マカッサル出張記:現地拠点から実感する成長と可能性
半年ぶりに訪れ記南スラウェシ島の首都マカッサル。今回は3年前に設立した現地法人「Kenndo Fisheries Indonesia(KFI)」の工場視察が主な目的でした。これまでも何度か訪問してきましたが、今回ほど腰を据えてKFIの現状と今後について考える機会はありませんでした。
初日は、KFI代表の葛貫が案内役となり、日本の水産会社の方々と共に現地視察を行いました。彼らもインドネシアでの事業展開に関心を持っており、当社の経験が今後の日本企業の進出の参考になればと思います。
世界の水産市場は、ここ数年で大きく様変わりしています。日本では、以前は一般的な食材だったタコが、いまや牛肉やマグロを上回る価格になっています。その背景には、従来日本向けだったアフリカ産タコが欧米需要の高まりで流れが変わったことや、円安の影響があります。当社は10年前からこうした変化を予測し、3年前からインドネシア産タコの品質向上と安定供給の体制づくりに取り組んできました。
ただし、我々の目標は単なる商機の獲得だけではありません。資源管理を徹底し、乱獲を防ぎながら、漁民や集荷人、工場メンバーなどのサプライチェーンを維持強化しながら、現地の水産業全体の底上げを図ることも重要な使命だと考えています。
KFIでは現在、日本人2名と現地スタッフ約15名が働いています。工場を訪れるたびに、品質管理や業務オペレーションのレベルが確実に向上していることを実感します。特に、工場長を中心とした技術指導体制が整ってきており、組織としての成長を感じます。さらに、様々な場面で皆でKFIのビジョンや方向性などをじっくり話し合い共有できたことが重要でした。夜の懇親会では、ゼロから事業を立ち上げた葛貫や、現地と日本をつなぐ重要な役割を担う加藤マネージャー、そして日々の業務を支える現地メンバー全員への感謝の気持ちを新たにしました。
海外拠点の運営は想像以上に大変です。多額の投資が必要なうえ、文化や慣習の違いから予想外の困難に直面することも多いです。それでも、現地メンバーとの信頼関係が深まり、少しずつ成果が出始めていることは大きな励みになっています。
今回の出張を通じて、KFIへの当事者意識がより一層強まりました。まだまだ発展途上の組織で課題も多いですが、現地メンバーと共に一つひとつ克服していきたいと思います。インドネシアと日本の架け橋として、着実に前に進んでいく。そう決意を新たにした出張となりました。
【追記】
記事をアップした当日に、現地からの連絡で集荷人のハジミレさんの訃報に接しました。先週お会いし市場を回ったりお話しを聞いたばかりで、ショックで信じられず言葉もありません。これまでのご厚意に心から感謝すると共に、ご冥福をお祈り申し上げます。