All about quiet funk (#5)
『エポケー』という言葉をご存知だろうか?
哲学用語で判断を保留するとか、とりあえず決断しないといった意味らしい。俗っぽく言えば先延ばしにするということだろう。とある本でこの言葉を知り、エポケーすることが多くなった。
即断即決をヨシとするメンタリティの中で青年期を過ごした身としては、実に都合の良い言葉でもある。罪悪感や自己否定することも無くなる。赤塚不二夫じゃないが、まさに『これでいいのだ』の境地である。
とりあえず決断しない、判断を先送りにすることによって得られるものとは何かというと・・何も期待しないということ。すべてを受け入れるということ。ある種、逆説的だがそのように理解している。
バス釣りをしていて、何を投げても反応が無いときに、取っ替え引っ替えプラグを変えて坊主を喰らう位なら、あれこれ考えずにコレと決めたプラグ一本で1日過ごす。そんな感じだろうか。
これで出なきゃ(釣れなきゃ)諦めも付く。そんなプラグがひとつあれば、バス釣りは俄然楽しくなる。というか長く楽しめる。僕にとっては、デカダンストーイであり、オリジナルフィーであり、ビックヤーンであり、ズープであった。
そろそろ新しいプラグが欲しくなって、その度に拵えるのだけれど、釣り場で最後のシンショウガンとなるのは前出のプラグ達である。信じているから結果も出やすいのかもしれない。僕のバス釣りのプリンシプル。それでいいのだ。