見出し画像

米国一辺倒じゃ危険?投資の“保険”としての『米国除く』全世界株ファンド

このエッセイは、投資経験があるものの、基本的には「米国株投資中心」でやっている方に向けています。

特に、S&P500や全米株式インデックスに集中投資している方で、「このままで本当にいいのか?」と一抹の不安を抱いている方に最適です。

このエッセイを読むと、「米国除く全世界株ファンド」というものが、リスク分散にどのように役立つのか、またそれをどう組み合わせて活用すれば良いのかがわかるはずです。

そして、その効果を証明するデータや、リスクとリターンのバランスについても明確に説明しています。

さらには、よくある「でも、やっぱり米国株でいいんじゃないか?」という疑問に対しても、しっかりとお答えしていますので、読み応えのある内容となっています。

さて、私たちのポートフォリオには、米国株の占める割合が非常に多くなっているケースが少なくありません。

その理由は明確で、米国株は世界の中で圧倒的なリターンを誇るからです。

特に過去10年、20年を振り返ってみると、S&P500が平均で年率10%近くの成長を遂げてきたこともあり、米国株が投資の中心に据えられているのは無理もない話です。

しかし、ここで考えてみてほしいのです。

あなたのポートフォリオ、つまり資産の命運が、米国経済の動向やリスクに依存していることの意味を。

まるで、すべての卵を一つのかごに入れて歩いているようなものです。

もしそのかごが落ちてしまったら、卵が一気に割れてしまうように、米国経済が大きく揺れるとポートフォリオ全体が影響を受けかねません。

そこで「米国除く全世界株ファンド」の出番

このようなリスクに対しての解決策が、「米国除く全世界株ファンド」です。

正式には「楽天・全世界株式インデックス・ファンド(除く米国)」と呼ばれるこのファンドは、米国以外の全世界の株式市場に分散投資をすることができる仕組みです。

その対象銘柄は、なんと約8,000にも上り、ヨーロッパやアジア、中南米、アフリカまでを網羅しています。

これにより、米国以外の経済成長も享受しながら、米国経済に過度に依存しないポートフォリオが組み立てられます。

なぜこれが重要かといえば、地政学的なリスクや各国の経済動向はそれぞれ異なるため、米国に何かあったとしても他の地域が下支えしてくれることが期待できるからです。

米国と米国外の配分はどれくらいが理想?

ここで気になるのが、「米国株と米国除くファンド、どれくらいの割合で組み合わせるべきか?」という点です。

一般的に、日本国内でよく知られている「オルカン(オールカントリー)」の配分では、米国60%、米国外40%という比率が用いられています。

この配分は、地理的にもリスク分散が図れており、安定的なリターンが期待できると言われています。

「でも、私はもっとリターンを狙いたい!」という方もいるかもしれませんね。

そういった方におすすめなのが、少し米国の比率を上げた米国80%、米国外20%といった配分です。

さらにリスクを覚悟で高いリターンを目指すなら、米国90%、米国外10%も一案です。

なぜ米国外の割合は20%以下が良いのか?

ではなぜ、米国外の割合を「20%以下」に抑えた方が良いとされるのでしょうか?

その理由は、米国市場の成長力とリターンの安定性です。

米国株式市場は世界経済を牽引する力が強く、長期的に見ても他国の株式市場と比べて高いリターンを上げてきました。

例えば、過去30年間のS&P500の平均リターンは約10%に対して、ヨーロッパの株式市場はそれよりも低い水準で推移してきたことが知られています。

また、日本の株式市場も、バブル崩壊後長らく低迷しており、近年になってようやく復調の兆しを見せていますが、まだ米国に追いついているとは言い難い状況です。

そのため、米国外の割合を20%以上にしてしまうと、ポートフォリオ全体のリターンが抑えられる可能性があるのです。

もちろん、米国経済の好調さが続く限りはこの方法で問題はありません。

米国株だけでいいんじゃないか?

ここで、「やっぱり米国株だけでいいんじゃないか?」という意見もあるでしょう。

米国市場が過去に素晴らしい成長を遂げてきたのは事実ですし、S&P500やNASDAQ100は、グローバルな企業群の集合体です。

これらの企業は、米国内だけでなく世界中でビジネスを展開しているため、「間接的に世界全体に投資している」とも言えるかもしれません。

しかし、その考え方には落とし穴があります。

例えば、米国の政治や経済が予期せぬショックに見舞われた場合、たとえ世界全体が安定していたとしても、米国株が大きなダメージを受ける可能性があります。

2008年の金融危機や、2020年のコロナショックはその典型です。

米国一国への依存は、想定外のリスクに対して脆弱になりがちであり、「米国以外の市場」に分散しておくことが、リスクマネジメントの観点からも重要なのです。

「米国除く全世界株ファンド」を使うことで得られる安心感

「米国除く全世界株ファンド」を利用することで、あなたのポートフォリオは米国経済以外の成長も享受し、リスクが分散されます。

また、たとえ米国が不調に陥っても、他の地域がカバーしてくれる可能性があり、精神的にも安心感が得られるでしょう。

投資は不確実性との戦いであり、未来のことは誰にもわかりません。

そのため、広く分散しておくことで、少しでもその不確実性を和らげることができるのです。

結論:米国80%、米国外20%でちょうど良い「安定」と「リターン」

結局のところ、最適な配分としておすすめなのは、「米国80%、米国外20%」です。

この配分であれば、米国の成長を享受しつつ、リスク分散の効果も得られるため、バランスが非常に良いと言えます。

もちろん、最終的な配分比率はご自身のリスク許容度や目標に応じて調整すべきですが、「米国除く全世界株ファンド」という選択肢がリスク分散のためにどれほど強力な手段であるかを理解していただけたのではないでしょうか。

投資の世界は奥が深く、正解は一つではありません。

しかし、「卵は一つのかごに盛るな」という格言のように、分散を意識することでリスクを減らし、安定した成長を目指すことができます。

米国株一辺倒で突き進むか、少し分散してリスクヘッジをするか——あなたの資産の安全と成長のために、今一度この選択を考えてみる価値があるのではないでしょうか。

いいなと思ったら応援しよう!