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少子化問題に向き合わない日本社会の行き詰まり

なぜ子どもを育てるほど生活が苦しくなるのか?

近年、「日本の少子化が加速している」というニュースを耳にしない日はありません。それにもかかわらず、少子化対策に本腰を入れて取り組んでこなかった政府や各省庁の姿勢に、多くの国民が不信感を募らせています。さらに、税を納める世帯より年金を受け取る世帯が上回り、増税を掲げる政党が選挙で勝ち続ける構造ができあがっている――こうした背景を踏まえると、将来を担う子ども世代が負担を強いられる未来が見えてしまい、私たちが暮らす社会の先行きに不安を抱かざるを得ません。

本コラムでは、「少子化問題」や「増税」「年金世帯の増加」といったキーワードを軸に、今の日本社会に横たわる不条理について探っていきます。さらに、「子どもを育てても貯金が減るばかり」「一人暮らしすらままならない社会って、本当におかしいのでは?」という声に耳を傾けつつ、どこに問題の核心があるのかを考えてみます。


1.少子化問題に向き合わなかったツケ

1-1.政府の少子化対策の遅れ

日本政府は少子化の深刻化が叫ばれて久しいにもかかわらず、十分な対策を講じてきたとは言いがたい状況です。子どもを産み育てやすい環境づくりが追いつかず、保育所の不足や待機児童問題、教育費の高騰など、子育て家庭の負担感は一向に軽減されていません。結果として、「子どもが増えないと今の日本の生活水準は維持できない」とわかっていながらも、具体的な改善策が進まず、親世代が一方的に苦しむ構図になっているのです。

1-2.選挙で浮き彫りになる「高齢世帯優遇」

厚生労働省の「令和元年国民生活基礎調査」によると、公的年金・恩給を受給している世帯は約2,678万6千世帯で、全世帯5,178万5千世帯の 51.7% を占めることが明らかになりました。すなわち、日本ではすでに「年金受給者を抱える世帯」のほうが、「納税を主体的に行う若年層・現役世代の世帯」より多数派という事実があります。
選挙では、多数派である年金世帯の声が反映されやすく、結果として「増税」を推進する政党が勝ちやすい構造に陥っているとも言えます。与党・野党を問わず、「どこかで増税をして財源を確保せざるを得ない」という現実があり、そのツケはどうしても若い世代やこれから子どもを育てる世帯に回りがちです。


2.「納税しているのにご飯も食べられない」――子育て家庭の苦悩

2-1.子どもを産むほど「生活は苦しくなる」現実

少子化が続けば、日本の将来が危ういことは周知の事実です。にもかかわらず、実際に子どもを複数人育てている家庭ほど家計が厳しくなるのが日本の現状。

  • 教育費

  • 医療費や習い事の費用

  • 住宅費(広めの住居が必要になる)

  • 食費・光熱費の増加
    これらが積み重なり、さらに増税の波が重なると、「子どもを立派に育てたい」と思っても、そのための経済的余裕がほとんど残らないという声が多く聞かれます。

2-2.「一人暮らしができない」「家族でもカツカツ」の悲鳴

「まじめに働いて納税もしているのに、ご飯すら満足に食べられない」という悲痛な声も少なくありません。独立して一人暮らしをするにしても、家賃や光熱費の高騰で生活がままならない。結婚して子どもを持てば、さらに負担が増大して、共働きでも余裕がない――。
こうした状況では、「子どもなんて産めるわけがない」「将来が不安だから」という理由で出産を控える夫婦が増えるのは当然といえるでしょう。


3.「国に貢献した家庭」が報われない仕組み

3-1.多数の子どもを育てている世帯の負担

実際に4人の子どもを育てている家庭では、毎日のように膨大な出費が続きます。衣食住はもちろん、学費も頭を悩ませる要因の一つ。子どもが4人ともなれば、進学先や習い事の選択肢だけでも倍々に増えていきます。
本来であれば、「少子化対策」という観点から、多子世帯には手厚い支援が行われてもおかしくありません。ところが、現状では決して十分とはいえず、実質的には「子どもが増えれば増えるほど家計が苦しくなる」と嘆く声が後を絶たないのです。

3-2.年金・医療負担とのバランス

超高齢社会を迎えた日本では、医療・介護・年金といった社会保障費が年々増加し、その財源を支えるのは現役世代の納税です。子どもの多い家庭ほど将来の納税者を育てているにもかかわらず、現段階では優遇策が乏しく、むしろ生活の負担感が強まる一方。この矛盾こそが、「子育て家庭が報われない日本社会」の象徴と言えるでしょう。


4.少子化克服への転換点はどこにあるのか?

4-1.選挙と社会構造の改革

先述したように、年金受給世帯が多い現状では、どうしても票を多く持つ高齢層向けの政策が優先されがちです。少子化対策に力を注ぎたいと思っても、票になりにくい子育て世帯への支援は後回しになってしまう。
ここを変えていくには、若者が選挙で積極的に意思表示をする、あるいは政治家自身が 「将来世代への投資」 を真剣に掲げる必要があります。現状維持のままでは、「選挙で選ばれやすい増税政党の台頭」という負の連鎖が続きかねません。

4-2.本気の子育て支援策

ヨーロッパや北欧など、出生率が一時的に回復した国々を見ると、育児休業制度の充実経済的支援保育の無料化など、数々の施策を総合的に実施している事例が目立ちます。日本も数年前から「幼児教育・保育の無償化」を進めていますが、依然として保育所不足や保育士不足は解決していません。
さらに、子どもの医療費や学費負担の軽減、ひいては「大学無償化」など、家庭にかかる負担そのものを大幅に下げる施策が求められます。そうしなければ、「子どもを育てるほど損をする」というイメージは拭えないでしょう。


◾️まとめ:行き詰まる日本社会と未来への提言

「世の中が恐ろしすぎる」「まともに働いて納税しているのに、なぜこんなに苦しいのか」――こうした声が多く上がるのは、日本が抱える構造的な問題がいよいよ深刻化してきた証拠です。年金受給者が多数派となり、増税が事実上避けられない一方で、子育て世帯は経済的に追い詰められ、「一人暮らしすらままならない」と嘆く人たちが増えています。

しかし、少子化が進むほど日本の経済力や社会保障は先細りしていくのは明らか。今こそ、政治や行政が「少子化と真剣に向き合う」覚悟を示さなければ、将来の納税者である子どもたちがさらなる負担を背負うことになるでしょう。子どもを産み育てる家庭が「本当に報われる」仕組みを構築できるかどうかが、日本の未来を左右すると言っても過言ではありません。

私たち一人ひとりが現状を直視し、選挙や社会活動を通じて声を上げる必要があります。「子どもを産まないと国が維持できない」一方で、「産んでも育てにくい社会」では長期的に破綻するのは時間の問題。政府や各省庁の取り組みを注視するとともに、働き方の見直しや地域コミュニティの再生など、多角的な対策を推し進めることが、いまの日本に求められているのではないでしょうか🌿


参考資料・データ


「国に貢献しているはずなのに報われない」「子育て家庭が貯金を切り崩すばかり」といった悲鳴を現実の声として受け止め、今後の選択肢を模索していくことが、私たちの最重要課題となるはずです。

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