マズロー五段階欲求のドッグバージョン~タントラマンへの道(第67話)
前回、三大欲求(食欲・睡眠欲・性欲)を話題として取り上げた際、マズローの五段階欲求説を連想したので、ふと、愛犬にこれを当てはめてみたらどうなるのか?
と思い立ったので、やってみることにしました。
マズローの五段階欲求説の下から順番に見ていきます。
生理的欲求:性欲に関しては、彼は去勢済みということに加え、発情期の雌犬と遭遇したこともなさそうなので、性欲がどの程度あるのかはわかりません。しかし、前回書いたように、僕とのプロレスごっこ(疑似セックス)で十分に満足しているようにも思えます。食欲に関しては、味や食感にこだわらないのだとしたら、健康はちゃんと維持できているので満たされていると思われます。睡眠欲に関しては、もう最上レベルで満たされていると言ってもよいでしょう。
安全の欲求:天敵やライバルの攻撃を常に気を付けていなければならない野生動物と比べると、はるかに高いレベルで満たされているのでしょう。同じ愛犬でも、初代は屋外で鎖につながれていたのですが、生涯に渡って脚を投げ出して横たわる姿勢で熟睡するような贅沢は味わえなかったと記憶しています。でも、今の三代目は、人間と同等以上の睡眠環境を与えられています。また、散歩中でも強そうな犬に出会った時には、ちゃっかりと僕の股の間に身体を入れて来ますので、彼としてはしっかりと守ってもらえるという安心感があるのだと思います。
社会的欲求:彼にとっての群れは、僕と母のみ。たった3頭(人)だけの群れ。散歩で顔なじみの犬友はいるにはいるけど、そんなに親しく遊ぶってことも無いし、犬友に会うことを楽しみにしているようにも見えない。それに現在は母が入院して4カ月になるのだが、入院直後の時点でも母がいないことをそれほど気にしている様子も見られない。ただし、僕の行く先々にことごとく付きまとうようになったので、僕が居なくなってしまうことは本能的に恐れていると思われる。でも、僕もいなくなってしまったとしたら・・・。その時はそこまでじたばたすることなく、誰にも見つけてもらえなかったとしたらあっさりと死を受け入れるのだろう。なので飼い犬の社会的欲求は、安全欲求を少し拡大した程度のものなのかもしれない。
承認欲求:これ、どうなんだろう? 「お父さん! ボクに注目して!」というような素振りをみせることは時々ある。たとえば、おもちゃを持ってきて僕の目の前でこれ見よがしに遊んでみたりするけど、それって承認欲求なのかな? 飼い主にほったらかしにされている犬はストレスを感じてしまうという話も聞くので、やはり犬にとっては飼い主とコミュニケーションをとりたいというのが承認欲求なのかもしれない。あ、でも、それって社会的欲求? なんだかよくわからないな。
自己実現欲求:そもそも自己実現って何? ってことなんだけど、一言で言うと「本当の意味での自己実現とは、ありのままの「状態」であり続けることです。」ということらしい。
えっ!? そうだとするならば、彼は産まれた時からずっと自己実現してるってことになるんじゃないの? そういえば、人間にとっては「今に生きる」ってことはなかなか難しいけど、彼は常に「今に生きてる」ように見える。本当の犬の母親から引き離されて僕にもらわれてきたときも、母犬を探し求めて悲しんでいるようにも見えなかったし、母が入院した時の反応は前述した通り。要は、何が起きてもそれをあっさりと受け入れることが出来るので、過去を悔んだり、未来を心配したりすることとは無縁のように見える。彼は生まれながらに悟りの境地にいるのかも?自己超越欲求:彼は人間に飼われてしまっているので当てはまらないのかもしれないけれど、野生動物はみな自己超越していると言えるかも。なぜなら、彼らは完璧に自然界(生態系)に組み込まれているので、普通に生きているだけで生態系の一部としての役割を間違わずに果たしているのだから。
こうしてみると、恩着せがましくはありますが、彼はかなりのレベルで欲求を満たせているのではないかと思われます。あるいは、彼は強欲ではないだけなのかもしれません。いずれにせよ、彼から学べることはいろいろありそうに思えてくるのでした。
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