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“エリートコース”が住宅ローン破綻に
教育の失敗を招く日本のキャリア構造
「中高一貫の名門校へ進学し、東大まで卒業。大手IT企業(楽天など)で年収700万円を得たものの、その後、夢を追って転職したベンチャーでは年収580万円にダウン。自宅ローンの返済が苦しくなり自宅売却を余儀なくされ、1,200万円もの残債が残ってしまう……」。
こうしたエリートコースを歩んだはずの人が、想像以上に厳しい人生の局面に追い込まれるケースが増えつつあると感じるのは私だけでしょうか。教育熱心な家庭と文部科学省が描く“勝ち組”路線が、果たして本当に正解なのか、改めて考える必要があるかもしれません。
■ 小さい頃から勉強づけの“詰め込み教育”
中高一貫→東大というエリートルート
小学生のうちから受験塾に通い、中学受験に成功。名門中高一貫校に入り、周囲との学習競争に揉まれながら東大へ進む——いわゆる「超エリート路線」の典型です。“周りがやらせる勉強”と“自分の道”のギャップ
しかし、こうしたコースでは「とにかく成果を出すための勉強」を強いられ、自分のやりたいことや得意分野を深く考える余裕がないまま成長する子もいます。社会へ出てから“自分に合う仕事”に辿り着けない要因になることも。
■ 楽天・ベンチャー勤務で年収が下がる現実
大手IT企業で年収700万円
東大卒であれば就活で有利なことは多く、一流企業に入社できる可能性も高いでしょう。楽天など大手IT企業に入社し、若い年齢で年収700万円を手に入れるケースも確かにあります。夢を求めてベンチャー転職→年収580万円にダウン
ところが、大手の安定を捨てて「自分の夢ややりがい」を求めてベンチャーに転職すると、給与水準が下がることは珍しくありません。キャリアチェンジで年収が減り、思わぬ負債を抱える結果になることもあるのです。
■ 住宅ローンの負担が重くのしかかる
年収減少でローン返済が苦しく
大企業時代の収入を前提にして、数千万円の住宅ローンを組んだ場合、転職後に年収が下がると途端に返済が苦しくなります。最悪の場合、自宅を売却してもローン残債(1,200万円など)が残るケースも…。不動産購入を急かす空気
日本には「いい大学へ行って、いい会社に入り、マイホームを買うのが幸せ」という神話が根強く残っています。しかし、金利や物価上昇、転職リスクなど変化の激しい社会では、その神話が必ずしも通用しません。
■ これって「教育の失敗」なのか?——文科省の責任は?
文部科学省の“詰め込み路線”の弊害
詰め込み教育や受験偏重のカリキュラムは、高校や大学の偏差値を上げることには成功しても、「社会で生き抜くスキル」「自分らしさを見つける力」を育むとは限りません。学歴信仰が生む“個のライフプラン”の軽視
“一流大学卒なら安泰”という神話が崩れつつある今でも、親や学校は子どもに過度な期待をかけがち。結果、子どもは成功ルートを歩んでいるはずが、社会に出た後のキャリア設計やライフプランを見誤るケースが後を絶ちません。
■ 時代に合った“生き方と学び方”を考えよう
学歴至上主義から脱却
高学歴でも年収や安定が一生保証されるわけではなくなりました。むしろ多様なスキルやキャリアを柔軟に構築する姿勢が求められる時代です。財務リテラシーとキャリアリテラシーの強化
住宅ローンを組むにしても、「いつ・どれくらい」の支払いになるかを慎重に判断する能力が必要。キャリアを変えたいときに備えて、投資や貯蓄、複数収入源の確保を考えておくべきでしょう。教育の現場で“社会を生き抜くスキル”を伝える
プログラミングや英語だけでなく、リテラシー教育(金融、キャリア、情報)を早い段階から取り入れていく必要があります。文科省含め、教育政策全体のアップデートが不可欠です。
■ まとめ:学歴がゴールじゃない時代、親子で“生き方”を再考する
東大卒・大手企業勤務でも、ベンチャー転職後に給与が下がり、住宅ローン返済に苦しむ——こうした事例はもはや珍しくありません。一見「成功した」ように見えるエリートルートが、必ずしも安泰をもたらすわけではないのです。
「受験で勝ち抜いて名門大学へ行くのがベストだ」というイメージは、“昭和~平成初期”の高度成長期に作られた神話かもしれません。学歴至上主義にすがりついたままでは、子どもが本当に必要な力(変化対応力、自己管理力、経済リテラシーなど)を学び逃す危険性が高まります。
文部科学省の教育方針だけでなく、家庭での“学びと将来像の考え方”を根本から見直すときが来ているのではないでしょうか。子どもが自分の強みや興味をしっかり活かして、柔軟な生き方を選べる社会づくりこそが、本来の「教育のゴール」と言えるかもしれません🌿