grassy sky
ベランダで夜を眺めている。
秋の風が、肌を撫でていく。
抱えきれない虚無感が落ちてきて私を押しつぶしもう何も手につかなくなってしまった。
やろうと思っていたこと、やらなければいけないこと全部できなくなった。
ああもう、全部どうでもいい。
煩わしい。
全員しんでくれ。
自暴自棄になってまず手始めに耳からぶっ壊してやろうと思ってウォークマンの電源を入れて音量を適当に上げる。
ああなんで、
Name of Loveはほんとうにずるいよ。
最初のピアノで涙が出てきて止まらなくなる。
10/3、österreichをこの目で見てからと言うものの心や情緒をまるごと揺さぶられて、未だ所定の位置に戻ってきていないのに。
今飯田さんの声を聴くのはあまりにも辛い。辛すぎる。
「最後に楽園の君という曲を演って帰ります、皆さんあとはTKさん楽しんでいってください」
國光くんが口を開いて始まった楽園の君。
その瞬間、あの会場は限りなく楽園に近かったように思う。淡い幾つもの色が眼前に広がって会場を満たしゆく音を私は確かに聴いた。
それは、國光くんが地獄とすれ違ってきた中で作られた、唯一確かな楽園だった。
私は彼の地獄に触れることも、見ることも、ましてや共有することなんて一切できないけれど彼が苦しんで悩んで作り上げた作品を心から愛したいと思う。抱きしめたいと思う。何があっても離したくないと思う。
君を思い出せなくなったこと
冬が終わって春がきたこと
ひとつの地獄が終わって、新しい地獄へ
どんな形であれ進んでいる彼を、cinema staff をチャリで追いかける彼を、どこまでもどこまでも、天の際まで追いかけてゆきたい。
頬の冷たさが冬の訪れを告げ。春が来ることを予感している。