「子どもはぜいたく品」という声
「子どもはぜいたく品」という声が示す、日本の少子化対策の根本問題
少子化が深刻化する日本。政府はさまざまな対策を打ち出そうとしていますが、思うように成果が上がらず、議論はますますヒートアップしています。そんななか、実業家でネット論客としても知られる“ひろゆき”氏（西村博之さん）が指摘した少子化対策への問題提起や、「子どもはぜいたく品」「今の日本では子どもを作らないのが最適解」という声が広がっていることが、スポーツニッポンの記事(※1)でも取り上げられています。果たして、このような声はどのような背景から生まれ、日本の少子化問題をどのように捉えればいいのでしょうか。
■ 「子どもはぜいたく品」という現実的な見方
子育てにかかる費用は、保育料や習い事、学費など非常に多岐にわたります。また、都会を中心に住居費や生活費の負担が大きいこともあり、「余裕がなければ子どもを持つのは難しい」という感覚が若い世代に広がっています。
経済的リスクへの不安
非正規雇用の拡大や将来の年金不安、住宅ローンなど、日本で子どもを養ううえでの金銭的負担は決して軽くありません。子育てにかかる経済的リスクを考えると、「まずは自分たちの生活を安定させるのが先」という姿勢が強くなるのも無理はありません。“ぜいたく品”という言葉のインパクト
「子どもはぜいたく品」と表現されると、やや過激にも思えますが、それほどまでに子どもを育てるハードルが高いと感じる人が増えていることの表れともいえます。実際、子どもを望んでいても、「経済的に厳しい」「将来が見えない」との理由で出産を控える夫婦は少なくありません。
■ ひろゆき氏の指摘する少子化対策の問題点
ひろゆき氏はたびたび少子化対策や子育て政策についてコメントし、「単純にお金をばらまくだけの政策では効果が薄い」と主張しています。これは、現金給付や子ども手当など“目先のサポート”があっても、根本的な課題（働き方、保育・教育環境の充実、社会保障の改善など）を解決しなければ、子どもをもつ選択にはつながりにくいという見方です。
長期的視点の欠如
今の政治は「当面の対策を急ごう」という雰囲気が強い一方で、抜本的に社会全体を変えるには至っていません。育児休業制度や保育施設の拡充、女性や若者が働きやすい環境づくりなど、長期的視点での投資や仕組みの整備が進まない限り、本質的な少子化対策にはならないでしょう。働き盛り世代への過度な負担
そもそも働き盛り世代の人々が長時間労働や低賃金に苦しんでいる現状では、「子どもを持つための時間的・精神的な余裕」すら持ちにくいケースがあります。子どもを育てたいと考えていても、現状では“作らない”ことが合理的な選択に映ってしまうのです。
■ 本当に「作らないのが最適解」なのか？
一部には「今の日本で子どもを作るのはリスクが高い」「だから作らない方がいい」といった声もあります。しかし、それは単なる自己防衛の観点だけではなく、「社会や政治が変わらないなら、自分たちでどうにかするしかない」という諦めの感情も含まれているように感じられます。
子どもを持つ意義の再定義
子育ては確かにお金がかかるだけでなく、体力や時間も奪われます。しかし、それ以上に得られる喜びや生きがいがあるのも事実。家族としてのかけがえのない体験や、子どもの成長を見守る幸せをどう評価するかは、人それぞれです。社会全体での支え合いが不可欠
少子化が進むと、将来的に働き手が不足し、社会保障制度の維持も難しくなる懸念があります。子どもを「持つ・持たない」は個人の自由な選択ですが、社会としては「安心して子どもを持てる環境を整える」努力を続けない限り、少子化に歯止めをかけることは難しいでしょう。
■ 「ぜいたく品」を望む選択と社会の責任
「子どもはぜいたく品」という言葉は、経済的なハードルの高さや社会のサポート不足を浮き彫りにしています。一方で、そうした厳しい環境のなかでも子どもを産み育てる道を選ぶ人もいます。その選択が“ぜいたく”ではなく、“当たり前”と感じられる社会こそが、少子化を克服する鍵なのではないでしょうか。
ひろゆき氏の指摘や「最適解は子どもを作らないこと」という声に触れると、今の日本社会が抱える構造的な問題や、人々が感じている閉塞感が見えてきます。しかし、本来は「子どもを持ちたい」という希望があれば、それをかなえやすい土壌を整えることが社会や政治の役割のはず。さらに言えば、子育てを選択しない人生観も尊重されるべきです。大切なのは、一人ひとりが「望む生き方」を自由に選べること――そして、その選択を社会が適切にサポートする仕組みをどう作るかという点に尽きるのではないでしょうか。
(※1) 参考：スポーツニッポン（Sponichi Annex）の記事
「ひろゆき氏、少子化対策の問題点指摘も…『子供はぜいたく品』『今の日本では子供作らないのが最適解』の声」