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40代後半、突然の舞台女優
Q商会のこと
Q商会とは、2015年から2018年まで活動したコント演劇ユニットです。
そしてその座長は、私でした笑
「下品ほっこり」をテーマにした内容の…
本当に恐ろしく下品なものでした。笑
飴玉をプーっと吹いてキャッチボールしあったり、毛むくじゃらの裸の男の毛をガムテープで剥がすなど......笑
思い返すと、コロナ禍の現在ではアウトなシーンもたくさんありましたが、アンケートによると「Q商会は癖になる!また行きたくなる!」というフィードバックも多かったのは事実です。
脚本の大畑英明さんの展開の仕方は、いろんなコーナーがたくさんあり、でも、それが一つのストーリーとして繋がっているというのが特徴的でした。
そして、起承転結がはっきりとしていて、エグさもありますが「誰も傷つかない」観た後ほっこりするようなストーリーでした。
40代後半でいきなり座長に
養成所時代の発表会しかお芝居の経験がなかった私が、40代後半でいきなり座長になったのは何故か?
今でも不思議で謎だらけですが、この「Q商会」私にたくさんの奇跡を与えてくれたことには間違いありません。
きっかけは、2015年5月30日(土)。この日、前の事務所の大先輩であり私の師匠の朗読公演がありました。
私はスタッフとしてお手伝いに入り、受付を担当。
その他たくさんの門下生や関係者が、いろんな役割を受け持って、師匠の素晴らしい公演の成功に向けて、きびきび動いていました。
その中に、車椅子のお客様につきそって、丁寧に誘導している男性がいました。
よく気の利く方だな〜と思って感心していたら、朗読公演の打ち上げの時に、たまたまその男性が私の目の前に座っていました。
名前は、内田雅巳さん。
のちの、Q商会の演出家です。
打ち上げの乾杯が終わり、そのテーブルの皆さんとお話していく中で、内田さんは、お芝居などで活躍されている俳優さんであり、介護の仕事もされていると言うことでした。
私は、舞台という世界に憧れもありましたから「一生に一度でいいから舞台に出てみたい!」と、酔っ払って調子のいい一言を、言ってしまいました。
その場を盛り上げようと思って。
これが、Q商会の始まりです。。
この無責任な自分の発言は、身から出たサビとも言えるのか、幸運への神展開なのか…
内田さんからメールがきたのは、その数日後。
舞台をぜひやりましょう。会わせたい人がいると。
「マジか⁈…どうしよう。」
半分
「社交辞令だったんだけどなぁ。」
でも、会うだけ会ってみるか!
と思い直して、待ち合わせ場所の新宿高島屋に行くと…
内田さんの隣に、白シャツの内田さんより柔らかい雰囲気の男性が立っていて、にこやかに「初めまして。」と私に声をかけてきました。
内田さんはどちらかというと強面と言いましょうか、笑わないと一見、怖い感じがするのですが、それとは正反対の雰囲気だったのが、大畑英明さん。
Q商会のプロデューサーであり脚本家です。
今までどんな舞台をやってきたのか、ノートパソコンを使いながら、説明を受けました。
そして、私が1番不安に思っていること、ほとんど芝居経験がなく、声の仕事をメインにしていたこと。なので、舞台上の演技はできないと伝えました。
「大丈夫、大丈夫、ボクらのは、芝居って言わないから…」
と、かえってどういうこと?って思うような返しでしたが、何かのご縁かもしれない!やってみよう!となり、それから2年半お付き合いさせて頂くことになりました。
「Q商会」というユニット名も、決めてあると言われ......
この意味は、QさんのQ、Question のQ、Quality のQ…からきていると。
「え?QさんのQって、なんか私中心になってませんか?本当に脇役でいいんですけど…」
「Qさん主役でいきたいんです。」
「いや......わたし、台詞も覚えられないし、無理ですよ。」
「大丈夫ですよ。即興的な感じでできますし。」
不気味なくらい、笑顔になる二人…笑
ま、一回きりならいいか。
と軽く引き受けてしまいました。
第四回公演「ギャンブルウ」の終演後、新中野ワニズホール、左から内田雅巳さん、私、松本タカシさん カイジのオマージュもあり、悪役の会長役でした。
そうこうしてるうちに、2015年12月5日(土)、6日(日)の3公演、新中野ワニズホールという小さなホールで無事に旗揚げ公演を行いました。
30席ほどの会場が、3公演とも50席近く埋まったのです!
私の友人、知り合いの方、生徒さん達たくさん来てくれました。
2年半のうち、6回も公演することに!!
Q商会の公演をするにあたり、私が講師をしている声優養成所で、養成所の代表の協力を得て、出演者をオーディションすることになりました。
全6回公演全てこのようなオーディションで、養成所生がダブルキャストで出演していたので、たくさんの若者達に、お芝居のきっかけとなったのではないかと思います。
その他、外部でもオーディションをしたり、事務所の後輩たちに毎回出演してもらいました。
後輩たちとの絆も深まりました。
一つの舞台を作っていくということは、苦労を共にするといいましょうか。
一体感が生まれることも肌で感じました。
それから、大畑さんや内田さんの小劇場役者仲間のみなさん、グラビアアイドルさん、そして、第3回公演からは、毎回お笑い芸人さん、グラビアアイドルさんを客演に迎えました。
Q商会第四回公演「ギャンブルウ」新中野ワニズホール 集合写真
2016年12月2日
第五回公演「オソルべきジンタイ実験」
シアターKASSAI Aチーム 集合写真 2017年8月2日
なんとも賑やかな日々でした。
たくさんの濃い思い出があり、何をお話しようか迷うところですが、冒頭で申し上げた「Q商会が私にもたらした奇跡」のことを、少しお話します。
Q商会が私にもたらした奇跡
まず、私が高校三年生の時、担任だった先生が、6公演全部観に来てくれたのです。
先生は国語教師で、当時、初めての高3の担任になり、何といいましょうか......どこかおどおど頼りない感じでした。
「Qちゃんどうしよう......誰も手伝ってくれない。」が口癖の先生で、ボーイッシュな私は「しょうがないなー、先生手伝ってやるよ。」と、今思えば生意気なことを言いながら、友達何人かとお掃除当番表や、印刷物などの放課後のお手伝いをしていました。
そんなありのままを示しながら、反骨精神旺盛な10代の私を、やわらかい心にしてくれた先生。
その先生が、毎回足を運んで下さった。
それだけでなく、なんと、第2回公演からは、当時の英語の先生、高ニの時の担任の先生にもお声がけ下さり、三人の元恩師が客席に集合!
そして、第2回の時には、高校の時の同級生も来ましたから、30年ぶりの同窓会のようになりました。
高校時代の私は、成績も悪く、先生方には散々ご迷惑をおかけしていました。
そんな先生方が、自分のパフォーマンスを観に来てくださる日がくるよと、
タイムマシンにのって、10代の私に教えてあげたいと思うような出来事でした。
先生方との思い出は他にもありますが、またいつかお話しするとして…
その他の「Q商会が私にもたらした奇跡」として、なんといっても、ファンの方々に会えたことです!!!
旗揚げ公演の時に、1人のファンの方からプレゼントと手紙を頂きました。
Twitterを見て、来てくださったようですが、受付にそっと渡して帰ってしまったようで、お会いすることはできませんでした。
手紙には、長いこと私の声のファンであると書かれてあり、私は驚きました。
「私に、ファンがいるんだ…」
教える仕事が板につきすぎて、14.5年忘れていました。その感覚。
かつては、私も、決して多くはないけれどファンレターを貰ったことがあります。
久しぶりのファンレター。
やはり、嬉しい!笑
しかも、わざわざ観に来てくださり、会わずに帰るなんて、なんて奥ゆかしいの⁈
ただ1人の寂しがり屋の人間として、会いたかったな、お礼を言いたかったな、と思いました。
そして、第4回公演の時だったでしょうか。
毎回、お客様にアンケートを記入していただいていました。
このアンケートの回収率も毎回とても多く、ほとんどが応援メッセージ。
私がスリッパで頭をぶたれるシーンが多かったので「Qちゃんの頭をぶたないで!お願い!」など、毎回皆さんの温かさといったらありませんでした。
また、他にも毎回出てくるキャラクターがはっきりしていたので、そのキャラを見られる楽しみもあったようです。
兵隊の格好をしたフジキ二等兵
毎回一発ギャグをやる松本さん
毛むくじゃらの裸男の内田さん
私の髪の毛をぐしゃぐしゃにする眞藤さん
グラビアアイドルで、いつもほんわかお姉さんの小島ミカさん…
お客様にとっては、愛すべきキャラクター達ばかりと、喜ばれていました。
フジキ二等兵役のフジキマコトさんと。
第六回公演「ファイナルテスト」の時に。2018年3月4日
松本さんとのシーン
そして、そのアンケートで、どうも私のファンと記入されている方が、数名いらっしゃって、「昨日も来ました。」「明日も来ます。」と書かれてあったのです。
でも、どなたも終演後、そのように声をかけてくださらない。
確かにやたらと役者に話しかけるのはNGなところもあるのでしょうが、Q商会の良さは、終演後、お客様と普通にお話したりできるところでしたので、Twitterにそのことを書こうとして、どんな反応があるのか、逆にのぞいてみると......
「森田さんの声がヤバい」
ファンの皆さんの呟きが、また私を驚かせました。
「森田さんの声がヤバい」とか、「素敵すぎる」「声をかけられなかった。」など、何回も来てくださってる様子、皆さんの感激ぶりが伝わってくる内容でした。
どうやら、ユーリ・イヴァーノフのファンであることなどを知りました。
とても嬉しくて、私は皆さんにお伝えしました。
お会いしたいので、みなさんお気軽に声をかけてくださいね!と。
ユーリ・イヴァーノフとは、その時で、15年くらい前に最終回を飾った、アニメ「爆転シュート ベイブレード」の敵キャラ。
まさか未だに、こんなに長く愛されていたとは!!
Q商会、やってよかった。
みなさんの熱い思いを初めて知ることができたのだから。
そして、そのことを大畑さんに話すと、
「次回はファンの方に喜んで貰えることやりましょう!技名を叫んじゃいましょう!ユーリの声をやりましょう!」となりました。
第4回公演で、舞台の高台で「ノーヴァエローグ!!」と15年ぶりにユーリの技を叫ばせて頂きました。
第5回公演「オソルべきジンタイ実験」シアターKASSAI 本番前の楽屋にて 左から 1番助手フラスコ役眞藤ヒロシさん、アホーキング博士役の私、2番助手シャーレ役林祐人さん
技名を叫んだ最初の回 2017年8月2日
そして、終演後、ファンの方々とお会いし、お話しすることができました。
ファンの方々の横のつながりもあるそうで、遠くからいらしてる方もいましたし、ユーリから始まって、ロシアが好きになり、ロシア語まで勉強されている方もいたり、絵や小説など表現されていて、本当に素敵な可愛らしい感じの方達ばかりでした。
こんな奇跡ってあるでしょうか?
エンタメの仕事を志す人って、やはり心のどこかに、誰かに感動を与えたい、夢を与えたいなど希望を持ってやっていると思いますが、私ももちろんそうです。
自分が目立ちたい、認められたいなどの気持ちもあるでしょうが、やはり、日常生活頑張っている方々に、非日常を届けて元気な気持ちになってほしいと言う気持ちが強いものです。
それが、実現された!という確信を持てたのだから、Q商会をやった意義がありました。
こんなに長く愛されるキャラを演じられた奇跡を、Q商会を通して知ることができました。
たくさんの賛辞をくださったファンの皆さんに、時を経て、Q商会を通してお会いできたことは、涙が出るほど嬉しいことでした。
大畑さんに心から感謝しています。
大畑英明さんと。
2018年3月4日第六回公演 「ファイナルテスト」を終えて。
他にも、語り尽くせない事がたくさんありますが、
いったん筆を置きます。
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