![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/66398979/rectangle_large_type_2_d0811b39f4d53a445f4a9934bdd2db4f.png?width=1200)
【解説】宅建士試験の内容や勉強法について
先日、令和3年度の10月試験に自己採点43点で合格しました。
宅建試験は、合格率が例年16%~18%程度であり、油断したら落ちる難関試験ですが、コツさえ掴んで道筋を見極めれば、合格することができます。
この記事で分かることは、
①宅建試験について(科目、問題構成、目標得点)
②科目ごとの優先順位
③合格するための勉強方法
の三つです。それでは、解説を始めていきたいと思います。
宅建試験とは
宅建試験は計50問全てが四者択一方式の試験です。宅建試験の科目は以下の5つの分野に分かれています。
①権利関係
②宅建業法等
③法令上の制限
④税、その他関連知識
⑤免除科目
はじめに、これら5つの特長や留意すべき点について解説していきます。
①権利関係
権利関係とは主に不動産に関する民法関係の試験問題で、基礎を踏まえたうえでの応用が多いです。
このような問題傾向のため、勉強したからといって素直に得点に反映されることはありません。
そのため、まずは頻出の分野の問題で基礎を完璧にすることがベストです。
<一言アドバイス>
権利関係の問題は、文章で見ると複雑かつ難解であるため、場面が想像しづらくつまずきやすいです。
登場人物を書きだして権利や物件の移動の流れを把握したり、登場人物の一人を自分と置き換えてみたりするとより分かりやすくなります。
②宅建業法等
宅建業法等では、出題範囲が狭く過去問と類似した内容が多く出題されます。
そのため、過去問を繰り返し解きなおし基本知識を完璧に抑えることが重要です。
比較的得点しやすい分、個数問題もいくつか出題されますが基礎知識さえ押さえておけば対応することができます。
<一言アドバイス>
宅建業法を解くうえで求められることは正確な暗記です。
そのため、知識がこんがらがった状態は危険です。そうなってしまったら、「誰を何のために法律で規制しているのか」を一度立ち止まって確認してみましょう。
③法令上の制限
法令上の制限は、暗記科目ではありますが「建蔽率」や「準住居地域」など聞き慣れない用語が多く見受けられる科目です。
学習を始めて間もない時期は苦戦しがちですが、毎年出題されるポイントは似た傾向にあります。テキストのすべてを無闇に暗記するのではなく、過去問を解いて重要な分野を把握することが必要です。
<一言アドバイス>
特徴として、似たようなプロセスを踏む手続きが多く、混同しやすい分野であることが挙げられます。例えば、「届出制なのか許可制なのか」・「都道府県知事なのか市町村なのか」などを挙げることができます。これらは、試験本番でもよく問われることなので一つずつ丁寧にキーワードを抑えることが大切です。
④税とその他の知識
税とその他の分野では、主に不動産に関する税金と税金以外の関連知識について問われます。この分野も暗記科目なので、覚えれば覚えた分が得点につながりますが深追いは危険です。
<一言アドバイス>
税の分野では数字が、税以外の分野では聞き慣れない単語が多く、すべてを覚えきることは難しため、過去問を繰り返し解くことで重要な論点を抑えることが必要です。
⑤免除科目
免除科目では、不動産に関係する様々な問題が計5問出題されます。様々と言っても、毎年決まった範囲から出題されるため、対策しやすい科目です。しかし、範囲が広く覚える量が非常にい多い範囲も存在するため、まずは過去問を完璧にすることを目標にしましょう。
<一言アドバイス>
なお、毎年1問だけ不動産業に関する統計の問題が出題されますが、この点に関しては過去問だけではカバーしきれないので別途対策が必要です。
宅建試験の問題構成と目標得点
次に、宅建試験の問題構成と目標得点について説明していきます。
近年の宅建士試験の合格点は36点~38点の範囲を推移しているため、それをもとに目標点数を定めました。
表にまとめてみましたので、ぜひご覧ください。
前提として、どの分野においても7割以上の得点が求められますが、その中でも印象的な科目が宅建業法です。
宅建業法では、なんと9割以上の正答率をたたき出す必要があります。
しかも、全体の50問のうち20問を占める宅建業法ができない限り、合格への道は閉ざされてしまうため入念に準備をしましょう。
優先順位
上記で述べた科目ごとの特徴と、先ほどの表から逆算して科目ごとに優先順位を付けていきたいと思います。
最も優先するべき科目は宅建業法です。なぜなら、宅建業法こそが合格のカギを握っているからです。比較的得点がとりやすいうえに問題数が多いこの科目こそ第一に時間を割くべきです。
次に優先するべき科目は、権利関係か法令上の制限です。問題数では権利関係を、点の取りやすさでは法令上の制限を、優先するべきなのですが、それぞれにデメリットが存在します。
権利関係は、覚えた分をさらに応用しなければいけません。一方で法令上の制限は、覚えた分が点につながりやすいけれど覚えることが多いのです。
法律に抵抗がなく、応用のほうが得意という人は権利関係を優先し、応用よりも暗記が得意という人は法令上の制限を優先しましょう。
以上の科目に比べて少し優先度が劣るのが、税とその他関連知識・免除科目の二つです。この二つは、過去問を解くだけでほとんどの範囲をカバーできると同時に、比較的とっつきやすい科目です。
そのため、どっしりと構えて勉強する必要がなく隙間時間に取り組みやすいです。
もちろん、優先度が低いからと言っておろそかにすることは許されません。
また、試験が近づくと同時に暗記科目のほうが優先順位が上がっていきます。あくまで目安ですが、試験日まで2週間を切ったら権利関係よりも暗記科目を優先するようにしましょう。
勉強方法
全体的な勉強は以下の4ステップで行っていくのがベストです。
筆者はこの通りに勉強を進めて合格を勝ち取りました。
Step1 慣れる
Step2 過去問を解く
Step3 わからなかった問題を解きなおす
Step4 わからなかった分野の問題を解く
Step1 慣れる
いきなり問題を解くことは、法学部出身であったり法学に関して知識がない限り難しいです。
初学者の方はまず用語に慣れるところから始めることがおすすめです。
テキストと練習問題を交互に使って大まかな全体像を把握することを意識して取り組みましょう。
例えば、権利関係のうちの「遺言」という分野のテキスト部分を読みます。その後に、遺言に関連する一問一答を解いてすぐテキストと照らし合わすというやり方がオススメです。
Step2 過去問を解く
慣れてきたら過去問を解いてみましょう。
過去問は1回目でとれなかったからといって落ちるものではありません。
そのため、解けない問題を当てずっぽうに答えるのではなく、素直に受け入れて一問一問を大切に取り組んでください。
Step3 わからなかった部分を見直し解きなおす
過去問を解いた後は不正解だった問題だけでなく、根拠が分からなくてたまたま正解だった問題も解きなおします。
Step3以降で問題を解くときは、問題を一つ解いたら答え合わせをするというやり方がおすすめです。その方がすぐに知識を吸収しやすいからです。
Step4 わからなかった分野の問題を解く
過去問を解いて答え合わせをすると自分の苦手分野も把握できるようになります。しっかりと自分のできる分野とできない分野を見極めて、不正解だった分野を見直しましょう。
もし余裕があれば知識があいまいだった分野も関連付けて復習することもおすすめです。
ひと通りの復習を終えて、苦手意識も薄れてきたらまたStep2に戻って過去問を解いて・・・
この繰り返しで合格に必要な知識をつけていきましょう!
<勉強をする上で大切なこと>
慣れてきて過去問を解いてみたはいいものの、全体的にあまり出来が良くなかったということは最初のうちはよくあることです。
過去問で落ちても本番に受かればノープロブレムです。
そこで落ち込まずに、できなかった部分を少しずつできるようにしていく作業が合格に必要なことです。
何も一日ですべてのできなかった部分に関連する分野の問題を復習しきる必要はありません。
今日は借地借家法と区分所有法、明日は営業保証金と35条書面・・・という風に、着実に解けなかった問題・苦手な分野を減らしていきましょう。
<重要!!>問題を解くときのテクニック
実際、勉強方法や苦手な分野などは人それぞれです。
ですが、どんな人でも問題を解くという行為自体はしています。
そこで、Step3以降で問題を解くときにぜひ使ってほしいテクニックがあります。
それは、問題の四択すべてについて、どの部分が誤りでなぜ間違っているのかを考えるというものです。
なお、Step2で初めてその過去問を解く場合や、時間を計って本番の形式と同じように行う場合は、このテクニックは不要です。自分が○か✖を選ぶ根拠となった部分に線を引いておきましょう。
ここで、実際にテクニックを使って問題を解いていきましょう。
この問題は令和2年度12月試験から抜粋しました。
次に示した画像が、テクニックを使って問題を解いたものです。
どこが誤りかという部分については、自分が○か✖を選ぶ根拠になります。もっと簡潔にしてもいいですし、線を引くだけでも構いません。
大事なのは根拠が分かることです。根拠がはっきりと示されていれば、後で見返したときに、知識がついた状態で正解したかどうかが分かります。
また、間違っていたとしても、自らの誤った認識や勘違いが露見します。
さらに、なぜ間違ったかを考えることで、基本知識がより定着します。書くのが面倒くさいという人は口述してもかまいません。
しかし、いきなりその理由をはっきりと示すというのは難しいです。
もし分からなかった場合には、苦手マークを付けておくなどの対策をして、次に解いたときに答えられるようにしておきましょう。
過去問を解く前に、苦手な部分を解きなおせるとgoodです。
このテクニックを使うメリットは、一つの問題から得ることのできる学習効果が高いという点です。
過去問を何回も繰り返して解くときに、「あれ、この問題見たことあるし正解これだったよな」っていう経験をしたことありませんか?
この場合、その問題は解けても知識が身に付いていない可能性が高く、本番の応用問題に対応することができません。
それを解消するのがこのテクニックです。
4択全ての正誤を正確に判定できるようになれば、知識が身についたと言うことができるでしょう。
上記やり方は、あくまでわかりやすくするために表にまとめたものです。
問題を印刷して直接書き込んだり、ノートを縦に分割して書き込んだりする方法がおすすめです。ぜひ、このテクニックを使ってみてください!
最後に
宅建士試験の内容や勉強方法について述べてきました。
便利な時代になったもので、今はYoutubeやTwitter、Webサイト上に多くの優秀な教材が転がっています。
最後はモチベーションを保ち、いかにそれらの教材たちを効率よく使うことができるかどうかが勝負です。
次の記事では、科目ごとの頻出分野と対策についてお話ししたいと思っています。体に気を付けて今日も勉強頑張ってください・・・!!