見出し画像

ジュラシックワールド 新たなる支配者

ジュラシックワールド新たなる支配者の感想をネタバレ込みでこれでもかと書きまくってみた。

ジュラシックシリーズ6作目にして、完結編。
今回は前シリーズのキャラクターも出てくるためとジュラシックパークからのファンも嬉しい内容になっています。
前作炎の王国で恐竜達が世界に解き放たれたことで、人間社会にも大きな影響が出始める話。

先におっきな意味で感想を言うなら面白かったです。ただ万人ウケはしないだろうなー。

往年のファンとしては、一作目のアラン、エリー、イアン、の3人の博士が出てくるのは堪らない展開。新作の度に恐竜の映像に磨きがかかり、恐竜とのアクションは目新しい映像を必ず作ってくれる。本当に観ていてハラハラドキドキさせられる映画だ。
では、これまでのシリーズの中で比較すると今回の新たなる支配者はどれくらい面白い?と聞かれると、残念ながらジュラシックパーク1やジュラシックワールド1には及ばないと思ってしまう。この理由はもう明確で、クローズドサークル(なんらかの事情で外界から閉ざされた状態)ではないからだ。

そもそもジュラシックパークはホラーやパニックに分類される映画だと思っている。※私の見解です。
閉じ込められた環境の中で恐竜から逃げ惑わなければいけない脱出ストーリー、もしくは脱出までに何らかの事情で何かストーリーの核となるミッションを達成しなくてはいけないストーリーのどちらか。クローズドサークルであれば恐竜vs人間のストーリーが非常にわかりやすく浮き彫りになる。ジュラシックパークは恐竜の脅威から脱出するストーリーで、ジュラシックワールドは脱出にプラスしてインドミナレックスという化物をやっつけなくてはいけないストーリーだった。軸がシンプルで、とにかくどうやって恐竜と対峙するかが明確なのでハラハラドキドキし続ける。なんせクローズドサークルなので、気を抜くと次のシーンには後ろからがぶり!とされるかもしれない。この緊張感が堪らなく面白い。
そのためクローズドサークルが崩壊する続編は、人間側が積極的に恐竜に関わらないとストーリーが展開しない。恐竜に積極的に関わる理由を作らないといけないので人間側の事情が色々増えてくる。そうなるとストーリーの主軸が恐竜から遠ざかっていくのだ。しかもクローズドサークルでないので、24時間体制でハラハラ出来ない。。。
パーク2とワールド2はともに悪い奴らが金儲けのために恐竜を捕獲しにいく話なので、前半と後半でストーリーが分断されてしまう。余談だけどもワールド2で凄いと思ったのは、後半でインドラプトルを登場させることでもう一度クローズドサークルを作ったこと。※クローズドサークルというには正しくないかもしれないが。
とにかくインドラプトルのヴィランとしての性能が高く、邪悪な笑みを浮かべながら嬉々として人間を襲ったり、わざわざ静かにベットルームの窓を開けて侵入したりと非常に狡猾で残忍。デザインも格好良く、軍用にハイブリッドされたという点は非常に敵役として魅力的。ただそこに至るまでのストーリーには色んな人間の思惑やら事情や関係が出てくるので、説明がどうしても増えて中弛みしやすくなる。ワールド2はブルーとインドラプトルで恐竜不足が起きないようにしたイメージ。
話はそれたが、ワールド2炎の王国で野生化して、散り散りになった恐竜たちにワールド3新たなる支配者では、主人公たちがどうにか近づかなきゃいけないストーリーというのはわかっていたので、その上で鑑賞。

で、面白かった!
まずやはり良かったのはパーク1からの博士3人。
アラン、エリー、イアン。3人とも個性的なキャラクターをちゃんと維持しながらストーリーに上手く関わってくれている。お飾りではないしっかりとした関わり方が嬉しい。

アランはやっぱり格好いいな。堅物で融通が利かない学者気質。ハットがよく似合うイケオジで、なんやかんや素晴らしい行動力と知性を発揮して活躍してしまう。登場シーンの渋い顔は圧倒的な安心感がある。ていうか3人とも登場シーンに安心感を感じてしまった(笑)やはりこの人が全ての始まりと感じる。シリーズの主人公!

イアンは本当にスタイルがいいなー。。。革ジャケに黒シャツ着てるし、脚長いし、相変わらずの飄々としたキャラでとにかく格好いいおっさん。喋るのが達者なのが変わらずなのでこの人のセリフは吹き替え版でもう一回観たい(笑)
アランといいイアンといい、こういう歳をとりたいと思わされるなぁ。まぁ若い頃からこの人たちはイケメンなんだけど。

エリー、一作目から変わらぬ行動力と周りを明るくしてくれるその性格。気難しいアランをなんやかんや焚きつけちゃう天真爛漫さは変わらず。キャラクターに魅力がある女性なんですよ。
今回意外だったのはアランとエリーに恋愛要素を持たせたこと。この二人は恋愛感情ではない信頼関係を築けているので、なんか安易に恋愛にいって欲しくないというか、もっと大きな尊敬の念で繋がってほしい気持ちがあったのだけど、鑑賞しているうちにこの展開もアリだなと思ってしまった。ジュラシックパークを知らない人からすると老人の恋愛見せられてもと思うかもしれないけど、ジュラシックパークから30年経って二人が不器用に距離を詰めるのはなんとも微笑ましかった。実に二人らしいやりとりで(笑)

新たなる支配者で良かったのはしっかりと旧シリーズのパーティと新シリーズのパーティを分けて動かしたこと。
アランとオーウェンが別々にストーリーを進めていくことで登場人物の個性がゴチャつかず、かつストーリー展開が生まれるので、一方あっちのパーティはと表と裏で進行していく。シリーズ一作目から観ているファンとしては、旧主役陣と新主役陣のストーリーが双方で展開するので、どっちのストーリーになっても観ていて楽しい。多くなるキャラクター達を上手く活かしたなーとと思う。

さて、肝心のストーリーだけども、新シリーズのオーウェン側はブルーの子供ベータとクローン人間のメイジーが密猟者に拉致られたのでオーウェンが助けに行く話。黒幕はバイオシン社。

旧シリーズのアラン側は、突然変異の巨大イナゴが何百万匹と発生して、天災クラスの被害を農作物に与えるんだけど、政府から恐竜保護を許可されてるバイオシン社の農作物だけはなぜか襲われない。その辺の真実を突き止めるためにバイオシン社に潜入するストーリー。バイオシン社のイナゴわかりやす過ぎだろと心の中で思ってしまった。
劇中にこの巨大イナゴが結構大立ち回りをしまくる。燃えながら飛行するイナゴのシーンがあるんだけど、アバドンというか、蝗害=終末的な表現なんだろうなー。
クローズドサークルでなくなっているのでこういう舞台装置がないとストーリーが展開しないのでしゃーないと思っていたが、結構この辺はネットで叩かれている。
なるほど、そりゃ恐竜でないものが脅威になったらそういう意見も出てくるよな。

個人的にはストーリーはどうやっても無理が出てくる設計なのでその辺は気にしていなかった。何度も言うがクローズドサークルが壊れているので、理由を作って恐竜を一ヶ所に集めて、キャラクター達とエンカウント率を上げないといけないのだ。野生化して散り散りになられている状況で、恐竜だけに会うのなんてそもそも無理なんだから。

むしろこの散り散りの状態でオーウェンサイドはよくあれだけのアクションを成立させたなと思った次第。ハイブリッドではなく、良く訓練された戦闘用ラプトルに、明確な殺意を持って追跡させるなんて本当恐怖しかない。CMでも有名なバイクオーウェンを追跡するシーンやクレアが走ってパルクールばりに逃げるシーンなど、中々手に汗握る。
鑑賞後気になってHPを見たところヴェロキラプトルは時速40kmで走行可能らしい。

https://www.jurassicworld.jp/books/raptor.html
人類最速のウサインボルトが195cm94kgで時速44kmに対して、体長450cm136kgのラプトルが時速40kmで永遠追いかけてくる。ボルトよりデカい上に足場が悪くても関係なく追ってくるとかもう恐怖しかない。だだっ広い荒野とかならバイクや車の速度でちぎれるのかもしれないが、立体的な街中で逃げ切るのはまぁ無理だよね。シリーズ通してラプトルがとにかく有能な狩人で、怖い。人間よりデカくて早いし、知能が高くて群れで襲ってくる。ハンドガン如きでは1.2発で仕留められる気がしない。この辺のリアルにラプトルが強過ぎないか?話はシリーズ通して登場シーンが多いこともあり語りたいのだけどもまた別の機会にして話を進めよう。あと羽毛ラプトルとオーウェンとケイラが凍った湖で対峙するシーンも格好良かった。

ラプトルの禍々しさと二人の好戦的な姿勢がカッコイイ

凍った湖でのアクションなので、どうやって水の中に突き落とすか、を考えた瞬間に羽毛ラプトルが自ら水中に飛び込み泳いで襲ってくるのはなかなか驚いた。
え、逃げ場ないじゃん!というね。手に汗握るアクションですよ。

あとは今回の悪役バイオシン社のCEOルイスはなんとシリーズ一作目から出ていたと聞いて驚き。
誰かと思って調べたところ

お前か!!


いつのまにか出世してCEOになっていたなんて。。。
俳優さんは諸事情あって別の人が演じているそうですが、まさかこんなに懐かしいキャラクターが出てくるとは。
そんなこんなで終盤新旧パーティが合流して、新旧主役が声を合わせて『don't move!(動くな!)』は痺れました。

新旧『動くな!』は痺れました。


合流後は、イアンが一作目のセルフオマージュで燃える木を振ったり、新旧のヒロインがイナゴに立ち向かってみたり、登場人物達の個性的な掛け合いが最高でしたよ。ストーリーの必然性は弱い分キャラクターの魅力でみる映画でした。
残念な部分もやはり多く、今作から登場のケイラはパーティに加わる理由に納得感がなかったり、ウー博士がイナゴを止めるためにベータとメイジーの遺伝子を必要としたりするところにご都合主義は否めなかったり、ここまできてブルーに全く活躍シーンが無かったりする。あとは最大の見せ場であるラストの恐竜決戦。
今作はギガノトザウルスというティラノよりもデカい恐竜が出てくるが、残念ながらティラノと戦う必然性がない。映像的には観ていて面白いんだけど、たまたま主人公達が逃げる時に2頭が喧嘩を始めて、ティラノが劣勢になるとたまたま出くわしたテリジノサウルスが加勢して、2対1でギガノトザウルスを倒して勝鬨をあげる。。。何故??
最後に肉食竜が暴れないと様にならないのだけど、どうしても今作に関しては必然性がなくなってしまうので、違和感が残ってしまう。ただ唯一良かったのはもうハイブリット恐竜が出なかったこと。インドミナスレックスとインドラプトルでお腹いっぱいだったので、今作まで出てきたらえらい事になっていたので良かった。

個人的にはキャラクターの魅力と恐竜達の映像で充分満足できた。ストーリーへの期待はゼロどころかマイナスにして見に行ったので、むしろ期待以上だった(笑)
とにかくジュラシックシリーズが凄いのは、ただCGがキレイなのではなく、本当にその場にいるような重量感、息遣い、些細な音や動き、恐竜がその場にいるようなリアリティだ。

映像に『重量』を感じる


ネットの感想ではシリーズ完結がこんな終わり方なんて、なにも解決してない!という意見もあるが、ジュラシックシリーズは逆にそこを解決してはいけない。もし恐竜が野生化した状況を解決する術があったらそれこそご都合主義過ぎる展開になるし、そもそもそういう世界を変革する物語ではない。
あくまで純粋な野生の恐竜と相対するホラー映画であり、人間が恐竜より弱いから面白いパニック映画なのだ。

今作悔しい思いをした人はNetflixのオリジナルアニメ、ジュラシックワールドサバイバルキャンプをオススメ。ジュラシックワールドの裏側で展開しているストーリーが観れる。子供向けだけどけっこう面白い。
あとは気長に10年も待てば次の新作がきっと製作されます。
もしかしたらいつかイケオジになったオーウェンが現れて、新シリーズの主人公を導く日が来るかもしれない。その時を楽しみに待ちましょう。

余談ですが副題は『新たなる支配者』ではなく原題の『DOMINION(ドミニオン)』の方がカッコいいと思うのは私だけでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?