IT開発現場の英語 #5
更新に間が空いてしまいました。
piggyback
「肩車をする」というのが第一原義ですが、「無線LANをのっとる、勝手に使う」という意味にもなります。でも、開発現場ではもっといろいろな場合に使われます。
日本語にしにくいのですが、何か既にあるものにのっかる、という意味で使います。たとえば、プログラムにちょっとした機能を追加したいとき、完全に新規に作るのは面倒なので既にある機能をちょっと拡張するような感じにしたいですが、そういう時に既存の機能にPiggybackingするというように使います。
他にも、Slackで興味深いスレッドがあったとき、この議論にPiggybackさせてくれ(関連する話をさせてくれ)というように使っていた人もいました。
rabbit hole
ウサギの巣穴は内部が長く複雑になっていますが(「不思議の国のアリス」
もウサギの巣穴の中に入る話でしたね)、そのような複雑なものの例えに使います。
例えば、ある機能を修正したいけれど、実装が複雑で調べれば調べるほど予期しないことが出てくるような状況を、"I'm digging into a rabbit hole"と言ったりします。
skunk work (またはskunkwork)
半ば秘密にして先進的なことをする小規模プロジェクトのこと。なぜスカンクなのか不思議ですが、実際にそういう名前のチームがあったことに由来しているようです。
bespoke
(服などに関して)「オーダーメードの」という意味の形容詞で、動詞bespeakの過去分詞でもありますが、IT開発現場でもよく使われます。
ソフトウェアの機能を作るときはできるだけ汎用的に作りたいものですが、必要があって特殊な目的に特化した機能を作ることもあって、そういうものの形容に使います。例えば、This code contains a slew of bespoke functionality. のように使います。
orchestration
字義通りにはオーケストラの曲ですが、IT業界ではちょっと違う意味に使います。まずorchestrateという動詞は、(オーケストラで指揮するように)組織的に指揮をとるという意味です。開発チームの指揮をとるときなどに使います。さらに、orchestration jobやorchestration moduleというと、複数のタスクを監視・調整するようなジョブ(やモジュール)のことになります。
concerted effort
音楽的な単語が出たついでに。concertを動詞で使うと、協調するという意味になりますが、concerted+名詞 として形容詞のように使うことが多い気がします。Upgrading this tool will require concerted efforts in the whole division. とか There have been concerted efforts to clean up the code. みたいな感じです。
また、in concertで「協調して」という意味になります(このconcertは名詞)。
rocket science
理解が難しいものの例えですが、よく否定形で使われます。例えば、一見理解が難しそうだけどそんなことないよ、と言いたい時 It's not a rocket science. というように使います。
catch on
(~が)流行るという意味です。IT技術は流行があり、多くの人が使っている技術だから使おうということがよくありますが、そういう技術の流行りについてよく使われる気がします。
catchだけだと普通は他動詞(目的語が後に続く)として使うでしょうが、これは自動詞なので、初めて聞いたときは不思議な感じがしました。
catch-22
解決方法がなく、にっちもさっちもいかない状況。うわ~どうしようもないな~という感じ。スラングなので、顧客相手にこの言葉を使わないように!
fait accompli
既に達成したこと。フランス語からの借用語です。
似たような言葉に done deal (確定事項)というのがありますね。
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