりした顔。ふふふやったね。
 玄関はクラス発表の張り紙を見る人でごった返していた。その中から、
「おーーーーい。野比、遅いじゃないかぁ。もうみんなクラス発表チェック済みだぞぉー。聞いて驚くなよ。おれと、和樹と、亮とそして野比!みんな同じクラスだ!やったぜ!」
隼人~ぼくも自分で確かめたかったなぁ。でも、隼人の言う通り最高のクラスだ。実は、和樹と亮とは三月からは一緒に散歩もしていたし、休み時間の野球も同じチームとして仲良くなっていた。隼人はサッカー部、和樹は野球部、そして亮は中学受験にそなえて火曜日以外は毎日塾に通っていた。ちなみにぼくは帰宅部だ。この四人は、クイミたちとの散歩のおかげで仲良しになったんだ。
 玄関に入り、四人で肩を組んで喜びを分かち合った。ぼくは、
「こりゃあ、クイミたち大喜びだなあ。今日帰って報告するのが楽しみだなぁ。」
「おいおい、野比はまたクイミたちのことを人間のように言ってるぜ。ほんと、おもしろいやつだなぁ。」
この三人には秘密を打ち明けたいと思った時があったけど、クイミたちとの約束は絶対なんだ。
(新学期早々、クイミたちに良い知らせができそうだな)
『良い知らせ』かぁ。その時オクラレルカという花のことを思い出した。

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