微睡

ずっと世界があることが不思議だった。
世界があって、自分という存在がいまここに在ることも。

自分の人生、熟睡と微睡しかないような気がする。

ふつうに生きている日々が微睡、夜の眠りが熟睡。

微睡んでいる。ずっと、薄目で世界を見て、ぼんやりとした音に包まれて、時折棘のような言葉で起こされて、恐ろしいものに出会った、痛い痛いと傷つく。

でもそれさえも夢の中の痛みのようで、痛い、怖い、辛い、死んでしまいたい、そうは思うもののその実どこか上の空で。他人事感があって。

ほんとうは、私ってそんなに痛くないのかもしれないし、辛くないのかもしれない。でもふとした瞬間の「あ、死んでしまいたいな」はとても現実味がある。
死ぬことと眠ることは似ているようだから、実は死んでしまいたいではなくて微睡をやめてきちんと眠りたい、が正しいのかも。

眠っていたい、何も感じず、自分も存在しない。

起きたくなかった。

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