「5S」と「部活」
「5S運動」という日本発祥のスローガンがある。
5S(ごエス、ごーエス)とは、製造業・サービス業などの職場環境の維持改善で用いられるスローガンである。各職場において徹底されるべき事項を5つにまとめたもので、4S運動に「躾」(習慣化の場合もある)を加えた5項。
細かい部分はまで清潔、整頓された状態をキープすることが安全と品質安定、効率アップにつながる。小学校から子どもたちに掃除をさせる事を大事にする日本ならではの発想...と思っている人も多い。
5S運動は日本人が綺麗好き、細かい汚れも気になる人が多いから生まれたというのは誤解だ。むしろ逆だった。
「掃除資本主義」には1920−30年代、工場の生産効率アップの為に経営者が酷い現場をなんとか変えようとする様が当時刊行されていた業界紙に書かれている。(以下抜粋して引用
朝出勤するとまず同僚と雑談、喫煙、小便、面会人が...
便所まで行くのが面倒であちらこちら材料の横で小便の垂れ流しをやっている
浴場に行くのも裸体で行く、勝手にタバコを吸う
通路にものを置かない、というルール徹底をして多い時は職工を50人首にした
5Sは日本の現場を正す為に導入、徹底されたもので、その以前から「綺麗好き」であった訳ではない。これを知っている人はどれくらいいるだろうか。
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中学校、高校から本格的に始まる「部活」。近年この教師への負担が重すぎる、体育会文化の弊害など何かと批判の的になっている。
しかし人間教育という観点から継続を求める声も多い。また部活によってスポーツや文化、芸術に親しむ人が数生まれ、結果関連市場が成長し、今に至っている事もあり、今後も無くなる気配は無い。
でも部活動が生まれ、半ば強制入部になった理由は別にある。
「選手育成」「スポーツ振興」「民主主義の育成」「非行対策」...
「人間教育」は部活が長年続いて、その教育的意義を後からつけた、と言っても過言では無い。
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今行われている事や動いているシステムがどのような環境に適応する目的で始まったのか。そのシステムの中にいる人はそれを考える理由は無いし、わざわざ否定的になったりしない。むしろなんとかして自分たちの存在意義を示して、伝統的な価値があり、継続していくことが当然のように振る舞う事が多い。
それとどう戦うかは人それぞれかもしれないが、自分はこれをしっかり理解してうまく利用したいな...と思った。
【Photo from Unsplash(@Heather Ford)(@Palash Jain)(@Remy Gieling)】