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全員めんどくさい、でもなんか共感しちゃうアニメNANA

見る前はバンド、ヴィヴィアン、タバコ…のイメージしかなかったアニメ、NANAをアニメで全部見た。序盤はハチ(ナナ)の自分勝手さ、恋愛体質にめちゃくちゃイライラしてしたけど、最後まで根気強く見て、結局何度か泣いてしまった。
※ネタバレ大いに含みます。

彼氏を追いかけて上京する小松奈々と、プロのミュージシャンを目指して東京を目指す大崎ナナ。同じ年、同じ名前を持つ2人は、上京する列車の中で偶然出会い、その後思いがけない再会を果たす。2人のNANAの友情、恋、挫折、成長を描くマスターピース!

http://cookie.shueisha.co.jp/story/25.html

このアニメに登場する人物は淳子と京助を除いて全員めんどくさい。恋愛感情というものがいかにめんどくさいことを引き起こすのかを痛感させられる。ハチもナナも、レンもノブも、シンもレイラも、みんな恋愛感情に足を引っ張られている。

ハチはブラストにナナを取られると思っているし、ナナはトラネスにハチを取られると思っているし、レンはヤスにナナを取られると思っている。みんなが自分に自信がなくて、誰かを自分の所有物にしたくてもがいている。タクミこそ自分に自信を持っているように見えるが、ハチに対して独占欲を抱えているシーンが少しあったし、強いフリしても結局弱い。

大崎ナナ
すごく悲しい。はじめは痛々しい女の子だと思ったけど、誰よりもプライドが高くていろんなものを素直に受け入れることができない人間らしい子だった。レンに早いうちから依存して、恋愛としての心は一時満たされたかもしれないが、その隙間にハチがその無邪気さと愛らしさを武器に入り込んできて、恋愛とはまた違った愛を彼女にもたらしてくれたのだと思う。
母親に捨てられたことがトラウマとなっていて、レンにそのつながりを求めたが、レンはバンドを優先する姿勢を変えなかった。だからこそ、いつも自分を純粋に求めてくれて可愛らしいハチにどんどんハマっていった。タクミとレイラの関係を疑うのもハチを思ってのことだし、ハチを大好きなのは本当はナナの方だったんじゃないかと思う。

小松奈々(ハチ)
もうめちゃくちゃ厄介。惚れっぽいし、純粋で無邪気で、それが周りを何度も傷つけている。けれど、それがナナの固く閉じた心の扉を開けることになった。ナナとの特別な関係は他のアニメや作品ではみたことのない類のもので、それを感じるだけでも、このアニメを見る価値があると思う。
話が進むにつれて、素直で明るいハチにみんなが翻弄されていく。

高木泰士(ヤス)
誰にでも優しいから、その優しさが色んな人を傷つけている。ナナの心の弱さを支えているのはヤスだけど、ヤスから離れない限りナナの心の弱さはきっとずっと治らない。早く誰かと結婚でもすればレイラもナナもヤスと一線を引けるのになあと思う。

寺島伸夫(ノブ)
うーん、本当に悪いやつじゃないんだけど、やっぱりあと一歩足りないと思うところが多すぎた。ハチの妊娠がわかった時、電話越しに養うよ、と即答できなかったのはもちろん経済力や年齢や、いろんな環境があったんだけど、夢見がちで姫体質なハチはきっと嘘でも「俺がなんとかする」って言ってほしかったんだろうな。個人的には、タクミの方を選んでしまうハチの気持ちも全然わかった。

岡崎真一(シン)
家庭環境が複雑であることが由来の苦しみをずっと抱えている。でもハチをいつも慕っていて、ハチの愛嬌にナナの次に絆された人だと思う。ナナとハチが別居したあと、シンとハチが二人で会って話したシーンは印象的だった。レイラへ絶対叶わない恋をして何度もメールを送る献身的なところがいじらしい。

芹澤レイラ
闇。ヤスにもタクミにも依存、自分には歌しかないとしきりに言う。とにかくビジュがいい、声もいい、シンが心底好きになってしまう理由もよく分かる。こんなかわいいお姉さんがいたら車のなかでキスしちゃう。

本城蓮(レン)
ナナより悲しいかもしれない。なんかもううまく言えない。どうあがいても、この人が幸せになれる未来が見えない。矢沢あい先生…

一ノ瀬巧(タクミ)
掴み所がない。何を考えているのかあまりわからない人だと思っていたけれど、意外と行動には一貫性があって、バンドが売れるなら本当にその他のことはどうでもいい人なんだなと思う。おかしい、変わっているとハチに言われて、

藤枝直樹(ナオキ)
そんなに出てこないけど超好き。ハチのご飯食べてキャーキャーしてるところとか、陰鬱としたストーリーで唯一の救いだった。こういう人がいるだけでアニメが和む

早乙女淳子
このアニメ唯一の常識人、良心。淳子がいなかったら多分最後までみてられなかった。でも、傷ついているハチにあまりにも直接的な言葉を投げるところもあって「言い過ぎ!!」ってなるところもあった。ハチにとって、いつも絶対的な味方でいてくれる淳子は本当に救いだっただろうな

高倉京助

https://renote.net/articles/17713/page/9

もうこの一枚しか貼りません。京助に拍手。

遠藤章司
ハチの元彼。正直同情していまいます。章司と付き合ってたときのハチはめんどくさすぎた。幸子とお幸せに…


ハチがナナとの同棲を解消したシーン、ハチの置き手紙をヤスが「ラブレターだ」と称したところでめちゃくちゃ泣いた。ハチだからこそ言える素直な気持ちが、ナナの心に深く届いたんだと思う。物語が進むにつれて、ハチとナナの物理的な距離は離れたのに、心はどんどん繋がりを深めて強固なものになっていく。とっても崇高で美しい姿だった。

物語の展開として、登場人物の発言や行動として引っかかるところも疑問に思うところもとても多かった。だけど、本当の人間関係は物語の中で描かれるみたいに綺麗で誠実なものとは限らなくて、NANAみたいにドロドロしてもっと醜いものだと思う。ハチは結婚を何度も後悔するし、章司やノブを選んでいれば、もっと良い未来があったかも、と思い返す。リアルな人間は、こんなふうにない未来を何度も想像して、過去を美化して後悔していくんだと思う。イライラしつつも共感してしまう部分が散りばめられていて面白かった。

一人でみるより、人とあーだこーだいいながら見るほうが面白いかもしれない。独特の世界観も含めて見てよかったと思えるアニメだった。百均でいちごのコップ、2つ買ってきます。

ハチは本当にかわいい

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