竜とそばかすの姫 ネタバレ感想
【竜とそばかすの姫】
金曜ロードショーで見るはずが大事件が起きてしまい緊急特番で見れなかったので、改めて子供と一緒にレンタル。
サマーウォーズでSNSの世界を描いていたのに再度ネットの世界をどう描くのだろう?
サマーウォーズのozよりも匿名性が守られた世界『U』を舞台に自己の開放を描いていく。
ストーリーはデジタル版美女と野獣、名前もベルだし、竜も英訳だとBEASTだし、城に住んでてバラあるし、出てけと叫ぶと出てくんだけど外で襲われるところに助けに入るし、舞踏会的なダンスするし、城に討ち入りされるし、ガストン的な敵役もいるしと、これでもかと美女と野獣。
だけど最近の細田守作品の中ではかなり好き。
サマーウォーズとアプローチが真逆で、現実世界のしがらみから逃げて、ありのままの自己の解放をメタバースにて成し遂げる。
あくまでUは仮想空間なんだけど、ボディシェアリングからAs(アバター的なもの)が作成される。
ここが面白いなー。と思ったのが、このAsは専用のデバイスが読み取った生体情報を基に作られているので、自分の隠された力も反映される。これって、本心は誰もが自分は特別で、実は自分でも気付いてない隠された力があると思いたいというか、そういった余白を残しているのが面白いなって。わざわざメタバースに来てるのに人は結局自分であることは誇示したい。むしろ現実世界のしがらみから抜け出して、誰にもラベリングされていないありのままの才能溢れる自分を表現したいと思っている。
また面白かったのは、現実世界のコミュニティの面倒臭さを、女子高生クラスの人間関係で表現しているのが面白かった。どうしてもヒエラルキーって人が寄れば生まれるよね。人は孤独になりたくないから寄り添うのだけど、そうすると派閥が生まれて、立場が生まれる。
本当は不満を口にしたいけど、出来ない現実があるから人はネットに行くのかな。
特に印象的だったの父親の姿。
早くに奥さんを亡くして、塞ぎ込んだ一人娘とずっと一緒にいる中で、10年以上娘とロクに交流が出来ていないのに我慢強く耐えて娘を想い続けるベルの父親と、同じように奥さんを亡くしている竜の父親。身なりからするに優秀そうなサラリーマン。多摩川駅周辺に住んでいると言うことは、恐らく自宅は田園調布付近の一戸建。高収入だろうから、会社でも役職は高そう。
ただ次男は恐らくなんらかの障害を持っている。自閉症かな?
多奥さんが居なくなって自分が家庭に向き合うことから逃げてしまったんだろうな。
対照的なんだけど、父親としてはどちらの父親にも共感してしまう部分はあって、思うところが色々あった。
でもやっぱり好きなのは楽曲。ストーリーにあわせて自分を表現していく楽曲はとても素敵でした。
10代の主人公の歌と青春はいつでも真っ直ぐで胸を震わせられものがありますね。
しばらく楽曲にハマりそうです。
あと最後に気になったのが、セルフオマージュ的なシーンが多くあるように感じたのですが、私だけ?
例えば
・サマーウォーズではozの守り神が鯨、でも今作でもベルは鯨に乗って歌う。同じネット世界作品で鯨が出てくるという。なんだったらバケモノの子でも鯨出てくるし、細田監督は鯨が好きなのか?
・途中川沿いで、鈴と忍が会話してるシーン。なんとなく時をかける少女の川沿いを歩くシーンと重ねてしまう。考え過ぎ?
・主人公鈴の話し方?というか、初めのキョドり方とか焦り方の演技がサマーウォーズの主人公のよう。これは細井節かな。考え過ぎかも。。。
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