壁新聞を作ろう
斉藤です。
壁新聞について書こうと思う。
1.
壁新聞を出そうと考えたのは、秋の終わりだった。すぐに専用のノートを作って、思いついたことをメモすることにした。見返しにはかわいい猫のシールを貼った。
ノートの中に「なぜ壁新聞を作るのか?」と題したページがある。「面白そうだから」「文章の練習がしたいから」「新しく買った万年筆をいっぱい使いたいから」など、当時の私が考えた理由が並べられている。「怪獣歌会でフリーペーパーを出せたのが嬉しかったから」というのもあった。リストの一番下には、「働きながら書くことができるという証明として。私のため、そして何人かの友だちのために。」と一際しっかりした文字で書いてある。これだけ妙に大げさな理由だが、大切なことだと思って記したのだろう。
実際のところ、今の仕事に就いてから、ものを読んだり書いたりする時間が減っている。私は読んだり書いたりすることが好きなので、悲しかった。抵抗する必要があると思った。その手段として選んだのが壁新聞だ。私一人の新聞だから、何だって書いていい。出しても、出さなくてもいい。第一号で終刊したっていい。何より、書いたものを友だちに読んでもらえるのがいいと思った。私と同じような悩みを口にする人が何人かいたから、その人たちにも読んでほしかった。
帰りの地下鉄の車内で少しずつ原稿を書き始めた。初日にある事実に気づいた。混んでいて席に座れないので、せっかく買ったノートを広げることが難しいのである。仕方なく、スマートフォンのメモアプリに入力することにした。残念ながらメモアプリには猫のシールはない。
2.
そもそも、壁新聞とはどのようなものか。読者の中にも小学校で作ったことがある方がおられるのではないかと思う。あれに近い。(ちなみに私は「川しんぶん」「ザリガニしんぶん」などの制作経験を持つ。)A4一枚の紙に手書きで好きなことを書くだけだ。ただ、壁新聞、壁新聞と呼んでいるのは便宜的なもので、壁にはおそらく貼らない。まずはPDFで親しい人に配ろうかと思っている。
今回、壁新聞の題は「越冬通信」とした。長い冬を越す読者の友となるようにというのは表向きの理由だ。こうしておけば、冬の間だけ出せばよい。
そして壁新聞といえば、忘れてはいけないのがコーナーだ。いろいろなコーナーがあるとよい。例えば、以下のようなものだ。
・詩のコーナー
詩と鑑賞を掲載するコーナー。この壁新聞を抵抗のひとつのあり方と位置づけるなら、詩は入れたいと考えた。抵抗そのものとしても、抵抗の合間の休息としても。もちろん、自分が俳句を書いてもいい。
・書評のコーナー
面白かった本について書くコーナー。単によい本を人に勧めたいというだけではない。私は以前と比べて読む本の数が減っていることに焦りがあるようで、一冊を読み終わると早く次の本に取りかからなければと感じてしまう場合がある。意味のないことだ。書評を書くことで、一度立ち止まって物事をよく考えたい。
・漫画のコーナー
漫画を描くコーナー。絵が得意というわけではないが、鳥が好きなので、鳥の絵など描ければと思っている。
・おたよりコーナー
読者からのおたよりを紹介するコーナー。おたよりを募って、短いコメントを付ける。みんなの書いた文章を読みたいということもある。
3.
本記事を執筆する上で「今年の知見」という題をもらっていた。実は越冬通信はまだ編集の途中なので、これは全然今年の知見ではない。だが書きたかったので書いた。
4.
越冬通信第一号は2020年1月の発行を予定している。