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【2024年夏版】アメリカエンタメ(アニメ・漫画・キャラクター)市場とアニメエキスポ現場レポート

こんにちは!
Mintoの広報/PRを支援している、武井です。
私はアメリカのロサンゼルスに拠点を置き、アニメ・漫画・キャラクター業界のUS展開支援を行っており、Mintoの広報/PRと、US展開にも携わっています。

直近、アメリカでのアニメや漫画等のポップカルチャーへの人気が加速しているように思えます。体感値だけではなく、実際の市場実態と予測としても、さまざまなリサーチからポップ・エンターテイメントの市場は拡大しているとの見方が。

米国でのアニメ・漫画・キャラクター市場に関する有識者へのインタビューをまとめたJETROによる米国市場レポート。米国でのエンタメIPビジネスに関わる有識者たちの知見やアドバイスがまとまっている。
※私も本レポート制作に協力させていただきました!

その中でも、毎年7月初旬に開催されるアニメエキスポ(アメリカ・西海岸最大級のアニメコンベンション)、7月末に開催されるサンディエゴ・コミコン(アメリカ・西海岸最大級のコミックコンベンション)、今年は8月に開催されるアニメNYC(アメリカ・東海岸最大級のアニメコンベンション)など、この夏はアニメ関連イベントが目白押し。

そして、Mintoも今年初のアニメエキスポへの出展を行いました!

ここからは、2024年のアメリカでのポップ・エンターテイメントカルチャー浸透の実態とアニメエキスポ2024年の様子をレポートできればと思います!

2023年には、北米漫画・Webtoon市場についてまとめています!こちらもぜひご一読ください✨

アメリカのアニメ関連コンベンション

コロナ禍のステイホームで配信プラットフォーム等を通じたアニメ視聴が広がり、アニメだけでなく漫画版や商品購入という観点でも市場が拡大。またポストコロナになると大型イベントが復活。2024年も多くのアニメコンベンションが開催されている&される予定です。

大規模アニメコンベンションの一覧:
Anime Expo (AX)
:
開催地: ロサンゼルス
参加者数: 約400,000人

San Diego Comic-Con :
開催地: サンディエゴ
参加者数: 約200,000人

NY Comic-Con:
開催地: ニューヨーク
参加者数: 約250,000人

Anime NYC:
開催地: ニューヨーク
参加者数: 約60,000人

その他、数万人規模が来場するイベント:
Sakura-Con(シアトル)、Anime Impulse(OC/シアトル/サンフランシスコ等)、Otakon(ワシントンDC)etc…

また、アニメ関連に加えて同じアジアのカルチャーとして、K-popやWebtoon、K-dramaをはじめとしたK(韓国)カルチャーも盛り上がりを見せており、2023年に開催されたKCON LAは140,000人の来場者を記録したといいます。

アニメエキスポ2024

中でも、最大規模の来場者を誇るのがアニメエキスポ。母体はSPJA(Society for the Promotion of Japanese Animation)という、もともとUCバークリーのコミュニティから始まり、日本アニメカルチャーの発信を目的とした団体が運営をしているコンベンションです。

2023年には、18歳から34歳のZ - ミレ二アル世代中心に約40万人の来場者があったとレポートされています。

アニメエキスポが公開しているインフォグラフィック
https://www.anime-expo.org/wp-content/uploads/2023/08/AX-24-EMOB-infographic-Lo-Res.pdf

2024年7月4日から7日まで開催された、アニメエキスポ2024には、Mintoも出展をいたしました!
出展したのは、JETRO主催の日本を発信する「Geek Street」と名付けたジャパンパビリオン。日本のキャラクターカルチャーを代表する1社として採択いただき、自社キャラクターのグッズを展示させていただきました!

会場は、Entertainment hall(ゲームやVtuber等の企業中心のホール)、Exhibit hall(アニメや漫画、関連グッズの企業中心のホール)、Kentia hall(二次創作やアーティスト展示中心のホール) の3つに分かれています。

上記の業態の企業の出展が主となるのですが、少し毛色が異なる新しい流れとして、アニメ x ツーリズム施策で地方自治体(群馬県)がキャラクター(ぐんまちゃん)を活用したブースを出展していたり。

ぐんまちゃんのキャラクター着ぐるみが登場するだけでなく、郷土品の展示などもありました。

また、「キン肉マン」のブースでは、プロレスリングが設置され本物のプロレスラーが登場するなど、ユニークでアメリカ人受けする施策が用意されていて来場者の注目を集めていました。

ただ大きなブースや目を引くオブジェなどを用意するだけでなく、”企画”で来場者を喜ばせたり、質の高い配布ノベルティをSNSでアピールして集客するなど、人が集まるブースには工夫や仕掛けがされているなと(当たり前のことですが)改めて感じました。

物販ブース

アニメエキスポは、アニメや日本のコンテンツ好きたちが、「グッズ買って散財するぞ!」と1年間分のお金を貯めてやってくる場所でもあり、自社グッズを販売しているライセンサーやメーカーにとっては大きな販売機会となっています。(実際に、EC+コンベンションでの出展のみでビジネスをする小中規模のグッズメーカーも多いです)

アニメの視聴層=子供や10代などの若い層がメインと思われがちですが、アニメエキスポの来場者を見ると、思ったよりも年齢層が高くむしろミレニアル世代(購買力が強い層)がメインの層となっていることに気づきます。

USでは、アニメ系グッズの人気のカテゴリはアパレル・ぬいぐるみ・フィギュアと言われていますが、特に人気を集めていたと感じた商品カテゴリはTシャツ、フーディなどを扱うアパレルです。少年ジャンプ系のライセンス商品を多く扱うHypeland(今年のExpoではOne Pieceとのコラボレーション商品を発表)や、hololiveのライセンス商品を多く扱うOMOCATのブースは大盛況。購買者のみがもらえるノベルティ施策もあってか、OMOCATブースは外周を何周もする長蛇の列ができていました・・!

また、Ehibit hall(ライセンサーやメーカーの出展が多いホール)とKentia hall(二次創作やアーティスト展示中心のホール)で販売されているものには違いがあり、たとえば日本でよく売られているアクリルスタンドや缶バッジなどのアイテムは、アメリカでは(小売店で販売されているような公式グッズとしては)あまり馴染みがないため、配布ノベルティとして扱われたり、Kentia hallの方でよく目にする商品カテゴリだったりします。

このあたりの日米の違いやトレンドを垣間見れるのも、エキスポの面白さかなと思ったりします。

パネルの活用

また、AXでのブース出展以外のプロモーション機会として、プレミア放映や新商品およびグループのお披露目、企業パネルトークなどで活用できるのがパネルセッションです。

いくつかのパネルセッションに参加し、パネルセッションへの出演は良いプロモーション機会だなと思いつつ、来場者が入っているパネルとそうでないものの差もあり、ただ申し込みをして出演すれば良い(アニメエキスポ側に集客をお任せ)と捉えずに、事前のプランニングや集客等の準備を抜かりなくやる必要があるなと感じたのも事実です。

たとえば、開催初日(アメリカ独立記念日の祝日。家族で家で過ごす人も多い)の午前中のパネルの場合は来場者数自体が少ないなど、パネルの日程や時間によって集客ポテンシャルがかなり左右されるため、そもそも良い枠での実施を狙い、自分たち主導でのPRやSNSでの告知、Give awayなどの集客施策をしっかりと行うといった事前準備は必須だなと感じた次第でした。

アニメエキスポ会場 "外”での施策

アニメエキスポの会期前後に合わせ、アニメエキスポ会場外でも様々なアクティベーションがLAで開催されていました。

miHOYOからリリースされたゲーム「Zenless Zone Zero」のローンチイベントが7/13にLAサンタモニカにて開催され、大規模なドローンショーが話題に。

7/5には、ロサンゼルスドジャースとVtuberプロダクションの「hololive production」がコラボ。スタジアム内のコラボグッズ売り場は最大8時間待ちの長蛇の列ができたといいます。

このように、アニメファンが集まるコンベンションの場以外の主要エリアで大規模に人を集めてのプロモーションを行ったり、球団等のローカルビジネスとコラボを行う取り組みからも、いかにアニメ・ゲーム等のカルチャーがマス浸透しだしているかを垣間見ることができるかと思います。

最後に

上記の様子からみてもこれからますます盛り上がっていく市場といえるでしょう。日本と比較しても、現地ニーズは確実にあり、一方でコンテンツやグッズの供給体制はまだまだ追いついていないという意味でポテンシャルの大きい市場ではないでしょうか。一方で、アメリカは国土が日本よりもはるかに広大で、一都市で一回の施策や出展をするだけでIPや作品を浸透させることは難しく、点ではなく線・かつ中長期での露出や出展計画が必要になります。言い換えると、その分コストも時間もかかる市場という認識を持って取り組む必要があるかとは思います。

私が拠点とするアメリカだけでなく、Mintoでは日本以外のアジア圏を中心に海外へのIPの展開支援を行っていますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせくださいませ!

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おまけ

日本文化の浸透の先駆コンテンツとして「寿司」があるかと思います。過去は一部のフーディのみが好む食だったのが、いまや知らない人はいない人気の大衆食と言ってもいいほどになっています。

そこで、日本からLAにビジネス視察に来た方におすすめしているのが手巻き寿司レストラン「Kazunori」。

「Kazunori」は、USの高級寿司チェーン「Sugarfish」等を展開する「Sushi Nozawa」の新業態・カジュアル手巻きスタイルの寿司レストラン。店舗の内装自体は日本のオーセンティックな寿司屋、メニューは手巻き寿司のみで、寿司職人の修行は多分ほぼしていない店員さんが手巻きをくるくるっと巻いて渡してくれる(でもお値段はそこそこする)ファーストフード寿司チェーンです。このお店が今大人気!

寿司の大衆向けのアメリカナイズのされ方としては「カリフォルニアロール」のような、ザ・アメリカ版寿司のイメージが強いですが、日本の寿司のオーセンティシティを外側と体験部分で残しつつ、オペレーションやHowの部分をがっつり効率化しアメリカナイズしているという意味で、「Kazunori」の手法は日本文化の需要・浸透のされ方のひとつのかたちではとプチ話題になっているので、ぜひアメリカに来られる際は訪れてみると面白いかも!?

ここまでお読みいただきありがとうございました!

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