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#2「ハダー2」

#1からの続きです

君と話し合うようになるまでは、ずいぶん時間がかかった。初日から続いた興味やら関心やらが言語の城壁に阻まれ治まり、君も普通のクラスメートとして教室に馴染んだ頃だった。水曜日の第5時限は音楽で本来であれば授業の前に音楽室に行くべきだったけど、音楽の代わりに英語室で英語の授業が予定されているという話が隣のクラスから伝われたみたいだった。昼ご飯を食べてずっと図書館にいて僕はそのお知らせを聞けなく、僕は空っぽな教室を見て何も疑わなく音楽室に向かった。

音楽室への廊下が静かなことに気づけなく、そのままドアを開けた。空っぽな教室、並んでいる長椅子の真ん中で君が首を俯いていた。一体どんな状況なのか、一時ぼさっと突っ立っていた。いや―、何とかしないと。君の肩をとんとんと叩いて、つい「ハダ」と君を呼んでしまった。すると初めての出会いで見せてくれたその泣き出しそうな顔で、君が「ハダ?」と聞き返してきた。しまったと思って話頭を転じた。下手な日本語で、「ここで何をしていますか」と聞いたら、君から「日本語話せる?」という質問を始め、早口言葉が容赦なく降ってきた。何の意味も分からなくてぼおっとしていたら、にわか雨のように降り注いだ日本語が止んで、君の顔はまた最初通りになろうとした。一応安心させて、クラスの皆を探す方がいいと思った。「カームダウンください。一緒に外で」とどもりどもり言ったら、涙の玉をを拭いて君が隣に着てくれた。


そして日本語が下手なガイドと韓国語が話せないお客さんの、たった二人だけの校内ツアーが始まった。 省みれば本当に最悪のもてなしだった。施設の名前もまともに日本語にしらなくて殆どを「教室」だとごまかしたし、ペースを合わせずしきりに何歩前に行ってしまったし。それに結局、あの日チャイムがなるまでクラスのみんなを見つけることはできなかった。


それでも自分の下手さがいい思い出として未だに残っているのは、君が気遣ってくれてからだろう。振り返るたびに微笑んでくれたことや、無理して僕の速足に付き合ってくれたことを、遅ればせながら感謝を言おう。


#3で続きます 。皆さん、読んでいただきありがとうございます。

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