わたしと絵本読み聞かせ講座 -後編-
まだ、前編を読んでない方はこちらから。
はじめて仕事としての依頼の読み聞かせ
2010年のある日、マネージャーから電話がありました。
認定NPO法人トリトン・アーツ・ネットワークさんから、絵本読み聞かせの依頼がきたとのことでした。
今まで、読み聞かせは、ボランティアでやってきたことでしたので、仕事としての依頼は初めてのことでした。
桜美林大学オープンカレッジのホームページを見て連絡してくださったそうです。
どうしますか?引き受けますか?とマネージャーに聞かれ、ギャラがいくらなのか、どんな場所なのか何も聞かず即答!
「やらせていただきます!」
絵本を読むのって楽しそうだなーと軽い気持ちでした。絵本読み聞かせなのだから、小ホールかな?と気楽に考えてました。
そして、トリトン・アーツさんから事務所に、絵本『こんとあき』(作:林明子)が送られてきました。
台本にお使い下さいと。
一冊の絵本を送ってくださるなんて、素敵!
と思いました。
とてもとても良い出演料であったこと、第一生命ホール(全767席)は幼稚園のホールよりめちゃくちゃ大きいことを知ったのは、本番前日のリハーサルの時でした。
大きなスクリーンに絵本を映し出しての、コンサートだったのです!
リハーサルの日、初めて、ピアニストの小川典子さんとお会いしました。
リハーサル室で、私の朗読と音楽の初合わせ。
どこでどのように音楽が入ってくるのか、合わせていきました。
小川典子さんはとても気さくで楽しいお人柄で、今でも仲良くさせて頂いています。
典子さんは、英国と日本の両方でご活躍されているだけでなく、世界各国へ演奏旅行を行っていらっしゃいます。その他、ここでは書ききれないくらいの賞を受賞されていて、とにかくすごい人なのです。そして、それにもかかわらず、常に周りの人を思いやる懐の深さもある人間性が私は大好きです。
詳しくはオフィシャルホームページをご覧ください。
絵本「こんとあき」は
・きつねのこんちゃん
・あきちゃん
・車掌さん
・おばあちゃん
・ナレーション
と、5役ありますので、その演じ分けや練習の方に意識がいっていたので
いつもお話し会でやっている時の園児達が浮かび、とてもワクワクしていました。
そして、2011年3月5日、第一生命ホールで「子どもを連れてクラシックコンサート」が開かれ、私は第二部の「音楽と絵本」という時間に
朗読させて頂きました。
音楽は、ピアノと弦楽四重奏でした。
10分の絵本に音楽が加わると、さらにドラマチックになり、20分くらいになったように思います。
ピアノの美しい音色と柔らかい弦楽四重奏の世界に包まれて、私は朗読の楽しさで胸がいっぱいになりました。
ホールは大きいので、一瞬、やばっ!となりましたがここはいつもの幼稚園と同じだと思えたのです。
そう思えたらいつも通りやればいいと、リラックスできました。
第二部の最初は、ピアノの音楽についてのわかりやすい解説や演奏でした。
そして、いよいよ最後の絵本の時間になりました。
初めての共演ということもあってか、この時、典子さんは舞台上で、私を持ち上げすぎなくらいの紹介をしてくださり、舞台袖で、「いやいや、そんなにすごい人じゃないから〜(^◇^;)」となってました。
マネージャーも、「すごい上げてくれるね。笑」
と2人で苦笑。
逆に出て行きにくいから〜σ(^_^;)と少しなりましたが
「それでは、森田樹優さん!どうぞ」
と典子さんに言われ、拍手の音が聞こえてくると
自然に足が軽やかになり、とにかく嬉しいと思いました。
満員のホールで、たくさんの人が絵本を待っていてくれるんだ!
幸せだ!と、思いました。
そして、ピアニストの小川典子さんとのご縁から、私の仕事に新たな分野が加わりました。
典子さんとのコラボの朗読のお仕事、そして、オーケストラとの朗読コラボなど、今までの声優の世界とはまた違ったお仕事へと広がりました。
「劇場へようこそ!首藤康之✖️中村恩恵with梅田俊明&東京交響楽団〜子どもたちに贈るセレナーデ〜」
2012年7月25日(水)新宿文化センター大ホールで、「劇場へようこそ!首藤康之✖️中村恩恵with梅田俊明&東京交響楽団〜子どもたちに贈るセレナーデ〜」という親子向けコンサートがあり、私は、プロコフィエフのピーターと狼を朗読しました。
オーケストラのみなさんとの初めてのお仕事。
ゲネプロで舞台上でご挨拶すると、皆さん足を踏んで、足踏み拍手して下さり、その振動が、まるでドラマで見ていた「のだめカンタービレ」みたい!
と思ってしまいました。
「Noriko’s Day Vol.2」
そして、2014年9月13日(土)「Noriko’s Day Vol.2」という小川典子さんのスペシャルイベントがミューザ川崎シンフォニーホールでありました。
私はこの中の、ランチタイムミニコンサートに出演し、ここでも「ピーターと狼」を朗読しました。
今度は、オーケストラではなく、小川典子さんのピアノ演奏でした。
ピアノだけで、このお話のハラハラドキドキ、いろんな動物たちの雰囲気を表現されて素晴らしいと思いました。
そして、初めて小川典子さんとご一緒した「こんとあき」の6年後、2017年9月24日、音楽と絵本「こんとあき」は再演となりました♪
小川典子さんの再演についてのインタビュー記事。
典子さん、弦楽四重奏の「道」クヮルテットの皆さん、スタッフの皆さんとの再会は本当に嬉しかったです。
今回は、「こん」というきつねのぬいぐるみを抱っこしながら登場し、舞台上の中央の椅子にこんちゃんを座らせ、マイクのある席に着くという、たったこれだけの登場に、1番神経を使いました。
このこんちゃんは、スタッフの方が娘さんが小さい時に、絵本の巻末に掲載されている型紙を見ながら作った大切なもの。
娘さんにどれだけ大切にされてきたことでしょう。
私の娘にも大切にしていた「くろちゃん」という猫のぬいぐるみがいて、いつも一緒に過ごしていた時期があるのでわかります。
このこんちゃんは、生きているのです。ただの人形ではなく、魂が入っているのです。
そのように私も大切に扱うことで、こんちゃんが生きてくる......
絵本の世界に子どもたちも入りやすいでしょう。
初演の時、そこまで出来なかったので、再演の時は、丁寧にやっていきたいと思ったほんの少しのこだわりでした。
そして、「Qさん、アンコールでは、こんちゃんを抱っこしてスキップして出ていきましょう。」というマネージャーのアドバイスから本番前に、廊下でマネージャーとスキップの練習。
この一手間?が通じたのか、お話が終わると、会場は1階席も2階席も
子どもたちの「こんちゃーん!こんちゃん!」コール!!
終演後。お客様のお見送りの時。子ども達にもみくしゃにされました。
本当に本当に幸せな時でした。
大好きな絵本をこんなに喜んでもらえたことと、朗読できたこと。
そして、ピアノと弦楽四重奏の音楽で、こんとあきのはじめての旅の世界の風景や心情、あきの成長など、想像が膨らみやすくなり世界に入り込めたのだと思います。
ご一緒できた奇跡に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
無事に本番を終えて。小川典子さん、「道」クヮルテットの皆さんと。
思い返せば、本当に不思議な人生の流れです。
幼稚園や小学校のお話会でやってきた絵本読み聞かせを大ホールでやったのですから。
こんちゃんとあきちゃんが、生まれて初めて汽車に乗ってさきゅうまちに行ったように
私も声優→絵本読み聞かせ講座→朗読と、
ワクワクの冒険をしているようです。
たくさんの方に支えられて、旅はまだまだ続いています。
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