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【マニラ】 ツアーでぼったくられそうになった話 ~ガイドとの攻防~

 個人で海外旅行に行くときに必要なスキルは何であろうか?
そのひとつに間違いなく入るのが、危険を回避するスキル。

その国の危険度、危険な場所、流行っている犯罪の手口などは、事前に確認しておく必要があります。

それでもやっぱり、気の緩みからトラブルに巻き込まれます。
今回は、そんな話です。

予定のない週末があったので、グーグルフライトで目的地を指定せずに、飛行機のチケットを検索してました。
マニラ往復のチケットが33,000円。
「これは安い!」と衝動的にフィリピンのマニラ行きを決めました。
普段からオンライン英会話の先生にフィリピンの話を聞いていたこともあり、ちょっとした興味もあったので、ほぼノリでの即決です。
事前に観光地のリスクや手口を調べるべきでしたが、出発前の私は「まあ、どうにかなるでしょ!」という楽観主義。
そんな軽い気持ちでマニラに降り立ちました。

そんな強行スケジュールのため、マニラ滞在は、ほぼ49時間。
空港に夜到着して、空港内の簡易的なホテルに一泊するとすぐに観光に出かけました。

歴史のある城壁

自転車ツアーに誘われる

観光地をあちこち歩き回り、さすがに疲れてきた私はそろそろホテルに行って一度チェックインしておこうと考えだしました。
そのとき目の前に現れたのが、自転車(人力車)のおじさん。

「お客さん!城壁ツアーはどうですか?」
30分300ペソ(約750円)で城壁を一周するツアーだと聞き、少し迷いましたが「まあ、いいか」と乗ることにしました。
30分ぐらいなら負担も少ないし、座りたいし、ガイド付きなら観光地の解説も聞けてお得かな、という軽い気持ちです。

こんな感じの人力車

普段なら、知らない人に話しかけられるとまず疑うタイプなのですが、このときは疲れていたせいか、警戒心がゆるんでしまいました。
「こういうのも旅の醍醐味だよ」なんて呑気に構えていました。



じわじわと忍び寄る不安

自転車が走り出してしばらくすると、何かが違う気がしてきました。
ガイドのおじさんがやたらテンション高く話すのですが、その目は明らかにどこかを泳いでいるのです。
なんとなく「これ、ぼったくり系のやつかも…」と嫌な予感がよぎりました。

右が城壁

それでも、名所に到着するたびに「ここで写真を撮ってきていいよ」と促され、観光を楽しんでいる自分がいました。
「まあ、300ペソでこれだけ案内してくれるなら悪くないか」と思い直し、引き続きツアーを続けることにしました。

途中でガイドから少し離れて地元の大学の中に行った時に、大学職員の人に話しかけ、「今あの人に案内してもらってるんです」と自転車のおじさんを指差してみました。
自転車のおじさんに見えるように。
すると、ガイドが遠くから大きく手を振って「早く戻ってこい」と合図。
かなり焦っている様子。
これを見て私は「うわ、これ完全に悪いやつだ」と確信しました。


大学内の大学職員に話しかけて、自転車のおじさんを指差してみた

謎の10倍の金額

自転車に戻って荷台に座ると、ツアーの概要を書いた紙に手書きで「3,000ペソ」と書いてある。

……え?10倍?
流石に、雑すぎて吹き出しそうになりました。
最初に「300ペソ」と言われたはずなのに、どうしてこんな金額になるのか。

「ちょっと待って。最初に300ペソって言ったよね?」
「でも、もう1時間以上回ってるでしょ?30分300ペソだから、時間に応じて追加料金がかかるんだよ!このペースなら一周3,000ペソだ」

なるほど、これが彼の手口か。
ここで黙って支払ってしまうわけにはいきません。
私は自転車を飛び降り、少し歩き出すふりをしました。

「待て待て待て!」と追いかけてきたガイドに、私は冷静に言いました。
「約束は300ペソだったよね?それ以上は払わない。」

彼が「でも追加料金が…」と食い下がるので、私は事前に用意していた作戦を実行しました。
銃やナイフは持ってなさそう。近くに仲間はいなさそう。
300ペソとチップ100ペソが妥当だなと。



熱血説教とガイドの反応

財布から300ペソを取り出し、先に渡しました。
予想通り文句を言ってきたが、怒ってやるとチップをくれと言う。
これも予想通り。
財布から100ペソを取り出して、私は熱いスピーチを始めました。

「君たちは日本とフィリピンの関係をもっと大切にすべきだよ。
日本はかつて戦争でフィリピンを苦しめた。
でも私は、それを乗り越えてこれから仲良くしたいと思っているんだ。
日本とフィリピンの未来の関係性が大切だと思っている。
だから、こうしてチップを渡すんだよ!」

ところが、彼の視線は私の手元の100ペソ札にロックオンしています。
完全に「早くそれを寄こせ!」という顔。
私の情熱的なスピーチは、彼の中で一切聞こえていないようでした。
まるで、「マテ」をされてご飯を待っている芝犬のように、スピーチに間ができる都度、手が伸びる。

説教を終え、私はチップを渡してその場を立ち去りました。
振り返ると、彼は満足げに100ペソを確認しながら自転車を押して去っていきました。


教訓と反省

最終的に300ペソと100ペソのチップで済んだとはいえ、今回の経験からいくつかの教訓を得ました。

  1. タイミング良すぎる勧誘は疑え!

  2. 旅先では事前の下調べが必須!

  3. 説教はお金を見せる前に!

それでも、今回の旅はなんだかんだで楽しかったです。
現地の人々の温かさや、美しい景色には感動しました。
ただ、このガイドには少し残念な気持ちも残りました。
悪事はインターネットで広まりやすい時代です。
「もし彼が真面目にガイドをしていれば、誠実に働けば、もっと稼げるのに」と。


旅はハプニングの連続。
失敗も含めて「いい思い出」と言えるのが旅の醍醐味です。
これからフィリピンを訪れる人は、ぜひ私の経験を参考にしてみてください!

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