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銀行から新たなキャリアへ - 元バンカー3名が語る転職と成長の軌跡

はじめに

本記事は、Career Lab for Bankersで開催されたウェビナーの対談内容をまとめたものです。登壇者は以下の3名です:

稲葉大二郎
みずほ銀行に8年在籍後、コンサルティング会社を経て、現在はセブンリッチグループに所属。


濵砂円郁
銀行に10年在籍した後、コンサルティング会社で2年の経験を積み、現在はセブンリッチグループで投資先企業のPMI(投資後の経営統合)に携わっています。


岡田直己
三井住友銀行で札幌と銀座の2拠点を経験後、現在は株式会社BOXにて、札幌拠点長として札幌拠点の立ち上げに従事。行政連携や企業向けメディア運営を手がけています。

3名とも銀行から異なるフィールドに転身し、それぞれのキャリアを築いています。この対談では、銀行員としての経験がどのように現在の仕事に活きているのか、転職時の苦労、そして銀行員という経験の価値について率直な意見交換をしました。

なぜ銀行員になったのか

濵砂:
理由は2つあります。1つは就活段階で業界を絞りきれず、金融という仕事を通していろんな業界の仕事を見てみたいと思ったこと。2つ目は父親が金融機関勤務だったので、小さい頃から馴染みがあったことです。当時はそれほど深く考えていませんでしたが、仕事を続けていく中で、自分なりの理由を見出せたという部分もあります。

岡田:
実は私は最初、アナウンサーになりたくて試験を受けていました。叶わなかった後の選択として、父も母も兄も銀行員という環境もあり、銀行で働くイメージが持てたので金融業界を選びました。銀行での仕事内容も、家族から話を聞いて理解していたことが大きかったです。

稲葉:
私の場合は正直に言うと、「内定もらった!よっしゃ!」ぐらいの気持ちで入行しました。ただ、社会人経験を重ねる中でやりたいことが見つかっていきました。これは多くの銀行員にも共通する経験ではないでしょうか。

銀行員の強みとは

岡田:
月間20名以上の銀行員の方と面談する中で、強みは年次によって異なることを実感しています。若手の段階では、社会的信用の高さが際立ちます。銀行という組織で働いているということで、「しっかりしている」と見られ、ビジネスマナーも体系的に学べる環境があります。

特筆すべきは、1年目2年目という早い段階から経営層の方々、社長さんや財務部長と膝を付き合わせて数字について話ができることです。このトップとの交渉力、接触力は他業界に引けを取らない特徴です。年次が上がると、金融領域での専門性が強みとなってきます。

濵砂:
その通りですね。特に印象的なのは、経営者との接点の早さです。今思い返すと、銀行員時代は当たり前に経営者と会っていましたが、これは非常に特別な経験だったと実感しています。

転職後の苦労と適応

濵砂:
転職後、最初の半年は本当に必死でした。特に大きく2つの面で苦労しました。1つ目は仕事に対する向き合い方やマインドの転換です。銀行では特に営業担当者は結果にこだわって自分の力で成果を作り上げていく文化でした。銀行のアセットや組織、本部の部署を使って、自分の力量で成果を積み上げていく。

一方、コンサルに転職すると、チームでアウトプットを最大化する組織文化でした。必ずしも自分がやらなくていい仕事もある。役職の上下関係に関係なく、適材適所で仕事を割り振る。この考え方への転換に時間がかかりました。

稲葉:
私も2社目がデロイトトーマツのグループでしたが、資料作成一つとっても相当苦労しました。30歳近くで入社したので「当然できるだろう」という前提で、指導してくれる人もいませんでした。1年目の新卒の子に教えを請うこともありました。プライドを捨てて、とにかく学ぶ姿勢を大切にしました。

銀行経験が活きる意外な場面

濵砂:
コンサル時代に特に活きたのが、企業の内部意思決定フローへの理解です。大企業にしろ中小企業にしろ、銀行員は相手の企業がどんな意思決定プロセスで動いているか、その中に銀行としての提案をどう差し込めるかを常に考えていました。この感覚は、コンサルタントとしても非常に重要でした。

また、財務知識について重要な気づきがありました。銀行員は決算書やIRなど、事業活動の結果出てきた数字を見て考えていく人種です。しかし外で活躍するには、企業活動を回して決算書の数字を作り出していく逆方向のスキルも必要です。事業戦略を作り、それを達成するためのKPIを設計し、企業運営をしていく。この両方ができて初めて、CFOや事業責任者として機能するのです。

岡田:
私の場合は、人材業界で活きています。企業のビジネスモデルを理解し、特にマネタイズの部分をどう伝えるかという点で、銀行時代の経験が非常に役立っています。また、相手の懐に入り込む力も銀行時代に培われました。取引先の方々と信頼関係を築く中で、どうやって心を開いてもらうかを学びました。

キャリアの転換点について

岡田:
私の場合、大きな転換点は「父を超える」という命題がありました。父は銀行員として定年まで勤め上げました。その父を超えるには、父が踏み出せなかった一歩を自分が踏み出す必要があると考えました。より速いスピード感で成長できる環境を求めて転職を決意したのです。

濵砂:
私の場合は3つの理由がありました。1つ目は管理職までの昇進待ち時間が長すぎると感じたこと。2つ目は人生100年時代を見据えて、キャリアの絶頂期をより長く維持したいと考えたこと。そして3つ目は、企業経営に携わりたいという思いです。銀行では若いころから経営者に会う機会が多く、自分もそうなれるはずだと考えていました。

まとめ

稲葉:
銀行員としての経験は、思いがけない場面で活きてきます。最初は苦労する時期もありますが、その経験を発揮できる場面に必ず出会えます。

濵砂:
銀行という素晴らしい組織で、なくてはならない金融という機能を担う皆さんを本当に尊敬しています。楽天の三木谷さんや最近都知事選に出た石丸信二さんなど、銀行出身の立派な方がたくさんいます。残る選択をする人も、外に出る選択をする人も、それぞれの道でぜひ頑張ってほしいと思います。

この対談で印象的だったのは、3名とも銀行員としての経験を誇りに思いながら、その経験を新たなフィールドで存分に活かしていることです。銀行で培った経営者とのコミュニケーション能力、財務知識、組織理解力は、どの業界でも必ず武器になります。新しい環境では一時的な苦労はあるものの、それを乗り越えることで更なる成長が待っています。今、転職を考えている銀行員の方々にとって、可能性は無限大に広がっているのではないでしょうか。

今後もBanCaはバンカーの可能性を無限大にできるアクションを実行していきます。お楽しみに!

BanCaのこれからの取り組みもご期待ください

本記事に関するお問い合わせ

SEVENRICH GROUP
稲葉 大二郎(いなば だいじろう)
daijirou.inaba@sevenrich.jp


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