★ライフワークとしてのワーク・エンゲージメントを見出そう!★~人生の軸となる仕事に出会えた喜び②~
和男:前回の続きの話をしようか。ゆみちゃんのワーク・エンゲージメントの話。人事異動で大切なエンゲージメントの「軸」を見失ったんだったよね。
由美子:はい、3年間、本当に没頭してやってきたことが出来なくなって、かなり落ち込みました。私の働きがいの「軸」がなくなってしまった。でも、会社ですから、人事異動は当たり前。自分の好きな仕事ばかりやれるわけがないと頭ではもちろんわかっていました。
和男:そうだよね。確かに会社勤めの身では、好きなことだけをずっとやれるわけじゃないもんね。
由美子:でも、異動になって、今度は障がい者雇用を所属の立場から見ることができました。異動先の所属にも障がいがある方が働いていましたから、同僚として関わりを持つことは、本人はもちろん、その周囲にいる人たちの気持ちや関りを知ることが出来ました。「軸」は消えたわけではなかった。
そして、2年後に役職定年で再び他部署へ異動することが決まったときは、「私はもう、お役御免なんだ」って、今度こそ「軸」を完全に失ってしまった感覚に陥り、しばらく、ぼんやりとただ日々を過ごしていました。
和男:役職定年になって、自分と会社のエンゲージメント関係が揺らいでしまったんだね。
由美子:でも、しばらくしたらこんな気持ちで働き続けるのは違うな、自分じゃないなと思いました。自分の役割がはっきりしないなら、自分で自分の役割を見つければいいんじゃないか、自分で仕事のやりがいを作ろうと思い始めました。会社から求められた役割りの仕事は、新任の次長を指導する仕事です。ただし、実際にはメンバーとのコミュニケーションの取り方や過去に経験したクレーム対応のノウハウを伝えたり、出張先の女性メンバーと積極的に面談を行なったりました。「話を聞いてもらってスッキリしました」ということを言ってもらうことで、自分が所属している部署に関係なく人を応援することができて、「自分の経験が活かされた」と思えました。自分の役割りは、これだ!ということを見いだせて、やりたいことが湧いてくる。お金とか肩書に関係なくて、その仕事に没頭できたんです。役職定年後に、自分の力でワーク・エンゲージメントの新たな「軸」を見いだせた瞬間だったかなと思います。その部署で定年までの4年間を過ごし、定年後も継続して同じ仕事に関わることが出来ました。
そして、61歳のときにダイバーシティ推進室への「まさか?」の異動がありました。それは、大きな驚きでした。
和男: かつて、ゆみちゃんが最もやりがいを感じて働けていた時代の場所だね。でも、新たな「軸」でワーク・エンゲージメントを体感できているときの異動だから、微妙な気持ちだよね。
由美子:そうです。今更戻って私が何をするんだろう?くらいに思いました。実際に担当する仕事もはっきり決まってなかったんです。またもや、私は必要とされているんだろうか・・・、何をしたらいいのだろうか…と迷い子のような状態になりましたが、とりあえずメンバーが担当している仕事ですぐにでも自分にできる仕事、メンバーが助かる仕事として障がい者の方たちとの面談を引き受けることにしました。
そして、面談をしているときに気が付きました。当時は大きな数字の目標があって、それを目指す中で仕事のやりがいを感じていましたが、今は直接障がいがある人に関わることができる。今、目の前にいる人と1対1で向き合えることに、新たな喜びを感じました。当時とは全然違う充実感です。定期的な面談だけでなく、採用の面談や振り返りの面談をしていくうちに、障がいがある人にもっと関わりたい、職場に馴染むようにもっと支援したいと思い始めました。
そんな時、ジョブコーチの存在を知ることになりました。以前からあった資格でしたが、今までは自分の視野には入ってなかった。今回異動で自分がこの資格を取れば、もっと支援できるんじゃないかと思い、自ら手を挙げて会社に提案し、養成研修を受けました。今まで知らなった知識や指導のノウハウを知ることで、今は更に現場での活動が広がり、そして、心からやりたいことなんだと自覚しました。そして、このジョブコーチは、会社の雇用期間が終わっても続けていくことができる、まさに私のライフワークとしての、私のワーク・エンゲージメントの「軸」だと確信しています。
和男:ゆみちゃんは、目の前にある仕事を、自分のやりがいに変えて、ワーク・エンゲージメントの「軸」を見出してきたんだね。今は会社を超えてのライフワークにまでつながるワーク・エンゲージメントの「軸」を持ったからこそ、いつでもイキイキしているんだね。誰もがゆみちゃんみたいに、ワーク・エンゲージメントの「軸」を見つけて太くしていきたいね!
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<日時 2022年10月30日(日)10:00~12:00>
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