なぜ人工衛星、宇宙探査機は金色なの?
気象を観測したり、地球と通信したり、宇宙を旅して探査する人工衛星や宇宙探査機(宇宙機)。
気象観測を行う「ひまわり」シリーズや、小惑星のイトカワからサンプルを採取し持ち帰った「はやぶさ」などが特に有名です。
そんな宇宙機にはそれぞれ特徴的なソーラーパネルやアンテナがありますが、特に目を引くのは金色に輝く本体だと思います。
でも、どうして金色なのでしょうか。
単に目立つため?それとも何か特別な理由があるのでしょうか?
実は、あの金色にはしっかりとした理由があるのです。
宇宙機の本体の金色に見えるのは、実は「サーマルブランケット」と呼ばれる断熱材によるものなんです。
宇宙空間では太陽の光が当たる部分は100度以上に、逆に当たらない影になる部分は−100度に達することがあります。このサーマルブランケットというものは、そんな極端で過酷な温度変化から機器を守る重要な役割を持っています。
サーマルブランケットは薄いフィルムとネット状のスペーサを多層に重ねたような構造を持っていて、層と層の間に空間を作ることで熱が伝わるのを防ぎ、断熱効果を高めたり、外からの熱の侵入や内側の熱の放出をコントロールしています。
外層には耐熱性に優れたポリイミドフィルムというものが使われていて、写真で見てわかるように黄色っぽい色をしています。このフィルムの裏にアルミニウムが蒸着されているので、サーマルブランケットが金色に輝いて見えるのです。
ただし、宇宙機の本体がすべて金色のサーマルブランケットで覆われているのかというと必ずともそうでもなく、白色や黒色のものもあります。この色の違いは、サーマルブランケットの素材や構造が異なるためです。
白色の場合は、ガラス繊維にアルミニウムを蒸着させたベータクロスという素材が使われています。主に太陽光を反射して、内側の温度上昇を防ぐ効果があり、特に地球の大気の影響を受ける宇宙船や人工衛星に適しています。あの国際宇宙ステーションも、この素材が使われているようです。
また黒色のサーマルブランケットには炭素が練りこまれた伝導性を持たせた素材が使われていて、帯電防止の効果があります。宙空間での静電気の蓄積を防ぐだけでなく、熱を吸収しやすい性質を持つため、内部の熱を放出する必要がある場合に適しています。
いかがでしたでしょうか?宇宙機が金色に輝く理由には、宇宙という過酷な環境で機器を守るための科学と工夫が詰まっていましたね。普段何気なく目にしている宇宙の技術にも、こうした細やかな工夫が隠されていると知ると、さらに興味が湧いてくるのではないでしょうか?
皆さんの宇宙への興味が広がるきっかけになれば幸いです!