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なぜプロのファンドマネージャーはインデックスファンドに勝てないのか?

インデックスファンドとは、いわば「みんなでお散歩」するような投資方法です。

急いで走らず、けれども大きく遅れもせず、全体のペースに合わせて歩いていきます。

一方、プロのファンドマネージャーは「全員を置き去りにしてやる!」と全力疾走しているようなもの。

でも、どうでしょう?

彼らが思ったほど速く走れないどころか、途中で転んでしまうことも多いのです。

今回は、なぜインデックスファンドがプロの投資家たちを悩ませるのかを考えてみたいと思います。

インデックスファンド:市場全体でお買い物

インデックスファンドとは何か?

これは、ある意味で市場全体を「お買い物」することです。

例えば、日経平均株価やS&P500のような指標に連動するファンドは、いろんな会社の株を「まとめ買い」する感じです。

「この店で一番売れてるもの全部ください!」といった感じで、特定の商品に偏らず、どれもバランスよくカートに入れます。

つまり、リスク分散をしながら市場全体の成長に乗っかるというわけです。

プロのファンドマネージャーはと言えば…?

彼らは、スーパーの中を走り回り、「今日一番美味しいスイーツはこれだ!」と狙い撃ちします。

でも、問題はそのスイーツが翌日には売れ残りになっていることもあるのです。

プロのファンドマネージャー:時には神、時にはただの人

「プロ」と聞くと、どうしても「この人たちは勝ち続けるに違いない!」と思ってしまいますよね。

でも、現実はそう簡単ではありません。

プロのファンドマネージャーは、市場をよく研究し、企業の業績や経済動向を分析して投資先を選びます。

しかし、これはある種の「未来予測」。

正直、未来を完璧に当てることは、占い師でも難しいですよね。

データによれば、アクティブファンド、つまりプロの運用するファンドの85%が、長期的にはインデックスファンドに負けています。

えっ、プロがそんなに負けるの?と思うかもしれませんが、これが現実です。

つまり、プロがどれだけ頑張っても、普通に「市場全体を買い物」するだけのインデックスファンドの方がいい結果を出すことが多いのです。

負ける理由:ランニングコストがかかりすぎる

まず、アクティブファンドの大きな問題は「ランニングコスト」。

ファンドマネージャーに払う給料や、日々の売買にかかる手数料など、色々とコストがかさみます。

「走れば速くなる!」と全力疾走しているかもしれませんが、彼らには靴の中に小石がたくさん入っているようなもの。

一方、インデックスファンドは「のんびり歩いている」ように見えて、実はランニングコストがかなり少ない。

だから、途中で疲れたり転んだりすることなく、着実にゴールに近づけるのです。

米国の調査では、10年間にわたってインデックスファンドに勝ち続けるアクティブファンドはわずか15%。

つまり、残りの85%のプロたちは、全力で走っているにもかかわらず、いつの間にか道端で休憩していることになるのです。

市場は「お見通し」

市場は非常に効率的です。

現代の株式市場は、世界中の投資家が同じ情報を瞬時に共有しています。

これは、何か特別な情報を使って市場を出し抜こうとしても、すぐにその情報が他の投資家に伝わり、株価に反映されるということです。

まるで、全員が「同じ予言者」から情報を受け取っているようなものです。

つまり、プロが「これがいい!」と思って買っても、その瞬間には他の投資家も同じことを考えているので、特別な利益を出すのは難しいのです。

ユージン・ファーマという経済学者が提唱した効率的市場仮説という理論では、すでに市場にはすべての情報が反映されているため、プロでも普通の投資家でも、特別な優位性を持つことは難しいとされています。

だからこそ、インデックスファンドのように「市場全体に乗っかる」というアプローチが、結局は一番賢い選択なのかもしれません。

反論に対する答え:「でも、アクティブファンドにもチャンスがあるよね?」

「でも、プロが運用するファンドには特別なチャンスがあるんじゃないの?」と反論する人もいます。

確かに、短期的にはアクティブファンドが大成功することもあります。

例えば、特定のテクノロジー企業に大きく投資したファンドが急成長することもあるでしょう。

しかし、それはまるで「宝くじを当てるようなもの」。

一度当たることはあっても、次回も同じようにうまくいくかどうかは全くの別問題です。

つまり、一発勝負で成功することはあっても、長期的に見れば、インデックスファンドの方が堅実な結果をもたらす可能性が高いのです。

事例:ウォーレン・バフェットのユーモラスな賭け

ここで、投資の神様とも言われるウォーレン・バフェットの面白いエピソードをご紹介します。

2008年、バフェットは大胆な賭けを行いました。

「インデックスファンドがヘッジファンドに勝つかどうか」について、100万ドルを賭けたのです。

彼の予想は見事に的中し、S&P500に連動するインデックスファンドが、プロのヘッジファンドを圧倒。

バフェットの大勝利でした。

この賭けを通じて彼が伝えたかったことは、「プロに任せるよりも、シンプルに市場全体に投資する方が賢い」ということです。

これを彼は「投資のシンプルイズベスト戦略」とでも呼んでいたかもしれません。

まとめ:インデックスファンドは「地味だけど最強」

結局、インデックスファンドは「地味で目立たないけど、実は最強」ということです。

市場全体に投資することで、プロたちの全力疾走を眺めながら、のんびり確実に利益を積み重ねていくことができるのです。

もちろん、アクティブファンドも短期的には成功するかもしれませんが、長期的にはコストやリスクを考えると、インデックスファンドの方が堅実です。

「投資はマラソンだ」と言いますが、インデックスファンドはそのマラソンで最も安定した走りを見せてくれる選手です。

そして、プロのファンドマネージャーたちがスパートをかけている間も、私たちはゆっくり、確実にゴールへ向かうことができるのです。

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