【EV充電事業】大企業部長の苦悩(妄想)
こんにちは。MAKOです。
前回以下の記事で大企業とエネチェンジのトップによる指示の違いが大きな差を産む事について書きました。
記事の内容が結構好評だったため、今回は大企業側をもう少し深掘りしてみたいと思います。
大企業がEV充電事業を始める
社長「‥ということで早速市場調査をしてくれ」
部長「かしこまりました」
〜社長室の外で〜
部長「参ったなー、また仕事が増えちゃったよ」
部下「どうしたんですか?」
部長「社長がEV充電事業を始めたいそうだ。今のところ社長は知識ゼロだからEV充電事業に関して調べてパワポで説明しないといけない」
部下「それはまた面倒なことになりましたね。でも社長から声がかかるということは出世は間違いないですね!」
部長「そういうことにしておこうか笑。とにかくEV充電事業について来週月曜日までに調べないといけない。ちょっと手伝ってくれるか?」
部下「良いですよ。そのかわり部長が出世した時は私を引っ張ってくださいね!」
部長「出世したらね笑」
〜2日後〜
部下「EV充電には普通充電と急速充電があって、さらに基礎充電、経路充電、目的地充電の大きく3つに分かれるようです。エネチェンジという会社が普通充電器を無料で設置するキャンペーンをしていて急速にシェアを伸ばしているみたいですね」
部長「しかも稼働率、つまり利益率が高い目的地充電に特化してる。海外でも既に目的地充電で成功している企業が複数あって、エネチェンジはそれら企業のタイムマシン経営をしている。ここの城口社長ってのはケンブリッジで電力解析の博士号を取得しているプロ中のプロだぞ」
部下「つまり、エネチェンジと同じことをしておけば間違いないってことですね」
部長「まあ、そうなんだか‥そんな脇の甘い経営者には見えないんだよな。まだ調べてみないと分からないが、エネチェンジがハードもしくはソフトウェアどちらかを押さえている可能性がある。エネチェンジ抜きで同じことは出来ないかもしれない」
部下「であれば、我々のブランドを武器に業務資本提携を持ち込むのはどうでしょうか」
部長「それが1番簡単だし確実なんだけど、エネチェンジは既に上場してるからなあ‥そもそもそんな簡単に資本を受け入れるようには思えないな」
部下「いやいや、我々は○○財閥の一角ですよ。財閥の仲間入りをしたいと考えるのが普通では?」
部長「ハハッ、それはどうだろうね笑。とにかく調べた内容をパワポにまとめて週明け社長に報告だな」
〜週明けの月曜日の社長室〜
部長「‥以上がEV充電事業に関する概要であり、我々としては先行するエネチェンジ社と何らかの提携を行いつつ普通充電器を用いた目的地充電に特化するのが良いと思います」
社長「その普通充電器っていうのが気に食わない。○○財閥のブランドを背負っている以上、エネチェンジとかいうベンチャーと同じ普通なんて許されない。我々は急速充電器の目的地充電で行くぞ。大至急アクションプランを練ってくれ」
部長「(何言ってんだこいつ‥)承知しました」
〜社長室の外で〜
部長「まずいことになった‥おい、急速充電器っていくらいするんだ?」
部下「受電設備とかを含めると一台1000万円超えますね。普通充電なら数十万円で済みますけど」
部長「しかも目的地充電だと急速充電する必要ないだろ。スタンダード充電とかラピッド充電とか言えばよかった‥失敗したなぁ」
部下「目的地充電で急速充電なんて絶対にペイしないですよ。普通充電にした方が絶対に良いですって」
部長「いや、アクションプラン作成指示も出たしこれで行くしかない。とにかく規模を小さく被害を最小限に抑えることだけを考えよう。最後は社長が満足すればそれでいいんだから」
部下「いわゆる落とし所ってやつですね。大企業っぽいです」
部長「安定してるんだから文句を言うな。早速アクションプランを取り掛かるぞ」
〜翌週月曜日の社長室〜
部長「‥以上により、まずは弊社敷地内に急速充電器を一台設置して従業員に無料開放することし、順次シェアを拡大する方針です」
社長「やっぱり普通ではなく急速充電だよな。そういえばエネチェンジとかいうベンチャーとの提携はどうなったんだ?」
部長「条件が折り合わず進展はありません(実際は既にお断りされているが‥)」
社長「我々○○財閥に乗っ取られると考えて尻込みしているに違いない。普通充電しか出来ない時点でEV充電事業で勝負しようなど無謀も良いところだ。後発組の我々があっさり急速充電器を導入するんだから彼らも大慌てだろうな。はっはっ」
部長「(何言ってんだこいつ‥‥)同感です」
社長「そういえばこの前ガ○アの夜明けでEVバスの特集を観たぞ。うちの社内バスに使えないか?目的地充電との相性もいいと思うんだか」
部長「早速検討します」
〜社長室の外で〜
部長「EVバスを作っているB○Dはツテがある。この方向性に一気に舵を切るぞ」
部下「巡回バスなら目的地充電ではなく基礎充電なのでは?」
部長「良いんだよ。急速充電でいくならEVバスは相性がいい。これなら事業としてギリギリ成り立ちそうだ。エネチェンジからもお断りされたなんて言えないしこれが最適解だ」
部下「はぁ‥部長って大変ですね」
部長「内向きな社内調整ばかりで嫌になるよ。でも安定してるんだから文句は言えないな」
〜半年後、都内ホテル記者会見場にて〜
社長「EVバスのパイオニアであるB○D製バスを弊社に導入することができ、誠に嬉しい限りです。今後もB○Dと○○財閥の協業により、脱炭素社会実現へ貢献していきます」
記者達「パシャ、パシャ(シャッター音)」
〜会見場後方にて〜
部下「EV充電器から始まって結局EVバスですか‥これで良かったんでしょうか」
部長「これで良かったんだ。目的地充電でシェア獲得なんてうちに出来るわけないだろ。どうせ社長の思いつきで始まってるんだから、めんどくさくなくて手切の良い落とし所に落ち着くのが1番なんだよ。そもそも大企業の新規事業なんて成功するわけないんだからさ」
部下「えー、そんな悲しい現実を突き付けないでくださいよ〜」
部長「何が悲しい現実だ。新規事業が無くったって本業がうまくいっているんだからそれで良いんだよ。足るを知るものが最後には生き残るんだ」
部下「そんなもんですかね‥あ、そういえばエネチェンジのEV充電器が3000台達成したらしいですよ」
部長「そもそも彼らは少し次元が違うからな。新規事業は彼らに任せて俺たちは俺たちの戦い方をするべきだよ」
部下「そんなもんですかねえ」
部長「エネチェンジのようなスピード感のある経営が羨ましいのは分かる。でも大企業なんだから同じことは出来ないよ。保守の集団なんだから。さあ今日は飲みに行くぞ」
部下「はい、行きましょう!」
以上
まとめ
いかがでしたでしょうか。
大企業には優秀な人材が沢山いるにも関わらず、新規事業はなかなか成功しないのは、実はこういうところにあるのかもしれません。
大企業も見えないところで色々と苦悩しているのです。
P.S.
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