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中央区議会の懲罰、その酷さはベトナムと比べると分かりやすい

事の顛末 

これについては東スポの報道記事と

 今回懲罰動議を受けて戒告という罰を受けた議員ご本人の報告

 その他記事末尾に関連記事リンクを貼っておきますので、そちらをご覧になったらより分かりやすいと思います。

あえて表現の自由がない国、「ベトナム」と比較をする

 この件に関しては自分もこのようなツイートをしました。

 日本は表現の自由が憲法によって保障されている国である一方、ベトナムはそうではありません。国や共産党を貶めるような発信は事実上制限されており、報道の自由度ランキングで180ヵ国中175位で有ることもそれを証明しています。

 従って本来なら日本とベトナムを「表現」という話題で比較するのは無理があります。しかし今回はあえて、比較をします。結論から言ってしまえば、今回の中央区議会の対応はベトナムよりも酷いんです。

*注
 私は今回比較対象にあげたベトナムを卑下、貶める意図は全くありません。ベトナムの表現を巡る法律や体制を議論、批判できる程の見識は持ち合わせておりません。あくまで事象を並べて比較していることをご了承ください。

ベトナム・カントー市のある事件

事件の報道はこちら(ベトナム語です)

事件の概要は

①K氏は共産党員、カントー高等学校の法務監査室長。
②同校の副校長選任は手続き違反しているとK氏がFacebook上で告発。
③これに対し党はK氏を譴責(けんせき)処分とした。
(譴責:〔法〕官吏に対する最も軽い懲戒処分。職務上の義務違反に対し、将来を戒めること。法令上は戒告。)

 教育制度や組織体系が日本と異なる点が多い為、細かく比較し始めるとキリがありませんが、教育行政に関する決定に対する批判をしたこと、SNS上での発言に対する処分であること、処分はほぼ同等...など似ている点が多くあります。

法的根拠があるベトナム、無い中央区議会

 K氏のSNS上の発言を咎める、処分する事に対してベトナムは2つの法的根拠があります。まず法律、そして次に共産党員に課せられている19の禁則事項よって虚偽の情報発信によって共産党、政府の信用を貶めるような発言はSNS上だろうとも禁じられています。処分の決定も文書で根拠となる法が明記されています。

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(赤線部訳:2013/11/13施行 政府政令174/2013 66条)
(K氏が当該政令に違反しているかどうかは議論があり、K氏は対象にならないのではという報道もありました。)

 対して今回中央区議会において提出された懲罰動議をみてみると:

高橋元気議員に対する懲罰動議

次の理由により、高橋元気議員に懲罰を科されたいので地方自治法第135条第2項及び中央区区議会会議規則第120条第1項の規定により動議を提出します



(理由)
令和2年第四回定例会において、教育委員会委員の任命同意の採決の際には賛意を表していたにもかかわらず、翻って自身のソーシャルメディアにおいて、教育委員会委員の任命について批判的な意見を書き込むなどし、議会の信頼と品位を傷づけたため

 と、残念ながら動議を提出する法的根拠は示されているものの、高橋区議の発信がどの法や条例に反しているものなのか明記はされていません。「議会の信頼と品位を傷つけた」として懲罰動議が出され、「戒告」という罰も与えているにも関わらず、です。法的根拠も無く「言論の自由」を犯している、とベトナムから批判されても何も言い返せないのではないでしょうか。

行政責任者を譴責したベトナム、議員を罰した日本

 ベトナムは共産党独裁体制であるため、行政運営にも共産党が関わっており、K氏は虚偽の情報を広めたとして処分を受けています。K氏が事実に基づく批判だったのかを確認する術はありませんが、もし仮に日本で公務員や行政幹部が虚偽の情報をSNS上で広めた場合は、同様の処分でも議論は起きなかったかもしれません。

 しかしそれが議会で、しかも議員に対して行われたのが今回の中央区議会での懲罰です。議員個人の態度や発信に対して、虚偽の情報を広めたりしていないにも関わらず、罰を与えた訳です。言論の自由が無いベトナムでも、議員の発言や態度表明で罰を与えた事例を私は知りません。

ベトナムと比較できる程おかしい

 ここでしている比較は本来なら成り立つものではありませんし、単純に比較できないものです。日本とベトナムは特に「表現」という分野では共通点を探す方が難しく、複雑に絡み合った歴史があった上で現在のような違いがあります。

 しかし今回の中央区議会での懲罰は酷すぎて比較対象が見当たらず、結果どの程度酷いのかを表すのが難しい事案と私は感じました。そこで無謀を承知でベトナムを持ち出して比較した次第です。本来はもっと詳細に書くべき部分もありましたが時間と文字数の都合でかなり割愛させていただきました。誤解につながる部分等ありましたら指摘して頂ければと思います。

 「日本には言論、報道の自由があって本当に羨ましいよ」
 ベトナム人の友達にこう言われる事は珍しくありません。日本、ベトナム両国を見つめてきた私は、こう言われるといつもこう返していました。
 「そのありがたみを分かっている人は案外多くないし、難しい問題も沢山あるよ...」 
 今後、私は返事を変えることになるでしょう。
 「その自由を自ら手放す人がいるんだよ...信じられる?」

参考記事


今後もニッチな記事を気の向くままに書こうと思います。
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