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エネチェンジの復活はあるか

こんにちは。MAKOです。
先日投稿した以下記事が過去最高の4000ビューを達成しました。皆様購読頂きありがとうございます。

今回は先日公表された「2024年3月のよくある質問と回答」についてです。回答の中でエネチェンジのEV充電事業の収益性についての回答が記載されており、非常に興味深い内容だったため追加で記事にすることにしました。

※私は会計については素人なので間違っている部分もあると思いますがご容赦下さい。

損益分岐点は3800円/月・口

まず回答にて補助金受領後におけるEV充電器1口あたりの損益分岐点は3800円/月・口であることが判明しました。

そして、この損益分岐点に対して最新の使用実績は2320口の平均で2500円/月・口であると記載されています。

つまり、現状は(3800-2500)×2320口=300万円/月の赤字であることが分かります。

一方で、設置後9ヶ月を経過したものに限定すると6000円/月・口の売上とあるため、設置後1年以内に収益化が見込めることも示されています。

つまり、この回答を見る限りエネチェンジのEV充電事業は順調であることが分かります。しかし、前回記事にも記載した通り、監査法人はEV充電事業を担うSPCに対して(あくまで推定ですが)9億円の引当金を積むよう要求しており、事業の実態と監査法人の評価にかなりの乖離があるように感じました。

損益分岐点の半分が引当金?

先ほど目的地充電におけるEV充電事業の損益分岐点は3800円/月・口と書きましたが、これを機器の寿命である7年間を考慮すると32万円となります(3800円/月×84ヶ月=32万円)。そして引当金9億円を5000口(基礎+目的地)で割ると18万円/口になります。

32万円中の18万円、つまりエネチェンジ負担額の約半額を一括で損失計上するよう要求してきていることになります。

※7年後の機器撤去費用として引当金を積まされた可能性もありますが、EV充電器が圧倒的に足りない状況では7年ごとに更新しながら使用することが前提のはずですし、その頃には補助金なしでも成り立つ事業になっていると思われるため、可能性としては低い。

EV充電事業の収益性が論点

これは会計の素人の意見として読んでいただきたいのですが、ガバナンスの問題は置いておいて、今回の会計問題の論点はEV充電器の収益性についての意見の相違だと私は考えています。

EV充電事業に関して、エネチェンジは収益性があると主張する一方、監査法人は収益性がないと判断した可能性があり、お互いの意見が平行線のまま時間切れになってしまったのかもしれません。

引当金9億円は適切なのか

エネチェンジとしては1年以内に損益分岐点を超えると主張してはいますが、実態としては毎月300万円の赤字であり、監査法人としては「都合のいい数字を出しているだけじゃないのか?」と疑ってるのでしょう。今後設置したEV充電器の収益性向上が確認されれば引当金に関する考え方も変わるかもしれません。

今年度の黒字化は可能か

前述の通り、引当金額が下がれば可能性としてはあります。ですがやはり、入札時の利益率を上げることでエネチェンジ負担額を下げる、もしくはゼロにすることが最も黒字化には繋がると思います。

以下は3月に実施されたEV入札制度ですが、目的地充電における要件が大幅に緩和されたことをご存知でしょうか。従来は一箇所当たり一律2口まででしたが、今回から駐車場数201以上において、駐車場数の2%以下、かつ50口以下になりました。

昨年度、以下プレミアムアウトレットにそれぞれ2口ずつ設置したことと同時に4月以降の追加設置も発表されましたが、新しい要件では最大限の50口の追加設置が可能になります。

↓駐車場数の2%が全て50口を超えている
・神戸三田プレミアムアウトレット4000台
・りんくうプレミアムアウトレット2900台
・鳥栖プレミアムアウトレット2900台
・佐野プレミアムアウトレット4300台
・佐々井プレミアムアウトレット3500台
・土岐プレミアムアウトレット3000台

当然、一箇所当たりの口数が増えればスケールメリットが働くため利益率は向上します。おそらく一箇所に50口設置する場合、2口設置する場合に比べて1口あたりの工事費は大幅に低下すると思われるため、エネチェンジの負担額は0円でいけるかもしれません。

ただし、事業者が過剰な利益を得られないように機器や工事内容ごとに個別の上限が設定されていることには注意が必要です。

このような稼働率が見込める且つ大量設置可能な場所をたくさん積み上げることが出来れば黒字化は可能です。

ちなみに今回のエネチェンジの大量設置はあくまでも全駐車場の2%以下であり、以前ユビ電がマンションの全駐車場429口の大量設置をして問題になった件とは全く異なることを補足しておきます。

やはりEV充電事業の収益性は高い

そもそも現在の充電器の損益分岐点3800円/月は昨年度の一箇所当たり2口という条件によるものであり、今年度の駐車場数の2%以下、かつ50口以下の条件では損益分岐点は大幅に下がります。プレミアムアウトレットのEV充電器ならば損益分岐点ゼロ円の可能性もあります。

おそらくエネチェンジはこの補助金要件緩和も踏まえて「EV充電事業の収益性は高い」と言っているのではないでしょうか。

50口設置を前提としたエネチェンジと2口限定での実績を元にした監査法人とでは収益性の意見が全く噛み合わないのも理解できます。

再度エネチェンジを買ってみた

エネチェンジの株価は下げに下げてついに500円台(時価総額200億円以下)まで下がりました。

以前私は「会社に悪材料のある株は持たない」と言いましたが、さすがに悪材料を過剰に織り込んでいるように見えたため、500円台で少しだけ買い戻しました。

当然、新たな会計問題が明るみになる可能性、政府系ファンドの資金引き上げリスク、上場廃止のリスク、EVシフト減速などを考慮するとまだ下がる可能性もありますし、下げ止まっただけで今後もしばらく株価は低迷するかもしれません。

ですが、EVシフトが低迷しているとはいえ、EV充電の収益性が最も高い目的地充電シェアを独占している企業の価値が今後もずっと200億円以下で放置されるというのはちょっと考えにくいかなと思いました。

「やっぱりエネチェンジダメだったね」となる可能性も十分ありますが、私はエネチェンジは復活出来ると信じています。

エネチェンジの会計問題についても引き続きウォッチしていきます。

本日は以上です。

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MAKO
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