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もしもの時は、延命治療を希望されますか?

友人はホスピスで働いています。

職場で使っている、
『414(よいし)カード』というのを
ひかせてくれました。


414(よいし)カードは、
死生観を語り合うためのもので、
自分はどんな価値観を大切にしているかを
探究するためのカードです。


47枚の中から、

生きていく上で、
または、死ぬ時に、
大切にしたいことを選びます。

死が目前に迫っている時。

何を一番大切にする?

痛みや苦しみがないこと。
家族との時間。
最期まで意識をしっかりと持つこと。
お金の安心。
などなど…47のカードから
選びます。

どれも大切…
悩む。




私は、

「人とあたたかいつながりがあること」

を選びました。


私が去年までパートしていた内科病棟は、
冷たい看護師もいたし、
患者さんを人として尊重しない人もいました。
患者さんは、
罵声を発したり
「殺して…」
と言っている患者さんもいました。

その中でも、
いつもニコニコしていて
「ありがとう」 
「いつも良くしてもらって」
と、素晴らしい場所にいるかの様に
感謝してくれる人が何人かいました。
その人たちは、
ふんわりとした空気をまとっていました。

カードを選ぶにあたって、
そんな憧れの存在を
思い起こすことができました。


最期に家族で過ごしたい、とか
家で過ごしたい、とか
理想はあるのだけど、

どんな場所で、
たとえ家族がかけつけられなくても、

自分さえ、
悲観せずに、
その場にいる人に感謝できれば、

それで満足だと、
今日の私はそう思えたのです。

病や死は
いつやってくるか
わかりません。 



母の入院


先週、母が、胆嚢炎で入院しました。

医師の説明を父と一緒に聞きました。

「ひどくないので
1週間で退院できると考えています」

の、説明の後に、
「もしもの時は、延命治療を希望されますか?」

と、聞かれました。

延命治療の同意とは、
もし、突然なんらかの原因で
心肺停止状態になった場合
・心臓マッサージするか
・人工呼吸器をつけるか
など、
あらかじめ、家族の意向を確認し、
書面に残すものです。

うちの母は、
73歳。

買い物してご飯を作って掃除もできます。
母がいなくなったら
父はひとりぼっち。
今、母に死なれては困る。
なんといっても、
孫が大きくなるまで
楽しみを分かち合って欲しい。

「助かりそうな時は、
心臓マッサージしてくれるんですよね?」と、聞くと、

「いや、だから、
そこをお聞きしてるんですよ。」
と、医師から言われました。

こういった場面に散々立ち会って来た私でも、
親のこととなると、
どう決断したら全員悔いがないのか、
瞬時に判断できないのだ、
ということが分かりました。 

結局、今の私の考えは、
「助からないなら
心臓マッサージしないで欲しい。
もしかしたら、
今まで通りの生活に
戻れるかもしれないのだとしたら、
心臓マッサージして欲しい。」

ということは結局
「心臓マッサージして欲しい」
という結論のようです。


めちゃくちゃ忙しいお医者さんに
ここまで時間かけて相談するのは
なかなか難しいものです。

とても丁寧で、いい先生なんだけど、
「検査の後、説明しようかな…
いや、外来戻らなきゃだから、
今、説明しちゃお!」

そんな、先生の忙しそうな様子を
見ていると、
ごちゃごちゃ言って迷惑かけたら悪いかなとか
めんどくさい家族って思われたら嫌だなとか
「いい子」な私が
またふつふつと湧いて出てきます。



「親の死」が
無縁ではないという事実を
突きつけられた出来事でした。

大切なことを忘れて生活していると、
こうやって、
当たり前が当たり前でないことを
何かが教えてくれるものですね。

今日も、順調に回復する母と、
元気な父と、
優しい夫と、
かわいく成長するわが子が
当たり前なんかじゃないことに
感謝しながら、
頑張って
いろんな役目を果たしていきます。

40代。
充実してるけど、せわしないなぁ。
母、妻、娘。
忙しいなぁ。


その後

新生児訪問に行って、
赤ちゃんのママが内科の女医さんだったので
延命治療同意書について
相談してみました。

赤ちゃんのママが教員なら
娘の勉強についても相談しちゃいます。
だって、
赤ちゃんを育てていたって、
お家にいたって、
スキルを活かして欲しいのです。



助かるなら心臓マッサージする
助からないなら心臓マッサージしない
同意書をとってても臨機応変に心臓マッサージしてくれる
頑なに同意書の通りに判断する
などなど…

病院によって
医師によって

全く違うのだそうです。

なので、
「基本的には
心臓マッサージを行わないで良いが、
こんな時には心臓マッサージして欲しい」
という意向を
家族と話し合ってから
医師の説明に臨む、
または、医師にそこを相談するのが
良いのだと思いました。

今まで長く闘病し、
ご本人も苦しみ、
ご家族の疲労もある場合には、
延命治療は希望しない人が多いように
思います。

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