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ZONE~タントラマンへの道(第112話)
蘭:わたし、さっき、とことん執着して生きていくことにするって言ったじゃない? でもさ、やっぱりなにか違うような気がしてきたの。
わたしがしたいのは執着じゃあないみたいなの。
執着ってあまり良い感じがしないのよね。
なんだか未練たらしいっていうのかなぁ。
TM:あぁ、なにかにしがみついてるみたいなイメージはあるよね。
視野が狭くなっているというか、他にもっと良い選択肢があるのに目に入ってこない、みたいな?
蘭:そうなの。そこがわたしの理想とは違うのよ。
わたしの理想はねぇ、アノ時なの。
絶頂の瞬間。
でも、瞬間じゃないの、永遠のようにも感じるの。
う~ん、、、時間が止まってるっていうか、時間が無くなっちゃうの!
ただただ気持ち良くて、幸せに包まれて漂ってるだけなの。
で、その時はきっと何も考えたりはしていないと思うの。
TM:前、何かに乗っ取られちゃうみたいなこと言ってたけど、そのことだよね?
蘭:そう! 快感に乗っ取られてる?!(笑)
快感そのものになってるっていうか、自分っていうものが無くなってる感じ?
TMさんと性エネルギーを交換し合ってる時には、TMさんと一緒になってる、TMさんとわたしが溶け合ってひとつになってるのよ。
ひとつになってるのは性器が結合しているっていうだけじゃなくてよ!
身体だけじゃなくて、存在そのものがひとつに溶け合うの。
それでね、こういう状態のことを表す言葉ってあるのかなぁ?
まさか「執着」じゃあないでしょう?
TM:そうだなぁ。少なくとも、その瞬間? 永遠? の真っただ中にいるときは「執着」とは無縁なんじゃないかなって気はするね。
蘭:じゃあ、お仕事をしてる最中とかに、アノ時のことを妄想して仕事が手につかなくなっちゃうのは執着?
TM:う~~ん、、やや執着してるっぽいかな?(笑)
でも、さっき言ってた、「時間が止まってる」とか「時間が無くなっちゃう」っていうのは重要なポイントだと思うな。
「ZONE」っていう言葉を見聞きしたことはあるだろう?
蘭:ある! それよ、それ、それ!
ゾーン、ゾーン!
わたしもさっきその言葉を言いたかったんだけど、思いだせなかったの!(笑)
TM:優れたパフォーマンスを発揮するアスリートがゾーンに入ることは良く知られているよね。
他のジャンルでも、芸術家とか科学者とか、名作、名演、新発見が産み出される際には、必ずゾーンに入っているみたいだし。
蘭:じゃあ、わたしたちも優秀なアスリートの仲間入りしてるのね!
絶対にあれはゾーンなんだもん!
そうでしょう?
TM:まず、ゾーンに入っていたのは間違いないだろうね!
それに、蘭ちゃんと僕が協力すれば再現率は100%なんだから、素晴らしいことだよ。
それに、まだまだ奥が深そうで、伸びしろというか、未体験ゾーンが果てしなく広がっている感じがするもんな。
蘭:ねぇ! もしもさぁ、オリンピックにセックスでゾーンに入るみたいな種目ががあったら、わたしたちって金メダルを目指せるんじゃない?
TM:いやぁ、それはまだまだ甘すぎるよ。上には上がいるからね。僕達はまだ入門段階、性を宇宙旅行に譬えるなら、僕達は少しは地上を離れることはまだ地球の大気圏内に留まっている段階くらいなんじゃないかな。
そもそも、性に関しては太古の昔から先人たちが真剣に取り組んで来たんだから、既に相当のレベルまで到達した人もいると思うんだ。
蘭:それはそうよね。でも、オリンピックは冗談にしても、もし、実現したとして、その様子を想像するのって面白くない?(笑)
そもそも、フィギュアスケートや体操みたいな採点競技になるのかなぁ?
それとも、何か客観的に実力を測れる装置を導入して、100m走りみたいに測地結果だけで優劣が確定するようになるのかなぁ?
TM:どっちにしても、視聴率は稼げそうだよね!(笑)
競技人口も増えそうだな。
蘭:そうね! 競技人口が増えたら、少子化も解決しちゃうかも?
TM:う~~ん、でも、逆に、人口爆発しちゃうかもよ?
蘭:そっかぁ。そうなっても困るかぁ。
なぁ~んか良い方法あると良いんだけどなぁ。