心臓手術失敗!? 下半身不随の恐怖 ~タントラマンへの道(第1話)
下半身麻痺!?
「タントラマン! 死んじゃダメ! 立って! 地球はまだあなたを必要としているのよ!」
ってな感じで声をかけられたかどうかは定かではないが、眼が覚めた。「良かった~! 意識が戻って~!」と女性の声。若いナースだった。そうだ、オレは心臓冠動脈バイパス手術を受けたんだった。「あ~、良かった! 助かったんだな~。」と安心したのも束の間。「えっ!? か、身体が全然動かせない!」「もしかして、手術失敗して全身麻痺になってしまったのか?」そんな危機的な状況に陥っているのかもしれないのにも関わらず、実際には意外と冷静だったようだ。下半身は全く動かせなかったものの、右腕は少し動かせた。視力も大丈夫そうだ。もともとど近眼なのだが、視界にあった壁時計を見ることはできた。ナースが、現在、土曜日の午前10時なのだと教えてくれた。「えぇ!? ってことは、手術台に乗ったのは水曜日の朝8時過ぎだったハズ。 ってことはあれから丸三日以上になるんか!?」みたいな感じで、いまのところ思考能力も大丈夫そうだ。まだ身体はほとんど動かせなかったので、視界や体感覚を頼りに状況を探ってみたところ、首、胸、腹、脚にかなりの数の管が差し込まれているようだ。口にも太い管が挿入されている。そのほか、大事な一人息子も先っぽから管をつっこまれて拷問を受けているようだった。もし、このまま寝たきりになってしまったらどうしよう?との思いが湧いてきたが、この場合の「どうしよう?」は、「心配」や「不安」ではなく、「どうやって生きていこうか?」という自問だったと思う。そんなことを考えていたところ、ナースが話しかけてきてくれた。これまでの状況を説明してくれたのである。それによると、、、
(つづく)