花が咲くということ
3年目にして初めて、ローズマリーの花が咲いた。
門から玄関に至る通路の脇に花壇が設えてあり、引っ越した当初猫の落とし物に悩まされていた。日陰になることが多い軒下の乾燥した土壌に適した猫除けということで這性のローズマリーを植えたところ、9号ポット2つから見る見るうちに大きくなり、花壇全体を覆うまでになった。梅雨時は少々虫が湧くものの、それ以外は水やりすら要らない丈夫な子たちである。もちろん狙い通り、お猫さまたちは近寄ることすらできない。
ところがそれだけ元気なのに、なぜか花が咲かない。よその玄関先で見かけるのには薄紫色の花がたわわに咲いているのに。水には困ってなさそうなので何かの栄養が欠けているのか、日当たりのせいなのか。花が咲かないのでいつ咲く種類なのかもわからず、2年が経った。
コロナ禍で迎えた3年目の晩秋、ぼさぼさに伸びた枝に花がついているのに気づいた。この子たちはこの時期に花を咲かせるんだね。しげしげと眺めながら、これまで花が咲かなかったのは往来の邪魔になるので時々強めの剪定をしていたのを面倒になってやめたせいかもしれない、と思った。知らぬこととはいえ、随分酷いことをしていたらしい。誠に申し訳ないことをした。これからは伸び伸びやって、もっと花を咲かせてほしい。