
駐在同行に退職、もがいて悩んで掴んだ「新しいサイクル」ヨガ講師なっちゃん
【なっちゃんプロフィール】
ビル管理会社にて法人営業→夫の転勤により退職。その後不動産事務を経てヨガ講師に。
2024年より上海駐在に同行。
同年1月からスタッフとして活動中。
◆スタッフに応募した理由と活動内容
行動すれば道はひらける
スタッフになろうと思ったのは、上海にきてわずか1週間後。
夫は仕事に、子供は学校に行くけれど、私はこの土地に持っているものが何もない。これから毎日どう過ごしたらいいのか、漠然とした不安でいっぱいな時期でした。
そんな中、キャリアカフェスタッフとのおしゃべり会に参加。
スタッフの皆さんが駐在同行をポジティブにとらえる姿をみて、私も行動しよう!と決意し、スタッフ募集に手を挙げたんです。
キャリアカフェ中国のボランティアスタッフは約30人(2024年11月時点)。0歳児から幼稚園・小学校・中学校に通う子どもをもつママ、ご夫婦で暮らす方など、生活スタイルは様々。それぞれが自分の時間を活用して、活動をしています。
今回は中国に渡航してすぐにスタッフになることを決めた行動派!「なっちゃん」にお話を聞きました。
自分のペースで、できることを
オンラインミーティングに参加する中で、みんなの情熱や行動力にポジティブなパワーをもらっています。自分のペースに焦るときもあるけれど、みんな「お互いに無理のない範囲で」とどっしりと構えてくれているので安心できます。
キャリアカフェ中国の企画では、参加者やスタッフにヨガを教えるオンラインレッスン開催に挑戦しました。
これから他のプロジェクトにも関わってみたいです。

キャリアカフェスタッフに申し込んだ事で、
上海での私の世界が動き始めました。
◆駐在同行家族としての葛藤と挑戦
配偶者の転勤とワークキャリア
上海に来る前から、夫の転勤に同行するために退職や転職をしてきました。
最初の転機は10年ほど前。第1子の産休中に、夫の初めての国内転勤が決まったときです。
家族が増えるタイミングでの夫の単身赴任は考えられず、私は夫の転勤に同行しました。
育休に入り、出産後2か月で引っ越しをします。私は初めての子育てで余裕がなく、夫は新しい土地での仕事に一生懸命。自分たちで選択したこととはいえ、共働きだったそれまでとは違う生活に戸惑いながら過ごす日々でした。
そして、私の育休が終了しました。復職のために保育園は見つけられましたが、勤務先からは東京以外の拠点での復職が認められないことになりました。
家族と一緒に暮らすため、私は退職を選びました。産休・育休に配偶者の転勤が重なるのはとても悩ましい状況でした。家庭と夫婦2人のワークキャリアを同時に成り立たせる難しさを痛感しました。
仕事復帰の道を模索
そこからは、「いつか仕事に復帰したい」と育児のかたわらで転職セミナーに参加する日々。
第2子が幼稚園に上がる頃には、地元の不動産会社にパートタイムの事務員として再就職できました。
一方で、「夫の転勤に同行する生活が今後も続くなら、居住地を問わず一人でもできることを身につけなければ」と感じてもいました。
当時通っていたヨガ教室で、子育て中のママたちがインストラクターとして活躍していたんです。その姿に刺激を受け、私も挑戦しようと思い立ちました。
事務員の仕事と並行して教室で養成講座を受講し、インストラクターの資格を取得。教室のレッスンを担当させてもらうようになりました。レッスンには不安もありましたが、「自信を持つためには何より経験だ」と考えて取り組みました。
もとからインストラクターの適性があった?
私はヨガに対する理解度やポーズが優れている方ではなく、もともとそこまで適性はなかったと思います。
それよりも、学びたい気持ちと、同じ立場のママたちが頑張る姿に背中を押されたのが大きいです。
「今動かなければ、私は5年後も同じモヤモヤを抱えていそう」とも思いましたね。
コロナ禍ですべてストップ!でも諦めない
2020年に夫の上海駐在が決定。「家族で経験を共にしたい」と、同行を決意しました。
夫が先に渡航し、土日に子どもを任せる人がいなくなった上、数か月後に私と家族も渡航予定だったので、不動産会社を退職しました。会社員のキャリアを再び中断するのは不安でしたが、「家族で支えあい、目の前のことに取り組めば道はひらける」と信じての選択でした。
そこに、新型コロナウイルスの流行が重なりました。家族の渡航は見送られ、感染防止のためにヨガ教室も休止に。
仕事を辞めたのに渡航の見通しが立たず、柔軟に働くために身につけたはずのヨガも活かせない焦り。一人で育児をするプレッシャー。早く家族で過ごしたい気持ち。いろいろな感情が交錯する中で過ごしていました。
そして2022年。日本ではようやくコロナ禍の影響が和らいできました。
ここで一念発起!近所の公民館でヨガクラスを始めました。
初めて部屋を借りるとき、受付の方に「前向きに行動する人を応援したい」と言われ、とても勇気をもらったのを覚えています。
2023年には中国でもコロナ禍が収束し、上海への同行がやっと叶いました。
◆チャレンジ精神を持てるようになるまで
勇気を出せたきっかけはSNS
以前は、頭では人一倍考えるけれど行動できないタイプでした。勇気がなくて、できない理由を考えて。
変化のきっかけはSNSです。コロナ禍で行動が制限された時期、ヨガの練習や解剖学、コーチングの勉強などに取り組み、いろいろなオンラインコミュニティに入りました。そこで出会った行動的な人たちに励まされ、自らもオンラインでの発信に挑戦してみたりと、今までとは違う新しいサイクルが回り始めました。
しなやかな強さを持ちたい
私の思う「しなやかな人」はどんな状況でも選択肢を見出して行動できる人です。
ぶつかる壁はたくさんあるけれど、前進できる道を探しながら”過程を楽しむ”精神でいたいと思います。
ヨガも「伸びるって気持ちいい」から始まって、自分の硬さへの気づき、難しい課題を達成できた喜びなど、挫折と前進の繰り返しです。上海でも、そんな経験を共にして、一緒に成長していける人と出会えたら最高です。
まだまだ女性はライフステージによって周りから変化を求められる場面が多くあります。そんなときでも、私は選択肢があることに気がつく”柔軟性”とチャレンジできる”強さ”を持ち合わせていたいと思います。
チャレンジは続く
本帰国したら、企業勤めに再挑戦したいです。もう一度、様々な年代や状況の人と一緒に働く経験をしたい。ヨガも細く長く続けて、おばあちゃんになっても楽しめるような一生もののキャリアにしていこうと思っています。

五感全てを使って、俯瞰して感じることができる。
これからもどんな状況にいても
広い視点を持てる練習をしていきたい。
◆あとがき
ライフイベントや家族の事情、さらには社会の情勢にも、自身のワークキャリアを左右される。駐在員パートナーには避けて通れない課題です。なっちゃんの打開策は、自分にできることを探して常に行動し続けることでした。制約や心配事はあるけれど、今の自分ができるはずのことまで諦めたくはない。キャリアカフェ中国は、そんな駐在員パートナーのみなさんを応援しています。
ライティング:中谷かおり