植田寿乃連載『令和を活きる、未来を拓く』第50回 リーダーのワークエンゲージメントがチームの活力を決める ~「必死」「一生懸命」は心の余裕がなくなっているサイン~
「うちのトップは、自分のことしか考えていません。自分の興味がある仕事と、本社に戻れるかどうかばかり気にして、社員のことなど全く気にしていません。こんなトップだと、やる気がどんどんなくなります。でも、やるしかないから、皆しかたなく働いています。早く、次の人に交代して欲しい・・・」この会社はエンゲージメントカンパニーから真逆の状態、社員のモチベーションは下がり、疲弊し、退職者も増えています。令和時代において最悪のリーダー、レッドカード、即刻退場を言い渡したくなります。この経営トップは、いったいどんな気持ちで、どんな心の状態で何を見て、日々の仕事をしているのでしょう?
★溜息と苦悩の姿は反面教師、全てが見られている
私の管理職研修や講演のスタートの時に必ずウォーミングアップとしてする質問があります。オンラインでの無記名投票のため、皆正直に答えてくれます。
(質問)今の自分の仕事、役割に対する気持ちは?
1 やりがいを感じ、とても充実している
2 そこそこ充実感、達成感がある
3 ただひたすら一生懸命やっている
4 淡々、粛々とやっている
5 前向きな気持ちが薄れてきている
6 迷い、焦燥感を感じ、擦り減っている
7 何も感じない
選択式の答えの中の1と2はワークエンゲージメント(仕事や役割への充実感を持ち自律的に行動し、積極的に貢献している状態)の高い状態ですが、管理職でこれらを選ぶ人は1~2割に過ぎず、
かなり多くが3(ただひたすら一生懸命やっている)、そして4(淡々、粛々とやっている)、そして6(迷い、焦燥感を感じ擦り減っている)と続きます。なかには7(何も感じない)のロボット状態の人もいたりします。これらを選んだ管理職やリーダー達の日常の表情や態度を想像してみましょう。眉間にしわを寄せて怖い顔で必死に頑張っていたり、まったく無表情だったり、ため息ばかりついたり・・・。一緒に働くチームメンバーは、どう感じるでしょう?
・こんなふうには絶対になりたくない(→反面教師)
・管理職は大変なだけで、いいことなさそう(→管理職は✖ゲーム)
・自分だって疲弊しているのに、やりがいとか頑張れとか言うな(→不満が溜まり、転職願望)
★リーダーがワークエンゲージメントを体現
数年前から人事施策の大ブームとなっている上司部下の1on1面談、上司にコーチングのスキルやテクニックを習得させ、定期的に実施するようにした結果、メンバーのモチベーションが上がり、チームがどんどん活性化、メンタル不調者が減ったり、離職の軽減に繋がったりといった効果が出ているでしょうか? たぶん効果が上がっているのはごく一部で、上司であるリーダー自身がワークエンゲージメントを体現し、つまり活き活きと充実感を持ってチームに貢献するような働き方をしているはずです。そういうリーダーは、メンバーからも信頼されているので、面談でメンバーは本音でキャリアや仕事の悩みなどを話し、心の復活や、モチベーションが上がるはずです。チームのワークエンゲージメントも高まり活性化するでしょう。
しかし、必死な状態、わき目もふらずひたすら一生懸命仕事をやっている余裕のないリーダーたちは、自分の心を大切にすることなく働いています。自分の心を大切にしていない人は、他の人の心を大切に思ったり、応援したりできるはずがないのです。定期的な面談を大きな負荷と感じ、やったとしても業務報告の延長線上の形式的なものになりがちです。そんな面談ではメンバーの心を閉ざし、モチベーションはさらに下がっていきます。
リーダーがどんな気持ちで目の前の仕事や役割に取り組んでいるか、リーダーの心の状態が、チームに伝染してしまうのです。実は、私はせっかちで短気、しかも自分の感情がすぐに表情や態度に出てしまいます。この前も、朝いちのミーティングで「Sunnyさんどうしたんですか?今日、ちょっと雰囲気怖いですよ」ミーティングがスタートしたと同時に、メンバーに指摘されて、ハッと思いました。そうか、今朝は自分の心のルーチンをやっていない、イライラしている気分が丸出しになって、皆にとてもよくない影響を与えてしまったんだと大反省しました。
★自分の心と向き合うことから始めよう
朝、鏡の前で顔を映した瞬間に、私は自分に問いかけます。今日の、心の状態、気になっていることは、ざわつきは、そして色の確認。朱色、オレンジ、黄色、スカイブルーの時はポジティブなモチベーションが沸き上がっています。深い青、緑の時は自分を深く内省をしている感覚があります。そして、心に墨をこぼしたほうに、グレーがかっている時、不安、怒り、嫌悪といったネガティブな負の感情が忍び込んでいることを感じます。私は自分がネガティブな感情を持つこと否定はしません。ただ、自分の負の感情と向き合い、言葉にして吐き出したり、時に心のパワースポットで浄化させたりします。風通しの良い心の状態、心の余裕、それを実感した上で、人と向き合うようにしています。
自分の心の色が暗い時、自分の心を応援する色を周りに沢山おいて、ネガティブなオーラが自分からながれでないように意識したりもします。モチベーションや、ワークエンゲージメントを教える講師として、25年以上やり続けてきたことですが、今、ワークエンゲージメントカンパニーを率いる取締役として、自分自身がワークエンゲージメントを体現することこそが、最も大事だと感じています。
そして、令和時代を未来に率いるワークエンゲージメントリーダーの皆さんにとっても、とても大事なことだと思います。自分自身の心の色、意識するところから始めませんか?
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