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EDR製品の機能比較:中小企業経営者が押さえておきたいポイント

昨今、サイバー攻撃の手口が巧妙化し、日本の中小企業もその標的になるケースが増えています。その対策として注目されているのが「EDR(Endpoint Detection and Response)」です。しかし、EDRとは何か、どのような機能を持ち、どう選べばいいのか、専門知識がないと理解しにくいのが現実です。

この記事では、ITやセキュリティに詳しくない中小企業の経営者の方でも理解できるように、EDRの基本的な機能と主要な製品の比較ポイントをわかりやすく解説します。これを読めば、自社に最適なEDRを選ぶための基礎知識が身に付きます。


1. EDRとは?基本を理解しよう


EDRは、端末(パソコンやサーバー)を監視し、異常な動きを検知・対処するためのセキュリティソリューションです。従来のウイルス対策ソフト(アンチウイルス)は、既知のウイルスを特定して除去する役割を担いますが、EDRはそれに加え、以下のような高度な機能を提供します。
• リアルタイム監視:端末の動きを常にモニタリング
• 異常検知:不審な振る舞いを検出
• 迅速な対応:感染拡大を防ぐための自動隔離機能
• 原因調査:攻撃経路や原因を特定し、再発防止策を立てるための情報を提供

これにより、ウイルス感染やランサムウェア攻撃など、従来型のセキュリティ対策では防ぎきれない脅威に対応できるようになります。EDRは、単なる「守り」のツールではなく、「攻撃されても即座に復旧できる力」を与えてくれるのです。

2. なぜ中小企業にEDRが必要なのか?


「うちは大企業ではないし、狙われることはない」と考える経営者も多いかもしれません。しかし、実際には以下の理由から、中小企業もサイバー攻撃のターゲットになっています。

1. 攻撃者が狙う「穴」

中小企業は大企業に比べてセキュリティ対策が不十分な場合が多いため、攻撃者にとって「狙いやすい穴」となります。さらに、取引先に大企業がある場合、中小企業を経由して大企業を攻撃する「サプライチェーン攻撃」も増加しています。

2. ランサムウェアの被害

データを人質に取るランサムウェア攻撃のターゲットになることが増えており、被害額が企業の運営に致命的な影響を与えることも珍しくありません。

3. 法的・取引上の責任

情報漏洩が発生した場合、取引先や顧客からの信用を失い、法的責任を追及される可能性があります。

中小企業だからこそ、限られたリソースで効率的かつ効果的に守れるセキュリティ対策が必要です。EDRはその有力な選択肢といえます。

3. EDRの主な機能


EDRの基本的な機能を以下に挙げ、具体的にどのように役立つのかをわかりやすく説明します。

1. リアルタイム監視

EDRは、端末で実行されている全てのプロセスや通信をリアルタイムで監視します。これにより、例えば「普段は使用しない夜間に不審なプログラムが動き出した」などの異常を即座に検知します。

2. 自動隔離

異常が検知されると、その端末やプロセスをネットワークから自動的に切り離します。これにより、攻撃の拡大や他の端末への感染を未然に防ぐことが可能です。

3. 攻撃の可視化

攻撃がどこから始まり、どのように広がったのかを「見える化」するのもEDRの重要な機能です。これにより、同じ攻撃が再発しないよう、的確な対策が取れます。

4. 対応の簡略化

従来は専門家に依頼しなければならなかった調査や復旧作業を、EDRなら手軽に実行できます。これは、IT部門が少ない中小企業にとって大きなメリットです。

4. 主要なEDR製品の比較ポイント

1. Microsoft Defender for Endpoint


• 概要: Microsoftが提供するEDRソリューションで、Windows環境との高い親和性が特徴です。
• 主な機能:
• リアルタイムの脅威検出と対応
• クラウドベースの脅威インテリジェンス
• 自動修復機能
• 特徴: Windows OSとの統合がスムーズで、既存のMicrosoft製品を利用している企業にとって導入が容易です。
• 適した企業: Microsoft 365を活用している中小企業。

2. WithSecure™ Elements Endpoint Detection and Response (EDR)


• 概要: WithSecure™(旧F-Secure)が提供するEDRソリューションで、エンドポイントのリアルタイム監視と高度な脅威検知を実現します。
• 主な機能:
• エンドポイントの継続的な監視とデータ収集
• AIを活用した異常検知と脅威の可視化
• 検出された脅威に対する具体的な対応ガイダンスの提供
• 特徴: クラウドベースの管理コンソールにより、IT環境とセキュリティ状況を即座に可視化し、攻撃を迅速に検出・対応できます。

3. Cybereason EDR


• 概要: サイバーリーズンが提供するEDR製品で、高度なAI技術を活用しています。
• 主な機能:
• AIによる脅威検知
• 攻撃の全体像を可視化する機能
• 迅速な対応と修復
• 特徴: AIを活用した高精度な脅威検知が可能で、複雑な攻撃にも対応します。

4. KeepEye


• 概要: S&J株式会社が提供するEDRサービスで、運用代行を含むサポートが特徴です。
• 主な機能:
• エンドポイントの監視と脅威検知
• 専門家による24時間365日の監視サービス
• インシデント対応支援
• 特徴: セキュリティ専門家による運用代行サービスがあり、専任のセキュリティ担当者がいない企業でも安心して利用できます。

5. Symantec Endpoint Security Complete


• 概要: Broadcomが提供するEDR製品で、包括的なエンドポイントセキュリティを提供します。
• 主な機能:
• 脅威の予防、検出、対応
• クラウドベースの管理
• AIと機械学習による脅威分析
• 特徴: 長年の実績と信頼性があり、多様なエンドポイントに対応可能です。

6. ISM CloudOne


• 概要: クオリティソフト株式会社が提供するクラウド型のEDRソリューションです。
• 主な機能:
• IT資産管理とセキュリティ対策の統合
• クラウドベースの管理
• エンドポイントの監視と脅威検知
• 特徴: IT資産管理とセキュリティ対策を一元管理でき、クラウドサービスとして提供されるため、導入が容易です。
• 適した企業: IT資産管理とセキュリティ対策を統合的に行いたい中小企業。

比較時のポイント


1. 費用対効果: 初期費用と運用コストをチェック。
2. サポート体制: 日本語での対応があるか。
3. 対応範囲: 自社のシステムや使用端末に適合するか。

5. 中小企業の成功事例


最後に、EDRを導入して効果を上げた中小企業の実例を紹介します。

事例: 小売業A社

社員数30名の小売業A社は、ランサムウェア攻撃により一部データが暗号化され、事業継続が困難になりました。EDR導入後、再び同様の攻撃を受けましたが、攻撃を早期に検知し被害を防止。結果として取引先からの信頼も向上しました。

6. まとめ


EDRは、中小企業にとってサイバーセキュリティを大きく向上させるツールです。導入にはコストがかかりますが、サイバー攻撃を未然に防ぐことのメリットは計り知れません。本記事を参考に、自社に合ったEDR製品を選び、安心して事業を展開していきましょう。

読者の皆さんの「EDR導入の第一歩」を応援します!

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