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データビジュアライゼーションを考える-QUICK Data Design Challenge 開催後記-Part1
7月6日(木)オープンQUICKの未来データ会議内にて「QUICK Data Design Challenge 2023 報告会」が行われました!
審査員の方々、グランプリ受賞者の方にご登壇いただき、授賞式を行うことができました。
配信でご覧になっていた方、会場にお越しいただいた方、皆さまありがとうございました!写真ありの報告会レポートはこちら。
応募総数176点!
176作品ものご応募をいただき(サポートいただいたロフトワークさんによると、従来よりも多いとか)データ表現への関心の高さを表す結果になりました。
インフォグラフィックからデータアートと、幅広い作品が寄せられ、審査会もとても楽しく充実したものになりました。
審査員の方に選定いただいた受賞作品は、「QUICK Data Design Challenge」というアワードの、次回以降の方向性を示すような、データ表現の未来への期待感にあふれるラインナップとなりました。
詳しくはこちら
データビジュアライゼーションとは?
そもそもデータビジュアライゼーションって、最近よく聞くけどなんだっけ?という点について、あらためて整理していきたいと思います。
データの視覚化
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集計や編集などを施していない、最初に記録された状態のままのデータのことを「素データ」と言います。テキストや数字の羅列であることが多く、抜けがあったりして、使いにくい生のままのデータです。
素データを使えるように整えて、さらに視覚化したものが、書類や本に載っている「チャート」「グラフ」「表」などです。この時点ですでに「データの視覚化」データビジュアライゼーションが行われています。
ひとくちにデータ表現というけれど
同じデータビジュアライゼーションですが、チャートと、アートって全く同じものなんでしょうか?
カテゴリが分かれていると考えるとわかりやすいかもしれません。
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たとえばインフォメーションデザインは、データをより機能的にビジュアライズした表現です。駅構内の地図や、グラフが全部テキストで書かれていたら、とても読みづらく、不便です。
同様に、インフォグラフィックスは機能的なグラフィック表現です。たとえば、QUICK本社のある茅場町駅のトイレの写真を見てみます。「男」「女」の表記のみだと、文字が読めない人、漢字が読めない人にはアクセスが難しくなってしまいます。
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インフォグラフィックスには、よりグラフィカルなものも存在します。こちらはシンプルに機能的な表現でなく、感情を動かしたり、よりコンセプチュアルでファインな表現に比重が傾いています。「アートより」と表現してもいいかもしれません。
そしてデータアート。こちらは一見難解ですが、問題提起や、新しい気づきへと受け手を繋いでくれます。
環境問題であったり、ジェンダーの格差であったり、世界経済であったり、マクロな題材が取り扱われることも多いです。
デザインとアートって何が違うの?
いざアワードを開催するとなった際に、個人的にまず褌を締めなおさなければと感じたのは、繰り返されてきた「デザインとかアートとか一体なんなの?なにが違うの?」という問いに対する回答を用意することでした。
一般的にデザイン(問題解決)とアート(問題提起)は目的として掲げるものも、アウトプットするまでのアプローチも異なるからです(もちろん例外もあります)。
しかし、リサーチしていくなかで、特に「データ表現」という範囲内では、明確な区分なくグラデーション上で遷移していくような印象をうけました。
それってなぜなんでしょう?
つまり、デザイン表現と比較してアートと評されている、難解で抽象的な表現の作品も、データというファクトをもとにすることで、いわゆるファイン・アートとは性質のことなる、「作者からの明確なメッセージ性」を強くはらんだものとなっている。
なので、受け手が作品から受ける「曖昧さ」の比率が減り、「データに基づくメッセージ」に置換されているのではないか。
というのはあくまでも感想ですが、「データ表現」の面白さについて考えられたことは非常に興味深い体験でした。
すこし長くなってしまったので、Part2では審査会で出た興味深いキーワードにフォーカスしてみたいと思います!
参考:
埼玉県「統計グラフのつくり方」
Jing Zhang「How to make a Burger」
ZUNNY「都道府県別最多名字マップ」
DAIKIN「Visualization of Air Conditioner」
Rhizomatiks「Watt is Money?」
Part2