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【ミリしら】子宮筋腫腹腔鏡下手術4最終回(退院から職場復帰まで)

3からの続きです。

退院後

犬が家にいる私を物珍しくなくなり、ベタベタしてこなくなって落ち着く。
体の方は傷がどうこうと言うよりは、麻酔と下剤と入院食のパンで痛んだ胃腸がバックオンしてくるのに時間を要している気がする。
ところで友達からとみに「日にち薬で」と言われるのできょとんとしていたが、どうやら"Time cures all things"の関西版らしい。初めて知ることがいっぱいあるなー。

行きて帰りし物語

「君たちはどう生きるか」の禁断のネタバレ口コミを読みまくっていたら、『行きて帰りし物語』という言葉を見つけた。
どうやら、日常生活から一転してドラスティックな冒険譚を経てまた日常へ戻ってくると言う、古事記とかはてしない物語とか、そういう王道の物語構造らしい。
これが変に気持ちにジャストフィットしていて、再生した感がある。(9日間酒を抜いたからだけかもしれない)
とは言えやることは、「古着でワクチン」で膨大な古着を排出したり、バリューブックスさんに夥しい古本を出したり、要らない家事を減らすために食洗機を買ったりと、まあ断捨離くらいのことだけど。
こういう「何を終えた後の朝」にしっくりくるのがサカナクション「朝の歌」。淡々と夜明けが弱った身体に染み込んでいく感触が気持ちいい。

退院10日後から

動いても痛みが無くなり、ほぼ普通の生活を送れている。医者の話によると1ヶ月後にゴルフ行って大量出血したとか、野球やって出たとか怖い話がいっぱいあるので、大きめな運動は控えている。
一回死んだようなもんだからと欲が噴出し、保険金(手術と入院費よりは多く出た)とボーナスも出たので頑張ったご褒美と称して散財したりする。
久しぶりに診察に行くと、担当医が手術で出したモノの画像を見せてくれて、おっかなびっくり見る。先生が切ったんですね〜すごいお上手と謎の拍手をする。
入院時お世話になった清掃の、聴覚の弱い方を見かけるが、予習した手話を想起している間にいなくなってしまう。

仕事復帰

復帰予定前日に病院に診断書を取りに行き、会社に申請して復帰許可が出た。(お世話になった清掃の方にも挨拶できた。またね!と言われたがそれは複雑)
仕事なんか地球上全員しなくて良いと思って今まで生きてきていたが、休養中には「あーもっかいアレやりたい」と湧き上がるものがあって自分でも驚いた。
そして復帰初日には、これ楽しいな、お父さんお母さん皆さんありがとうという気持ちになったのだが、多分長くやりすぎて仕事でやっていると言う感覚が無いのであろう。
幸せなことだが、たぶんメジャーな概念ではないので人に迷惑をかけないよう程度に続けさせてもらえたら良いなと思っている。

お前はお前なんだよ

一通りの行きて帰りし物語を経て、何度か思い返したが、思うとそんなに変わったこともない。
ただ色んなものを手放したというか、成仏させた方が近い気がする。
子宮に始まって大量の服や本や家電、不要な家事、仕事完璧に埋めないといけない概念、人のご機嫌伺い、ハイブランド持ってみたい欲、いつも節約しないといけない強迫、時間があったらお酒飲む習慣、常時誰かと繋がっていないといけない焦り、そんな眼の前を浮遊していた諸々の泡が、この1か月間でいつのまにか見えなくなった。
ダラ飲みしながら友達と出した「大切なこと」の結論は、税金を払うこと、人に迷惑をかけないこと、ご機嫌でいること、の3点となった。

そんなわけで、またいつか別の物語でお会いしましょう。
お休みのところ失礼いたしました。


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