9/28 原油がドル安で上昇
WTIに与える影響：
1. ドル安の影響:
ドル指数（DXY）が14カ月ぶりの低水準に下落したことにより、ドル建てで取引されるWTI原油の価格が相対的に上昇しました。ドル安は通常、外国通貨を使用する購入者にとって原油が安くなるため、需要を刺激し、価格を押し上げる傾向があります。
2. 中国の経済刺激策:
中国政府が発表した経済刺激策により、世界最大の原油輸入国である中国の需要が回復するとの期待感が市場を支えています。経済活動の回復が原油消費の増加につながるため、WTI価格にプラスの影響を与えています。
3. 供給の増加懸念:
サウジアラビアが12月に原油生産を増加させる計画を固持していることや、リビアの原油生産再開の見通しが供給過剰への懸念を引き起こしており、これはWTI価格の上昇を抑制しています。世界的な供給が増加する見込みがあるため、需要と供給のバランスが崩れ、価格に下押し圧力がかかる可能性があります。
4. 中東での緊張の影響:
中東での紛争、特にイラン支援のヒズボラとイスラエル間の衝突が激化しており、原油供給の混乱が懸念されています。これが原油価格に強気の影響を与える要因となっています。紛争が拡大する可能性が高まるほど、原油供給のリスクが増し、価格が上昇する要因となります。
結論:
• 上昇要因として、ドル安と中国の経済刺激策、中東での紛争拡大懸念、タンカー保管原油の減少が挙げられます。
• しかし、抑制要因として、サウジアラビアやリビアの供給増加計画が市場に供給過剰の懸念を与えており、WTIの上昇幅は限定的となっています。
ニュース内容↓
11月のWTI原油先物（CLX24）は金曜日に0.51ドル（0.75％）上昇し、11月のRBOBガソリン先物（RBX24）は0.78ドル（0.40％）下落して取引を終えました。
金曜日の原油とガソリン価格は混合状態で取引を終了しました。ドル指数（DXY00）が14カ月ぶりの低水準に下落したことで、原油市場ではショートカバーが発生しました。また、中国政府が今週発表した経済刺激策が原油需要を押し上げるとの楽観的な見方も支えとなりました。
しかし、木曜日にサウジアラビアが12月に原油生産を増加させる計画を固持しているとの報道があり、原油価格の上昇は限定的でした。また、リビアの原油生産施設が、政府間の合意によりまもなく再開される見込みです。
さらに、リビアでの生産再開は、世界的な原油供給を増加させる要因となり、これは原油価格にとって弱気材料です。9月初めにリビアの東部政府がすべての油田や輸出施設でフォース・マジュールを宣言し、すべての生産と輸出を停止していましたが、合意によりこの停止が解除される可能性があります。
一方で、中東での紛争が拡大し、地域の原油供給に影響を与える懸念が強まっており、これは原油価格を押し上げる要因です。イラン支援のヒズボラが、北部イスラエルに向けて多数のロケットやドローンを発射し、イスラエルもレバノンに対する反撃を強化しており、紛争の拡大が懸念されています。
また、タンカーに保管されている原油の減少も価格を支える要因となっています。Vortexaの報告によると、7日間以上静止しているタンカーに保管された原油の量は、先週比で12％減少し、4年半ぶりの低水準となっています。