バス釣り奇譚集
長いことバス釣りをしていると、怪談とまではいかなくとも
ときには怖い思いをすることがある。
昔から、水辺には精霊や妖怪の類いが集まると言われていて
水死体も釣り人が第一発見者だったりすることは良くあることらしい。
その昔、大阪市内の淀川でジョンボートを浮かべて友人とバス釣りをしていたときのことである。(都市部を縦断するように流れる大河川なので、時折、マネキンやダッチ○イフが流れていたりすることがあると聞く。マネキンだと思ったら本物だったり、またその逆もしかりだという..)
その淀川で早朝から釣りをして、そろそろ上がろうかとしていたとき・・
ボートの15mほど先に黒くて丸いものが浮かんでいた。直径50cmほどに見えた。『土左衛門、やったりして・・』と軽口を叩いていた僕が、仲間の静止を無視して自作のプラグをキャストした。
くの字に曲がったダーターで、水面を引くと左方向に曲がり続けるプラグである。キャストしたプラグは黒くて丸い物体の右側1mほど先に落ちた。
プラグは引くたびに黒い物体に近寄り続けて、ギリギリのところで引っかからずに回収した。そのあと、浮遊物に近寄って確認しようかと思ったが、嫌な予感がして近寄らずにボートを上げた。
帰宅して、仮眠をとっていた際に電話が鳴った。電話主は道楽の山根さん。『今日、お前が引っかけかけたの土左衛門やったわ。あの後、警察がきて騒ぎになっとったで。ほなまたな〜』 ガチャン。
眠気が一瞬で覚めたのは言うまでもない。例のプラグを塩でまぶして清めてから丁重に捨てた。
ある日、フローターでひとりで釣りをしていた時のこと。兵庫県・加西の野池だったと思うが、増水していて岸辺は樹木のオーバーハングばかりだった。
ひときわ大きな木が張りだしたオーバーハングの奥にフローターで入って行った。5〜6mほど入ったところでキャストしようと薄暗い岸辺を見ると巨大なズタ袋が横たわっていた。2m弱くらいだろうか。
前後をヒモで縛った麻布のような袋である。ちょうど人ひとりが入っている大きさに見えた。背中がゾッとして、全速フィンで後退した。
その後の顛末は知らないが、人でないことを祈るばかりだった。
関東の某有名バスレイクで、ディープダイバーやバイブレーションを底近く探って引っかかったと思って外れた際に、髪の毛がフックに付いていたという話も聞いたことがある。よくあることらしい。怖いですね・・
最後に、バス釣りではないけれど、釣りにまつわる実話をひとつ。
古くからの友人で、松原(わてト隊)から聞いた話である。親戚の叔父さんのひとりが行方不明になったらしい。後日、叔父さんの従兄弟が近所の池で釣りをしていたら、何かに針を引っ掛けた。
水面にゆっくりと上がってきたのは、なんと行方不明の叔父さんだったという。嘘のような本当の話。きっと呼ばれたんでしょうね。
怖がりなのに怖い話が好きなので、まだまだ話は尽きないのですが、ちょっと肩が重くなってきたので...(笑)今回はこの辺で。
次回は、不思議体験・リザーバー編を予定しております(了)