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発達障害「マシ層」バーを開いてみて

2024年11月に、池袋にあるエデンというイベントバーにて、「発達マシ層バー」(副題:発達障害と仕事バー)を開催した。

今回は、そのことについて簡単に振り返りたいと思う。

発達マシ層とは?

結論から言うと、発達「マシ層」というのは、「バリ層」と「ギリ層」の中間にあたる層を定義したワードだ(ぼくが勝手に作った)。

ちなみに、この「マシ層」というワードはGPTに聞いたのがきっかけだった。

そもそも、発達の「バリ層」や「ギリ層」のワードを知らない、と言う人のために軽く説明させていただく。

このワードを提唱されたのは、発達障害界隈で有名人かつ著書出版の経験もある「借金玉さん」という方だ。

各発達障害者の状態を可視化しやすくするために「バリ層・ギリ層・ムリ層」の区分けを提案されたんだと思われる。

区分けの需要や語感の良さから、Twitter(X)での発達界隈にあっという間に広まったそうだ。

ちなみに、各層の説明としては下記。

「バリ」=「発達障害」ではあるけれども、これまで何も困らずに、仕事も人生もやってきた人たち

「ギリ」=多くの困難を抱えつつも、対策することでどうにかこうにか社会でやっていける人たち

「ムリ」=公的な扶助が必要な人たち

これを聞いて、いくつか疑問に思ったことがある。

「「これまで何も困らずに」とはどういうことなのだろう?」ということ。

いわゆる世間的な「成功者」や健常者でも常に何か課題や悩みを抱えて生きているからこそ、「何も困らずに」という人は存在しないと思うのだ。

自分の周りの人を見ていると、そういった人たちの悩み事とは、こういうイメージだ。

  • 「結婚式とアメリカ新婚旅行で貯金の数割が飛んでしまった」

  • 「家を買おうとしているが、戸建てかマンションかで、都内か埼玉で迷ってる」

  • 「(年収650万円の大企業勤めだが、)職場のお局うざい」

  • 「(子供が複数いる中で)一番下の子の8歳の子供が物覚え悪いので、今後どういう教育方針にしたほうがいいか迷ってる」

  • 「(経済的に余裕がある人が)最近、お腹が出てきて辛い」

その上で逆に考えた。
もし、これらの悩みを「贅沢な悩み」と感じるなら非バリ層、感じないならバリ層なのだろう、と。
(30年前の日本なら当たり前だったかもしれないが、貧困化した日本では敷居が高くなっていると思うが)

発達障害が故に、経済的に健常者よりも低収入になりがち、貧困になりがちな傾向がある。
にも関わらず、結婚(挙式+新婚旅行)、家購入、まともに子育てをする経済力・労力を持てている時点でそれは「発達障害故のハンデを突き抜け成功している」という意味でバリ層といえる。

逆に、「「発達障害」ではあるけれども、これまで何も困らずに、仕事も人生もやってきた人たち」と自分で思ってても、「(年齢25~40ぐらいで)実家暮らし都内水準で年収320万円(仮)、でも困らずに生活できている」という人は「バリ層」なのだろうか?

僕は違うと思う。
なぜなら、このパターンは家事の手間、生活費や水道光熱費の観点から、福祉の代わりに実家に依存して生きているだけであって、自分だけの力で生きていくとなると途端に相対的貧困層、つまり経済的にギリ層になるからだ。

自分の中では、先ほど引用した定義ではしっくりこなかったからこそ、自分の中で作ってみた基準を挙げていきたいと思う。

そして、定義をするということは、ある程度明確な基準が必要だと思う。
発達障害者にも例外なく、生活の質には使えるお金、収入の額と密接している。
(好き嫌いはあると思うが)だからこそ、年収などで区分けするのは個人的にマストだと思った。

ぼくが考えたバリ層とギリ層の定義

「バリ」=「発達障害」ではあるけれども、これまで何も困らずに、仕事も人生もやってきた人たち

僕の解釈で言うと下記。
※年収などの金額は都内水準

バリ層

  • 額面年収650~700万円以上

    • →上記の金額を超えていなくても、障害年金や副業収入込みで、同等の手取りを実現できるなら、その人たちも含まれる

    • →大阪、名古屋、博多などの主要都市だと、基準は-50万円ぐらいの年収600~650万円ぐらい、その他の都市だと年収550~600万円と考えて良い?

  • 仕事・職場において、並の健常者以上、健常者の中でもバリキャリと呼べるレベルの人たちと一緒に働けている

  • ちゃんと稼いでいる経営者

    • →年商がデカくても、でかい赤字を抱えている経営者は含まない

  • 既婚、また離婚せず維持できている(生涯独身であることを望む人以外)

  • 家を建てたり、ちゃんと子供を育てる経済力・余力がある

    • →(10,20年前ならともかく)健常者ですらこれはハードルが高い

    • →2024年現在だと、都内やそれに近いエリアで3LDKの条件で、最低ラインが新築で6,000万円、中古でも大体4,500万円前後はかかる

  • (22~34歳ぐらいで)未婚状態でそれほど苦労もなく自分が望む層との異性のパートナーと交際している/できる

    • →恋愛、「異性と交際しているか」が生活の質、幸福度に大きく影響される人が多いと感じるため

  • 職場、仕事を継続できる程度に、自分の身体・精神のメンテナンスができている

そして、次にギリ層について触れたい。

多くの困難を抱えつつも、対策することでどうにかこうにか社会でやっていける人たち

僕の解釈で言うと下記。
※年収などの金額は都内水準

ギリ層

  • 額面年収300~420万円ぐらい

    • →2024年時点で考えると、一人暮らしでかつ年金など何もサポートが無い場合、年収300万円未満だとそもそも都内で生活すること自体が困難である

    • →もし大企業勤めで、家賃全額補助されるケースなどがある場合はギリでは無いのかも

  • 職場の上司との関係性に問題を抱えている

  • 手帳3級取得や自立支援制度など、ある程度福祉関連の制度を活用している

  • 健常者の人たちが実現している、「家の購入」「挙式や新婚旅行」「子育て」などは望んだ場合でも実現が困難である

  • 異性との恋愛関係でうまくいっていない状態が多い

    • →特に男性に顕著

    • →年齢的にアラサー以降になると、「経済的な余裕さ」が強く影響するため

こうして見てみると、「バリ層」と「ギリ層」とで、かなり乖離があると思う。
ちなみに僕は去年時点で「ギリ層」と自認している。
直近で転職に伴い年収が大幅に上がり、転職先でも精神的にある程度余裕を持てているので、少なくとも「ギリ層」ではなくなった。

かといって僕は「バリ層」でもない。
そのため、自分の中で抱えている課題・問題を共有できる層が発達界隈ではぱっと見どこにも無いな、と感じたのだ。

だからこそ、「中間の層」が欲しい。
だから自分で作っていこうと思いあたり、先述の「発達マシ層バー」を企画してみたのだ。

そしてイベントを開いた結果、店舗の全席が埋まり、初回にも関わらず16人ぐらい来店してくれた。
物珍しさのためか、発達障害界隈に近い人でそこそこ規模のあるインフルエンサー的な人も足を運んでくれた。

ざっと彼らの関心ごとの一部を挙げると下記だった。

  • いかに生活費を抑えるか(家賃や食費)

  • 将来的な起業・副業

  • 仕事や生活におけるTODO管理

上記は自分も関心があることだし今後もそういう悩みや解決策を共有したい。そして需要がありそうなので、2025年以降で2回目も企画したいと思う。

また、「ギリ層」→「マシ層」への移行方法について、もし需要がありそうならnoteに書きたいと思う。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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