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経営者に向いている人・向いていない人の特徴
起業に必要なスキルと学ぶべきこと
「自分には経営者としての適性があるのか?」「起業したいけど、必要なスキルや心構えを知りたい」――そんな疑問を抱える方は多いでしょう。
実際、経営者という存在には、特定の“向き・不向き”が存在します。ただし、まったく向いていないからといって起業が不可能というわけではありません。重要なのは、自分の特性を正しく理解し、経営に必要な知識やスキルを学び続ける姿勢を持つことです。
本コラムでは、 「経営者に向いている人の特徴」「向いていない人の特徴」「経営者が学ぶべきこと」 を整理してみました。これから会社を作ろうとする方、あるいは現在の経営スタイルを見直したい方の参考になれば幸いです。
1.経営者に向いている人の特徴
1-1.決断力がある
スピード感をもって判断し、不確実性を恐れすぎない
経営の世界では、「100%正確な情報」はまずありません。限られたデータや状況下で最適な(あるいは最善と信じる)決断を下し、もしうまくいかなければ柔軟に軌道修正できる人が、ビジネスのスピードを落とさずにすみます。タイミングを逃さない
市場は刻々と動いており、意思決定が遅いと商機を失います。決断力を発揮できる人は、有利なタイミングをしっかりつかみ取れるでしょう。
1-2.先見性があり、長期的視点を持っている
社会や業界の変化をいち早く察知
テクノロジーの進化や消費者ニーズの変化を見越し、数年先を見据えてアクションを起こせる。目先の利益だけでなく、持続可能な成長を狙う
AIや環境問題など、新たなトレンドを無視しては厳しい現代。長期的なビジョンを掲げ、ブレずに投資や開発を進められる人が、時代に取り残されにくいといえます。
1-3.勉強熱心で、学ぶ姿勢がある
経営・マーケティング・財務など、多方面の知識を積極的に吸収
経営者にとって、営業力・マーケティング戦略・財務管理など、あらゆる面で一定レベルの理解が必要。専門家の意見を柔軟に取り入れる
自分が知らない領域や弱みを自覚し、学び続けることで事業拡大への道を開く。
1-4.信念がある
価値観やビジョンが明確
「なぜこの事業をするのか?」という原点がブレない人は、困難に直面しても踏み止まる原動力を持っています。短期の挫折に負けず、長期的な成功を追求
起業後は山あり谷あり。弱い信念ではすぐに諦めてしまいますが、強い意志があれば“回復力”が違います。
1-5.人間力がある(誠実さ・信頼感・共感力)
「今だけ・金だけ・自分だけ」ではなく、利害関係者全員の幸せを考えられる
ビジネスはチーム戦。社員や取引先、顧客に信頼されるためには、誠実かつ共感力の高いリーダーである必要があります。「この人のためなら頑張りたい」と思われる存在感
組織が大きくなるほど、人がついてきてくれなければ成り立ちません。お金や仕組みだけでは解決しない「人間力」が求められます。
1-6.リーダーシップを発揮し、マネジメントできる
チームをまとめ、適材適所に人を配置
組織が拡大すれば、一人で全てをこなすのは不可能に。スタッフや幹部をうまく育成し、モチベートする技術が欠かせません。人材育成に注力し、組織全体を成長させる
メンバーが成長すれば会社の力は飛躍的にアップ。経営者は常に「人材マネジメント」を意識すべきです。
1-7.財務管理を理解し、お金の流れを把握できる
収支・損益を正しく把握し、無駄を減らしつつ必要な投資ができる
売上はあってもキャッシュが回らずに倒産する例は多く、「利益はあるのにお金がない」という状況が典型的な失敗パターンです。安定したキャッシュフローと資金繰りを設計
例えば毎月の固定費や在庫リスクをコントロールする力が重要。
2.経営者に向いていない人の特徴
2-1.目先の利益だけを追い、長期的視点がない
短期的な売上確保のために無理をしがち
その結果、後々大きなツケを払うはめに。長期的に見たブランド価値や顧客満足度を軽視すると、継続的な発展が難しくなります。
2-2.「投資・消費・浪費」の区別があいまい
必要な投資をケチる一方、不要なところで出費
ビジネスの成長に必要な設備投資や人材への投資を惜しんだり、逆に華美なオフィスや交際費に浪費したりしてしまう。結果的にチャンスを逃し、経営基盤が脆弱化
最終的に資金繰りが苦しくなり、破綻を招くリスクが高まります。
2-3.ネガティブ思考でリスクを過大視し、挑戦を避ける
「失敗が怖い」で止まってしまう
起業は失敗リスクがつきもの。リスクを全て排除できることはなく、成功者はそれを織り込んで行動。問題発生時に諦めが早く、解決策を模索しない
壁に当たった途端「もう無理だ」と放り出す人は、会社の存続が危うくなります。
2-4.勉強しない(学ぶ姿勢がない)
時代の変化を理解せず、昔のやり方に固執
デジタル化や消費者ニーズの変化が激しい時代に、学ばない経営者は取り残されます。業界トレンドを知らず、致命的に遅れを取る
新市場や技術に疎ければ、ビジネスチャンスを逃し、競合に敗れる確率が高い。
2-5.独善的で、人の意見を聞かず軌道修正できない
「自分が正しい」と思い込み、市場や顧客の声を無視
需要とズレた商品を作り続けたり、社員のモチベーションを下げたりする。頑固になりすぎて修正が遅れる
ビジネスは常に動いているため、修正のタイミングを逃すとダメージが大きい。
2-6.「人・お金・商品(サービス)」の管理が下手
社員や取引先との関係が悪く、人が離れていく
経営は一人では成り立たないので、協力してくれる人に恵まれないと厳しい。お金の使い方が杜撰で、資金繰りに行き詰まる
何度も赤字や借金を繰り返すと信用を失い、運転資金が回らなくなる。商品やサービス改善に無関心で、競合に負け続ける
時代に合わせてアップデートしなければ、消費者から選ばれなくなる。
3.経営者が学ぶべきこと~成功に近づくスキルセット
経営者の適性にはいろいろありますが、学ぶ姿勢と実行力があれば、たとえ向いていない要素があっても補うことが可能です。以下のポイントを意識してスキルアップを図るのがおすすめです。
3-1.採用・育成
適切な人材を見極め、チームを作る能力
採用時はスキルだけでなく価値観・人間性の一致が大切。社員をモチベートし、育成する仕組みづくり
キャリアパスや教育制度を整え、社員が成長できる環境を用意。
3-2.営業力・マーケティング
商品を売る仕組み(セールス/マーケティング施策)
SNSやWeb広告、SEOなどデジタル施策の知識も必須に。ターゲット顧客の明確化
「誰に、何を、どのように」届けるのかを常に意識。
3-3.財務管理能力
数字に強くなる(損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書の理解)
経営判断をする際、事業の現状や将来性を数値で把握するのは不可欠。適切な投資とコスト削減
どの部分に投資すべきか、どのコストを抑えるべきかを正確に見極め、成長と安定を両立する。
3-4.新規事業開発能力
市場調査と顧客ニーズ分析
どんな顧客がどのような課題を抱えているのか、リサーチスキルが鍵。リスクマネジメント
新しいチャレンジには失敗リスクがつきまとうが、事前に対策を講じることで被害を最小化できる。
3-5.商品・サービスの品質向上
顧客からのフィードバックを活かす仕組み
顧客満足度を定期的に調査し、改善を続ける企業ほど競争力が高まる。技術革新や市場の動向をウォッチ
特にIT化やAI技術はビジネスを大きく変える要素。常に最新情報をキャッチアップ。
◾️まとめ:経営者の“向き不向き”を超えて成功する方法
向いている人の特徴:先見性・決断力・信念・人間力・学ぶ姿勢・財務管理・リーダーシップ
向いていない人の特徴:短期思考・投資苦手・ネガティブ思考・勉強不足・独善的・人やお金の管理が苦手
確かに、性格や行動特性によって「経営者に向いている」「向いていない」は存在します。しかし、「向いていない面」があっても、意識して学び、改善すれば十分成功する可能性があります。結局、経営は学ぶべきことを学び、適切に実行し続けるかどうかで成果が変わるのです。
自分自身を客観的に分析し、弱みを補強する
情報収集と実践を繰り返しながら、失敗から学ぶ
人を巻き込み、信頼関係を築きながら、長期的視点で事業を育てる
こうしたプロセスを歩むことで、会社経営の成功率は格段に上がります。もし「本当に自分にできるだろうか?」と迷っているなら、まずは学ぶことから始めてみてください。経営は特別な才能だけでなく、継続的な努力と柔軟な思考によって実現可能な世界です。あなたのビジネスが大きく飛躍するきっかけになれば幸いです🌿
参考情報・動画
1. 参考動画
1-1.YouTubeチャンネル/オンラインセミナー
グロービス学び放題 公式チャンネル(YouTube)
経営、マーケティング、財務、リーダーシップなど多彩なテーマで、MBA教授や起業家による解説やインタビュー動画が公開されています。
スキマ時間でも学びやすいのが魅力です。
NewsPicks Studios(YouTube)
有名企業の経営者やスタートアップの創業者へのインタビュー、トレンドに関する討論動画など、最新の経営情報をキャッチアップできます。
リアルな経営者の「決断力」「先見性」「学び方」に触れるのに最適です。
スタンフォード大学 eCorner(英語・日本語字幕対応)
シリコンバレーの起業家や投資家が講演を行う動画が豊富。
「先見性」や「リスクマネジメント」「学び続ける姿勢」を、世界的リーダーの視点から学べます。
TED Talks(英語・日本語字幕対応)
起業・リーダーシップ・新規事業開発など、ビジネス全般に関するプレゼンテーションが多数。
特にSimon Sinek氏の「How Great Leaders Inspire Action」などは、経営者のビジョン設定やチームのモチベーションに関する示唆が多いです。
TED Talks: Business
ホリエモンチャンネル(堀江貴文氏 / YouTube)
実業家である堀江貴文氏が、起業や経営にまつわるリアルな意見をストレートに発信。
「決断力」「リスクを恐れない姿勢」など、スピード感を重視した経営手法を学びたい方におすすめ。
1-2.オンライン学習プラットフォーム
Udemy(ユーデミー)
起業・経営・マーケティング・財務管理など、幅広いテーマの講座が揃うオンライン学習サイト。
日本語のコースも多く、初心者向けから上級者向けまで選択肢が豊富です。タイミングによってはセール価格で学べます。
グロービス学び放題(有料)
MBAレベルの経営知識をオンラインで体系的に学べるサービス。
「財務管理」「マーケティング」「リーダーシップ」などを基礎から総合的に習得可能。
2. 参考文献
2-1.起業・経営の基礎全般
『起業の科学』田所雅之(著)
事業アイデアの検証方法やビジネスモデルの作り方、資金調達まで、スタートアップ立ち上げ期に必要な実践的ノウハウを網羅。
「新規事業開発能力」を高めたい方にもおすすめ。
『ゼロ・トゥ・ワン』ピーター・ティール(著)
シリコンバレーの著名投資家ピーター・ティールの著書。競合のいない“独自市場”を作る発想法が学べます。
「先見性」や「長期的視点」を磨きたい場合に参考になる一冊。
『リーン・スタートアップ』エリック・リース(著)
少ないリソースで仮説検証を繰り返し、事業を素早く成長させる手法を解説。
失敗を恐れずチャレンジするための「リスクマネジメント」の考え方や実践例を学べます。
『ビジョナリー・カンパニー』ジム・コリンズ(著)
長期的に成功し続ける企業に共通する特徴を徹底分析。
「長期的視点」や「信念(コアバリュー)」の大切さを理解するのに最適です。
『マネジメント[エッセンシャル版]』ピーター・ドラッカー(著)
経営学の定番書であり、リーダーシップや組織運営、人材管理など、経営の原理原則が学べる。
「人間力」「マネジメントスキル」を高める上での基礎知識としておすすめ。
2-2.リーダーシップ・マネジメント
『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー(著)
世界的な自己啓発書の定番。リーダーとしての「信念」「人間力」を高める習慣が具体的に紹介されています。
スタッフや幹部との信頼関係構築にも応用しやすい内容です。
『リーダーシップ論』ジョン・C・マクスウェル(著)
リーダーシップの基盤と、具体的な育成ステップを体系的に解説。
組織をまとめる「マネジメント能力」や「適材適所の配置」を学ぶ入門書として役立ちます。
2-3.財務・数字への理解を深める
『財務3表一体理解法』國貞克則(著)
損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)、キャッシュフロー計算書(C/F)をまとめて理解できる入門書。
お金の流れを把握する「財務管理」の基礎に最適です。
『起業のファイナンス』磯崎哲也(著)
スタートアップの資金調達や投資家対応、ベンチャー企業特有の財務戦略を解説。
「安定したキャッシュフロー」を設計する上での考え方を学べます。
『会社四季報 業界地図』(東洋経済新報社)
主要業界の構造、規模、主要企業などをコンパクトにまとめた1冊。
新規事業開発や競合分析の基礎情報として役立ちます。
3. 公的機関・専門家の活用
日本政策金融公庫(JFC)
創業支援融資、経営アドバイスなどを受けられる。実際の資金調達や計画策定を考える際に有用。
日本政策金融公庫 創業サポート
中小企業庁 創業・ベンチャー支援
事業計画の書き方、補助金・助成金情報など、実務に役立つ情報が多い。
中小企業庁 創業・ベンチャー支援
中小企業診断士・税理士・公認会計士などの専門家
経営戦略や財務、補助金申請サポートなど、状況に応じて具体的なアドバイスを得られます。
迷ったときは早めに相談すると、失敗リスクを下げることが可能。
◾️まとめ
「決断力」「先見性」「リーダーシップ」「財務管理」など、幅広い知識とスキルが必要になるのが経営の世界です。
書籍やオンライン講座で“理論”を学ぶだけでなく、動画やセミナーなどで“実践者の声”に触れてみることも大切です。
起業や経営には正解が一つではなく、常に学び続け、軌道修正しながら進んでいく姿勢が求められます。
本コラムで紹介した「経営者に向いている人の特徴」「向いていない人の特徴」「学ぶべきこと」を踏まえつつ、ぜひ参考情報や動画を活用して、一歩ずつスキルを身につけてください🕊️✨
※本記事は一般に公開されている経営・起業関連の情報、および長年の経営実務経験を持つ専門家の見解を参考に、まとめ・再構成しています。個々の状況に応じて具体的なアドバイスが異なる場合もあるため、専門家に相談することをおすすめします。