いまさらミッドナイトスワン見た
色々な賞を受けているとのことで、いまさら見たがやはり質量が大きかった。
あらすじやキャストは、他の皆さんが素晴らしいnoteを書かれてるのでここでは除きます。
LGBTとか母性がどうこうとかは今回置いておいて、人生にこういう決定的な瞬間って訪れるよなと思ったので、メモしておきます。
キーポイント、分岐点
ショーパブの友達から売春の紹介を受けるナギサに、その友達が振り返って
「いいの?人生は一度落ち始めると止まらない」と言うところ。
ここがナギサにとってある意味の分岐点だと思った。
「ゲームに負けた時に初めて、あの時すでに負けが決まっていたんだと気づく」ことが私にはよくあるが、そのセリフが『あの時』になっていて、それから最後の海岸のシーンまでなだらかに繋がっているように思う。
そしてもう一つのキー
ショーパブから帰ってきて苦しそうに薬を飲み、イチカの前で
「どうして私だけ」
と泣くナギサ、この言葉にいつかの深淵を見た。
リアルにこの言葉を言う人に今まで3人ほど会ったことがあるが、3人ともその後心身を病み、いなくなってしまった。
なのでこの言葉を聞くと、この人はすでに眼下の巨大な渦巻きに飲み込まれて回り始めていると直感的に思い、焦りを越えた無能感を感じる。
生まれつきの覚悟
今回イチカを演じたのは新人の方らしく、佇まいもバレエも美しかった。
イチカは環境こそ恵まれていないが、類稀なバレエの才能を持っていたためロンドンの学校の奨学金を得て「白鳥」となる。
初めから生まれ育ちがハードモードで学校で暴れたりするが、バレエが出来るようになってからは、その人生を誰にも侵されないという覚悟が根底に流れている。
イチカの場合は才能があり、認めて援助する人がいて、イチカ自身にその人を含めたすべての責任を負っていこうという覚悟が生まれたわけだが、これを持つ者と持たざる者はもしかすると生来の性質なのではないかと思っている。
酷な話だけど。
お休みのところ失礼いたしました。