叔父と私の生活⑧
叔父は変わらず仕事もしない。引きこもり。婆ちゃんが退院しても年金の日をあてにする。
そして私の小遣い1万もあてにする心から嫌いな人
婆ちゃんの受診の日。おじの部屋に向かって話すも返事もしない。鍵を閉めカーテンも閉めている。
駄目だこの人。学校を休んでタクシーで受診へ。
婆ちゃんは私に謝るけど、婆ちゃんの為なら嬉しいぐらいだ。
診察して変化はない。心臓の周りに水が溜まると入院との事。
帰宅し、婆ちゃんの昼食用意し学校に遅れて行く。
夕方帰宅。婆ちゃんは変わりない。
台所に行くとテーブルの上に何か沢山置いてある。
印鑑・通帳・叔父の通帳、カードなど?
は?何これ?
1枚のメモ書きがある。
「桜子。今迄迷惑かけてすまんかった。本当に情けない仕事も上手くいかんし婆ちゃんの年金使い果たすし
わしはもう迷惑掛けたから消えます。探さないで下さい。さようなら」と。
何?冗談やろ?え?死ぬの?自殺するの?
少し時間が止まる。え?何?おっさん死ぬ?私のせい?その時、付き合ってた彼に連絡して来てもらう。
お母さんには言いたくない。心配する。
どうせあいつは死にゃしない。口だけ。
本当に遺書か?脅しか?
夕方、日が落ちるまで考えた。婆ちゃんには内緒で。何時も部屋に閉じこもってるから婆ちゃんも気がつかない。
このまま死ねばいいと思う自分ともし自殺したら
母や婆ちゃんはどう思う?
私の心の中にもう一人の私がいる。生きてて欲しいと思う自分に驚き動揺する。
何でもう毎回迷惑かける。
そんな時、彼が「お前だけの問題じゃない。親に言うべきと」親に電話した。
その時の記憶はない。
自殺するって何で?私が言葉の暴力で追い込んだから!
自分がされて辛いのわかってるのに。
でも叔父が悪いと葛藤。
親が家に来た。母は泣いていた。直ぐに分かる。
泣くとお互い鼻が赤くなるから。
「もうどしてこないことするん?あんちゃんアホじゃ。ごめんな。桜子。」私が悪いのに…
もう23時過ぎ。親父が警察に相談に行くと。
彼に「桜子頼むで。これはこう見えても優しい子やけんかなり動揺しとると思うけん」と。
その言葉に号泣してしまった。
私の性格をわかってる。
そして2人して警察に行った。
落ち着かない私。彼も側にいてくれる。
婆ちゃんが呼んでいる。
「どしたんな?皆んなおるん?なんかあったんな?」と。
懸命に誤魔化し婆ちゃんを寝かしつける。
私のせいだ。私が叔父に酷い言葉をかけて追い込んだ。気がついたら玄関に出て叔父を探して待ってる自分がいる。
いつもはあんなに嫌いで殺そうとしたのに。
夜空の星がこんなに綺麗だとは知らなかった。
田舎だから外に出ると怖いし街灯もない。
あるのは灯篭のロウソクの灯り。
車のライトの光が見える。
叔父?親だった。
警察に捜索願いを出したと。
叔父は本気かもしれない。母が子供の頃、学校から帰宅したら叔父が包丁で自分の腹を刺して血だらけで倒れてたことがあったと。
精神的に不安定だったらしい。
彼が「弟や妹さんが不安がる からもう帰って下さい。今晩俺が泊まるし叔父さんを待ちます。何かあれば連絡しますししてください」と。
そして両親は彼に頭を何度も下げ、母は目と鼻を真っ赤にして泣いている。
そして帰る車を見送りながら、私は生きた心地がしなかった。
もう日付が変わった。
自分を責めるしかない。私こそが悪魔だ。言葉の暴力で追い込んだ。
彼も明日学校なのに付き添ってくれる。
少し休めと言われ横になるも、涙が止まらない。
追い込んだのは私だ。
あれから何時間たったんだろう。
家の前に車の音がする。
もう3時半。気がついたら裸足で外に出てた。
叔父だ。震えながら裏口から母屋に入ろうとしてる。
声が出ない。叔父が生きてる。
彼も叔父さん‼️と叫んでいる。
その時初めて私は叔父に飛びつき泣いた。
「もう何で自殺なんかするん?死んだら婆ちゃんやお母さんが悲しむんで。1番辛いの桜子ってわからんの?」叔父が初めて私を抱きしめ返してくれた。
そして叔父は震える声で「悪かった。もうわしは生きとったらいかんと思った。仕事も続かん。桜子に迷惑かけて辛い思いさせとるのに何もできん。わかっとんのに出来んのじゃ」と泣いている。
「ごめんな。ほんまにごめんな。でもな嫌だったん。叔父ちゃんがダイキライだった。でもなやっぱり生きとってくれて嬉しかったんよ。帰ってきてくれて嬉しかったんよ。もう馬鹿。二度としたら許さんけんな。ほんまに馬鹿や馬鹿やと」大泣きした。
その時の叔父の衣服の臭いは煙草の匂いとか山の木の臭いがした。
その後は彼が全てやってくれた。
父親に連絡して、警察に連絡して朝方父親が来てくれた。
私はそのまま失神したらしい。
叔父は山に入って死に場所をさがしてたと。
山の中を歩き続けて時計を見た時自分の誕生日だったと。そして私の顔を思い出して死んだら駄目だ。もう1回頑張ろうと帰ってきたらしい。
叔父を父親より嫌っていて、本当に殺そうとしてたのに、まさか叔父に抱きついてしがみついて
泣いた私が信じられなかった。
そして初めて叔父のぬくもり、叔父の性格がわかった気がする。
嫌いなものは嫌い。好きなものは好き。
でも人生生きてきて父より嫌いな人がいて
本当に殺そうとしたぐらい嫌いだった叔父。
なのに生きててくれただけで良かったと思えた。
どんな人でも身内は身内。母の兄。大好きな婆ちゃんの息子。そこだけは変わらない。
5月は私にとって特別な月。。。
それから結婚してもっと5月は辛い月になる。
どんな事があっても自分から命を粗末にしなかったこと。
そしてどんな人でも、大人でも身内でもそんな言葉をもう二度とかけないように心で身体で実感し
深く反省し二度と言わなくなった私。
こんな本当の話もあるんです。
叔父が生きててくれたから、私は今を生きてられる
この事を書いていると、急に動悸と目眩がする。
血圧が低いなと。89/30。今でも私はこの日を思い出すと気を失いそうになる。
言葉の暴力は本当に怖い。
言葉は人を幸せにするし元気にするが時には人を殺してしまう。それを学んだ日だった。