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【考察】BBアンティゲームでのBBのディフェンス戦略【Poker Snowie】
近年主流である、2~3BBオープンに対して、BBアンティゲームでのBBのハンドレンジはどうなるのか、Poker Snowieのレンジアドバイス機能を使って調べました。
1,アンティの有無による違い
まず、アンティ無しのBBのハンドレンジはこちらになります。
(条件:8Max、100BB持ち、3BBオープン)
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当たり前ですが、オープンされたポジションによって大きくハンドレンジが変わります。UTGからのオープンには、AToですらコール出来ません。
これが、アンティ有りだと…
(条件:8Max、100BB持ち、3BBオープン)
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かなりコールレンジが広がりました。レイズ頻度も2%程上昇しています。
BTNコールレンジ 34.76%→58.45%
UTGコールレンジ 13.91%→24.39%
BTNからのオープンには、全てのスーテットハンドでコール出来るようになります。1ギャッパーオフスートや、Kxoの弱い所ですらほぼ全てコールしています。
UTGからのオープンには、オフスート系のハンドはフォールドしていますが、スーテットの1ギャッパーコネクター、一部2ギャッパーコネクター、全てのKxsでコールしています。
このように、BBアンティゲームでは、BBはかなり広いレンジでコールしていかなければなりません。
ですが、このようなレンジでBBをディフェンス出来ているプレイヤーは、滅多にいないと思います。殆どのプレイヤーは、コールしなければいけないハンドをフォールドしてしまっています。
2,オープン額におけるレンジの変化
次に、オープン額が変わると、レンジがどう変化していくのか見てみます。
BTNオープン、2BB、2.5BBの場合のレンジを見てみましょう。
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これは衝撃的です。BTNからの2BBオープンは、全てのハンドでディフェンスしなければなりません!!
2.5BBオープンに対しても、8割以上のハンドでディフェンスしています。
実際のプレイは、相手プレイヤーの傾向、レンジ、お互いのスタック、ICMなど、様々な変数が関係してくるので、100%ディフェンスは出来ないと思いますが、GTOだけで考えると、BTNのミニマムレイズには全ハンドでディフェンスしなければいけない事になります。
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UTGオープンに置いても、かなりコールレンジが広がっています。ただし、3betレンジはかなりタイトになっており、殆どのハンドはコールに留めています。これは、UTGのオープンレンジがかなり強いので、迂闊にレイズ出来ない為です。
2BBオープンでは、UTGオープンに対して全てのスーテットハンドでディフェンスしています。ディフェンス率は約7割で、3BBオープンの時には7割以上フォールドしていたのに、えらい違いです。
また、3betレンジには全てのAA、一部KK、一部AK、一部A4s、一部スーテットコネクターが含まれており、ポラライズレンジを形成しています。
2.5BBオープンでは、約5割をフォールドしており、BTNのオープンレンジみたいな形になっています。UTGのオープンに対して、全てのQxsをコール出来るというのは、なかなか衝撃的です。
また、3betレンジは最上位のハンドしか含まれておらず、ブラフレンジはありません。
オープン額を変える事で、BBのレンジは大きく変化します。これを活用すれば、レンジを構成出来ていないBBのプレイヤーに対して、容易にエクスプロイトする事が出来そうです。
BBの参加率が高い場合…高めのオープン額にレイズする。
BBの参加率が低い場合…安めのオープン額にレイズする。
なお、ポジションによってオープン額を変えるのも良い戦略です。UTGからは安めに、BTNなどのレイトポジションからは高めにレイズする事により、BBのコール頻度をコントロールする事が出来ます。
3,トーナメントゲームへの応用
トーナメントゲームでは、ブラインドが上がるにつれて、オープン額を安くしていく戦略が主流です。これには様々な理由があります。
・スタックが小さくなる事で、容易にコミットしてしまう
・スタックが小さくなる事で、ディフェンス側がコールしずらくなる
・3betオールインにフォールドした時、失うチップを減らしたい
などなど…(他にもあったら、教えてほしいです!)
通常、スタックが少なくなると、AoF戦略を取るプレイヤーが増え、フロップをプレイする回数は少なくなります。ディフェンス側も、フォールドの機会が増えそうな気がします。
スタックが少ない時のBBのディフェンス戦略はどうなるのでしょうか?
スタックの額を変えて、検証してみました。
(条件:8Max、10BB持ち、2BBオープン)
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なんと、コールレンジには殆ど変化がありません。スタックが10BBの時でさえ、BTNの2BBオープンには全ハンドでディフェンスしています。それどころか、UTGのオープンにはディフェンス頻度が増しています。
ただし、3betレンジは大きく変化しており、BTNのオープンには全てのAxoでも3betオールインするようになっています。
UTGに対してもレイズ頻度が大きく上がっており、一部のAxs、KK、QQ、JJの全てで3betオールインしています。(逆に言うと、スタックに余裕がある場合はQQでもコールしています)
レイズ頻度が上昇したのは、3betでオールイン出来る事と、SPR(スタックとポットの比率)が小さくなった事により、スチールの価値が上がっている為だと思います。
トーナメントの中~終盤では、スチールを狙ってオープンしてくるプレイヤーも多いです。適切にディフェンスする事で、エクスプロイトされないようにプレイ出来そうです。
ただし、個人的にはBBのディフェンスよりも、スチール戦略を重要視した方が良いのではないかと思います。
理由としては、
・弱いハンドでのプレイはリスクが大きい
・難しい決断を迫られる場面が増える
・ポットを落とした時、更なる苦境に立たされる
・スタックが浅いので、オールインベットに直面する可能性が高くなり、中途半端なハンドではコール出来ない
特に、自分のスタックが少ない場合は、GTO通りにディフェンスする必要はないと感じます。コールしてフロップを見るよりも、3betオールインを増やし、スチールを狙うプレイヤーに圧力を掛けるべきです。
BBのディフェンスは、スタックに余裕がある時に適切に行うことが大事だと思います。
4,スチール戦略への応用
逆に自分がオープンする際には、この知識を有効活用しましょう。BBプレイヤーのスタックが小さく(10BB~15BB程度)、AoF戦略を取っている場合、小さく頻繁にオープンする事により、容易にスチールを成功させる事が出来そうです。
BTNから2BBでスチールを狙う場合、
(Pot2.5BB + My2BB) / 2BB =2.25
2.25回に1回、44%の確率で成功すれば良いのです。
なお、2.5BBにオープンする場合は2回に1回成功すればOKです。
AoF戦略を取っているプレイヤーのレンジは通常、GTOよりも狭い事が多いです。他のポジションからのアクションを考えなければ、50%の勝率は容易でしょう。相手によっては、60~70%ぐらいは成功するかもしれません。そうなってくると、全てのハンドでスチールする事が出来ます。
また、相手のアクションにコールが含まれてくると、100%ポットを取れないわけではないので、更に勝率は増えていきます。
BTNやCOなどのレイトポジションからは、積極的にスチールを仕掛けていきたくなりますね。
ただし、相手のディフェンス頻度が適切な場合は、大人しくしておいた方がいいでしょう。また、相手にこのスチール戦略を取られた場合、適切なレンジでコールすればカウンターエクスプロイトする事が出来そうです。
5,まとめ
今回分かったことをまとめると、こうなります。
・アンティ有のゲームは、BBはかなり広いレンジでディフェンスしなければならない
・BTNから2BBオープンされた場合、全てのハンドでディフェンスしてOK
・殆どのプレイヤーは適切なレンジでディフェンス出来ていない。その弱点を攻めろ!
・自分のスタックが少ない場合、無理してディフェンスする必要はない
・困った時は、Snowieの言う通りにプレイしよう。Snowie先生万歳!!
今回は、BBアンティゲームにおけるBBのディフェンス戦略を考察しました。機会があれば、別の戦略も考えていきたいと思っています。
ここまでお読みくださり、本当にありがとうございました!!
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