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「移住はゴールではない。3段階移住で見つけた“私らしいバランス”」
移住は夢の終着点じゃない
移住を検討していると、「新しい場所で全てがうまくいく」「人生が劇的に変わる」といった希望を持つ方も多いのではないでしょうか。私自身も、移住前は「移住さえできれば、きっとすべてが解決する!」と思い描いていました。しかし、実際に移住を経験してみて気づいたのは、移住はあくまで「新しいスタートライン」に過ぎないということでした。
移住後に待っていた現実
移住後、私は新しい環境での生活に胸を躍らせながらも、次第に「日常」がやってくるのを感じました。環境的に自然に囲まれて、開放的な土地で今までとは全然違う環境でしたが、朝起きて仕事をして、食事をして、寝る。それは、移住前と大きく変わらない日々。
しかし、新しい土地には当然のように馴染むための努力が必要です。人間関係の築き方、新しい仕事への順応、地域のルールや習慣への理解、そして自分がその地で何を成し遂げたいのか、改めて問い直す時間が続きました。
特に、移住前に思い描いていた理想に届かず、焦ったりとギャップに戸惑う瞬間もありました。「移住したら、あんなこともこんなこともしたい」「こんな理想を叶えたい」という期待が強かった分、その違いに悩むことも。それでも、「移住が失敗だった」と感じることは一度もありませんでした。それはなぜか――。
移住を「お試し」と捉える気軽さ
私が気づいたのは、「移住そのものに過度な期待を抱きすぎないこと」の大切さです。移住先での生活が思った通りにならなかったとしても、決して取り返しのつかないことではありません。合わなければ新しい場所に移ることもできますし、移住先で新しい選択肢を見つける可能性も大いにあります。ただ、別の方法で自分の理想に近づく道を探せば良いのです。
実際、私も「まずはやってみる」というスタンスで挑みました。この気軽さがあったからこそ、失敗を恐れずに一歩を踏み出すことができたのだと思います。移住はゴールではなく、その土地での暮らしを通じて、自分がどう変化していくかを楽しむプロセスだと考えるようになりました。
最初から完璧を求めるのではなく、少しずつ自分の考えと現実をすり合わせ自分に合った環境を見つけていこうと思ったのです。
私は東京から九州田舎のシェアハウスに移り、その後23万人規模の地方都市へ、そして現在は160万人規模の地方都市で暮らしています。この3段階移住を通じて、少しずつ自分にとって心地よいバランスを見つけることができました。
田舎のシェアハウス生活:
最初に選んだのは自然に囲まれた田舎でのシェアハウス。新しい人との出会いや解放感にワクワクしましたが、“近すぎる距離感”にバランス感覚を探る日々。予想以上に“自分の時間がない”ことに気づきました。地方都市(23万人規模)への移住:
シェアハウスを卒業し、少し都市に近い環境へ。選択肢が広がり、暮らしは快適になりました。精神的な余裕が出てくるとともに、より理想的な生活と挑戦したい仕事へと向かう活力が湧いてきて、転居。現在の160万人規模の地方都市:
現在の場所は、今の自分に合っていると感じています。都会の喧騒はほどほどに、自然と人との距離感と便利さ、挑戦に向かうための刺激と活力のバランスを保ちつつ、心地よく暮らしています。
当然、各々で得た、経験や人脈はかけがえのないもので、それがあってこその「今」です。そのプロセスがなければ「今」にたどり着いていないですし、その繋がりは、今後続いていくものだと思っています。
そして、今後の自分の目標や状況によって、また移動する日がくるかもしれないという余白は常に持ち合わせています。
「移住は始まり」として見つめ直す
移住はあくまで「選択肢のひとつ」です。現状を変えたい、もっと良い暮らしがしたい――そんな思いを持つことは素晴らしいことですし、その気持ちに直に従うのも大切です。ただ、その一方で「移住さえすればすべてが解決する」という考えを持つと、理想と現実の違いに苦しむ可能性もあります。
私自身も移住をする前、私は「移住すればすべてが解決する」とは思っていませんでした。むしろ「結局は私はまたこの選択をするんだ」という、
世間体を感じつつもそこにはまりきれない自分への「諦め(?)」「受け入れ(?)のような」感覚で移住を考えていたのです。
だからこそ、まずは自分が本当に何を求めているのか、何が大切なのか、「自分のあり方」や「価値観」を整理してから移住を計画すると、より良いスタートが切れるはずです。
そして、「移住が合わなかったらどうしよう」という不安を感じる方には、ぜひ「合わなかったらまた新しい選択肢を考えればいい」というくらいの気軽さを持ってもいいのではないかな思います。
理想を叶えるために「まずやってみる」ことが大切
移住は人生を変えるきっかけにはなり得ますが、それをどう活かすかは自分次第です。ありきたりですが、大切なのは「失敗を恐れず、まず一歩を踏み出すこと」「踏み出し続けること」
これは、移住に限らず、仕事や生活など、大小問わず、何においても、かもしれません。
移住はゴールではなく、どんな暮らしを作り上げていくか、そして自分がどう変わるかを楽しむプロセスです。
自分にとっての「理想」を明確にして、そのきっかけに「移住」を選ぶ場合は、それを「スタートライン」として捉えましょう!
そこから新しい扉を開き、自分の人生のエピソード2、3、4と紡いで見るのはいかがでしょうか。