彼女たちのことが心配でたまらない人の手紙
日向坂46の躍進がとまらない。テレビで見ない日はないし、その証拠に「日向坂」でキーワード録画している僕のHDDレコーダーには毎日のように大量に彼女たちの出演番組の録画が増えている。正直全部チェックするのも追いつかないほど。
ひらがなけやきとして頑張っていた頃、もう少しくらい人気が出てもいいのになと思ったこともあったけど、今ではどの番組でも「大スター」扱い。乃木坂や櫻坂などお姉さんたちがかすむくらい「今をときめくアイドル」として紹介されて登場してくる。3年前にはこんな日がくるとは正直思ってなかった。想像を超えるブレイクぶりだ。
バラエティのゲストで着実に実績を残して帰るキャプテン、そしてかとし。相手が厳しいとまるでその場にいなかったように借りてきた猫になるけど、愛のあるいじりをしてくれたり、ウェルカムモードの温かい場だと力を発揮して爪痕を残してくる渡邉美穂、富田鈴花などの若手バラエティ班、いつでもどこでもアイドルとしてがんばって全力を発揮するみーぱんやきょんこ。ハガキ職人としての才能をひなあいでは活かしまくる松田このや、サッカーマニアという一芸に秀でた天才、影山や多才なクリエイティビティを発揮するもう一人の天才、おすし。団体芸だと生きてくるにぶちゃんやひなやひよたん、ただそこにいるだけで何もしなくてもいいアイドル、こさかな、その他もう誰でもいいけどここまで皆が有能な集団はかつてのAKBでもモー娘。にもアイドリングでもなかった。たいてい誰かが突出してるだけで、22人が誰1人欠けてもダメだというくらいの理想の集合体アイドルが彼女たちだ。
がな推しのBlu-rayは全巻面白かった。ひとりやふたりの目立ちたがり屋がいたところであの面白さは出ない。あれはまさに「団体芸」であり、それを引き出すオードリーの懐の深さと、どうにかこうにか人前に出せるようにアレンジしたり編集したりするケイマックスの3者の幸せな出会いによる化学反応の結果だ。アイドル番組をただ「面白いから」という理由で見続けてるのもどうかと思うがそれくらい稀有なバラエティなのだ。
だからこそ心配になる。連日続くメディア露出で消費され疲弊していくことを。キャプテンは何回ものまねや一芸をやらされるかわからないし、かとしは変顔をいつまでやるのか、美穂渡邉や冨田は何度もこすり倒されたエピソードをそのたびに昇華させながら求められるままに繰り返すだろうし、みーぱんやきょんこやおたけやひよたんやひなはどんなに機嫌が悪い日でも常にニコニコし続けるかもしれない。つまり、出過ぎなのだ。雑誌やイベントやテレビやラジオやその他もろもろに。
AKBがヘビロテで黄金時代の始まりを告げ、やがて恋チュンでピークを迎えた頃くらいまで、テレビで彼女たちを見ない日はなかったし、高橋みなみのエセ関西弁や、大島優子の変顔や、ぱるるの塩対応エピソードなんて毎日なにかで見せられてた。そして人々はある日突然飽きてしまった。永遠のピークはどんな生物にも存在しない。だから僕はコロナ禍の今年になぜか人気のピークを迎えつつある彼女たちの近未来を本気で心配してしまう。ほどほどに人気があるままで長く地道に続けてほしいなと思ってたからだ。
いまでも彼女たちのステージでのお辞儀は滞空時間も長く、そして美しい。また、他の坂道グループのことを話す時には常に尊敬の念を忘れない。ドキュメンタリー映像で、初めて欅坂に会って圧倒されてたシーンがあったけどそれも今は昔。欅は平手が辞め、改名し、櫻坂というよくわからないコンセプトのグループに名を変えた。もうとっくに抜き去っているにも関わらず、今でも音楽番組などで彼らの話をするときの彼女たちの目は輝いている。なんて良い子なんだと思う。でもいつか芸能界ズレしてこういう謙虚さや初々しさも消えていくものかもねとチラッと思う。そうだとしてもそれはかなり先だと思ってたのだが、今の加速度的な人気上昇をみていると案外早いことなのかもしれないと危惧している。彼女たちに限って売れて傲慢になったり手のひら返しのようなことはないとは思うけど。
みーぱんが健康問題で休養に入った。1週間程度の入院らしい。キャプテンやかとしもよくいまの出演ペースで倒れないものだとハラハラしている。
売れてほしい。でも売れすぎて変質するのはさみしい。典型的なオタクの発想であることは重々承知のうえで、いまの僕の心配は「これ以上売れること」である。
これ以上、売れたら、どうなっちゃうんだ!?