ボイコネ用ボイスドラマ「一葉の詩が綾なす出会いは。」第八話「見つかっちゃった?!」

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0:-本文中、ト書きの部分は「綾子」役の方がお読みください-
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0:次の日の朝。
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綾子:はぁっ、は、はっ!
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0:私は慌てていました。
0:寝坊してしまって、もはや朝のホームルームぎりぎり・・・!
0:でもあと少し、あの角を曲がれば教室・・・!
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綾子:きゃあっ!!
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一葉:わっと・・・あっ、あーや!?大丈夫!?
一葉:あーあーもう・・・色々飛び散っちゃって・・・。
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0:どうして一葉さんが・・・?
0:わ、カバンの中身、散乱してる・・・。
0:カバン、焦っててしっかり閉じてなかったんだ・・・。
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一葉:お、このノート・・・あれ?これって・・・
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綾子:ひっ、一葉さん、それは見ないで・・・!
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0:なるべくそっと、一葉さんから水色表紙のノートを取り返します。
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一葉:あ、ごめんねあーや!えっと・・・
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0:とりあえず、といった感じで、一葉さんは散乱したノートや筆記用具を
0:集めてくれました。
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綾子:ありがとう、ございます・・・一葉さん、怪我してませんか?
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一葉:アタシは大丈夫。あーやこそ大丈夫?
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綾子:はい、大丈夫です。ご迷惑、おかけしました・・・。
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一葉:いーのいーの!ほら、あーや立てる?
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綾子:あ、はい。
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0:一葉さんが私の手を引いて立たせてくれます。
0:と、そこでチャイムが鳴ってしまいました。
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一葉:ありゃ、チャイム鳴っちゃった。
一葉:まぁ、あーやが来なくって探してたから、良かったよ!
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綾子:そうだったん、ですね。本当にごめんなさい。
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一葉:いいっていいって!さ、教室行こ!
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綾子:はい・・・!
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0:一葉さん、私のこと気にしてくれてて、いつも嫌な顔とか、
0:怒った顔とか全然しないなぁ・・・すごいなぁ・・・。
0:私には、大げさかもしれないけど、女神様、みたいに一瞬、見えちゃった。
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0:そして、お昼休み。
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一葉:ねー、あーや?
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綾子:はい?
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一葉:カニのウィンナー、おいしそうだね・・・?
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綾子:え?あっ!
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0:流れるような割り箸(わりばし)さばき・・・。
0:さらわれるカニさんウィンナー・・・。
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一葉:んふふ・・・あーん・・・
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0:そしてカニさんは哀れ、一葉さんのお腹の中に・・・。
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綾子:・・・一葉さん。
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一葉:・・・ごめん。
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綾子:力作だったのにぃ・・・。
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一葉:ほんとごめんて・・・唐揚げあげるから・・・はいっ。
一葉:そだ、力作といえば、あーや。
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綾子:はい?
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一葉:あーやは将来作家さんみたいなことしたい、って言ってたじゃない?
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綾子:あ、はい、モノ書きのお仕事がしたいな、って。
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一葉:だったら、このサイト、知ってる?
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0:そう言って一葉さんが見せてくれたスマホのサイト。
0:そこは・・・。
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綾子:あ、「monokaki(ものかき)」ですよね。
綾子:知ってますよ!
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一葉:お、そうなの?あたし、ここに詩をアップしてる人のファンなんだー。
一葉:でもね、最近あんまり更新されてなくってね・・・。
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綾子:そうなんですか・・・でもその方の事情もあるでしょうし・・・。
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一葉:そだよね。でもいつも力作アップしてるからさ、楽しみにしてるの。
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綾子:作家さんの力になりますよ、それ!「好きです!」とか押してます?
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一葉:いっぱい押してあげたいんだけどね・・・あれ1回しか押せないじゃない?
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綾子:んー、だったらDMはどうでしょう?
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一葉:それも考えたんだけどね。私の気持ちを押し付けてるみたいでなんか・・・ねぇ・・・。
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綾子:なるほど・・・そうですねー。
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0:二人でウンウンと唸っていると。
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一葉:ところであーや、いきなりなんだけどさ?
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綾子:はい?
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一葉:良かったらさ、連絡先交換しない?緑のアレ。
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綾子:あっ、はいっ!一葉さんならぜひ!
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一葉:えへへ~。んじゃ・・・はい、これアタシのアカウント。
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綾子:ありがとうございます!
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0:緑のアプリの連絡先を交換して、早速スタンプを送ってみます。
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一葉:え・・・?なにこれ・・・?
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綾子:えっと、・・・変、でした?
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一葉:なんというか・・・個性的、だねぇ・・・?
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0:あれ・・・?安全帽のネコのスタンプ、不評・・・?
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綾子:シュールな感じがすごく好きなんですけど・・・。
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一葉:ああ・・・そうなんだ・・・。
一葉:それはそれとして・・・あーや?
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綾子:はい?
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一葉:あたしさ、今朝あーやとぶつかった時に、
一葉:あーやのノート見えちゃったのね?
一葉:それでね・・・?
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綾子:はい・・・
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一葉:「風」っていう詩が、見えちゃったのね。
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綾子:あっ、はい・・・
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一葉:あーやってもしかして「皆鶴姫(みなづるひめ)」さん?
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綾子:あ・・・えと・・・
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0:どうしよう、どうしよう!?
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0:-続く-
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